野球の「振り逃げ」はどんなルール? 奥が深いルールの詳細を知ろう

野球は、ピッチャーがボールを投げてバッターが打つというシンプルな競技ですが、ルールはかなり複雑です。野球を実際にプレーしていたり、試合観戦が趣味だったりする人も、ルールを間違えて覚えていることはよくあります。
間違えやすいルールの代表例が「振り逃げ」です。公認野球規則に「振り逃げ」という文言は明記されていませんが、よく聞くルールなので知っていると役立ちます。
ここでは、振り逃げが成立する条件や記録のつけ方など、観戦に役立つ野球のルールをご紹介します。

 


【目次】
■振り逃げとは
■振り逃げが成立する条件は?
・ランナーの状況
・ボールがバウンドした
・バッターに進塁の意思がある
■振り逃げになった場合の記録のつけ方は?
■奥が深い野球のルールをしっかり理解しよう

 


■振り逃げとは

 

振り逃げとは、キャッチャーが3ストライク目の投球を正しく捕球できなかった時に、バッターが一塁に向かうことができる権利のことです。
守備側が一塁に送球、またはボール保持者がバッターランナーにタッチするまでに一塁に到達できた場合は、アウトカウントが増えずに一塁ランナーとなります。

 

野球は、原則としてノーバウンドでボールを捕球するか、塁に送球または相手にタッチすることでアウトが成立するスポーツです。
昔の野球では、3ストライクが宣告された際にバッターは必ず一塁に走っていました。それが、試合時間の短縮などを目的に、「3ストライク目の投球をキャッチャーが直接捕球できればバッターアウト」とルールが改定されていきます。
そのような経緯で、三振や振り逃げに関するルールができあがっていきました。

 

現在は「三振したバッターはアウト」と解釈されますが、キャッチャーが3ストライク目のボールを正しく捕球できなかった場合、その時点ではバッターアウトが成立していません。そのため、バッターがランナーになり一塁に走ることができるのです。

 


■振り逃げが成立する条件は?

 

 

振り逃げは、どのような状況でも成立するわけではありません。試合を見ている際に、「なぜバッターは一塁に走らないのか」などと疑問に思うこともあるでしょう。
振り逃げが成立しているかどうかを確認するには、次の3つのポイントを見る必要があります。

 

・ランナーの状況


振り逃げが成立する条件のひとつに、ランナーの状況が挙げられます。
基本的に、振り逃げはアウトカウントに関係なく行うことが可能です。三振が3アウト目にあたる場面だとしても、キャッチャーがボールを落としていれば振り逃げを行うことはできます。

 

ただし、0アウトまたは1アウトで一塁にランナーがいる状況では、振り逃げは成立しません。キャッチャーがボールを落としていたとしても、バッターは三振でアウトになります。
これは、キャッチャーがわざとボールを落として、ダブルプレーを試みるのを防ぐことが狙いです。

 

例として、0アウトランナー一塁の状況を想定してみましょう。キャッチャーがボールを落として振り逃げが成立するとバッターには一塁への進塁義務が生じ、押し出される形で一塁ランナーにも二塁への進塁義務が発生します。
その際、キャッチャーはわざとボールを落とせば、簡単にダブルプレーを狙えるはずです。

 

2アウトの場合はダブルプレーが起こりえないため、一塁ランナーがいても振り逃げは成立します。そのようなシーンで3アウト目を取るには、一塁に送球するか、他のランナーをアウトにしなければいけません。

 

・ボールがバウンドした


振り逃げは、キャッチャーが「投球を正規に捕球できなかった」場合に発生するものです。キャッチャーが3ストライク目の投球を捕球できていたとしても、ワンバウンドの場合は正規の捕球とはみなされず、振り逃げが成立します。
例えば、低めの変化球がバウンドした場合は、キャッチャーが捕っていたとしてもバッターにタッチするか、一塁に送球する必要があります。

 

また、「振り逃げ」という名前ではありますが、バッターがバットを振ったかどうかは関係ありません。3ストライク目のボールをキャッチャーが正規に捕球できていなければ、見逃し三振だとしても振り逃げは可能です。

セーフになる可能性自体は低いかもしれませんが、キャッチャーがボールを見失ったり、送球が逸れたりする可能性は捨てきれません。
ワンバウンドしていることが確認できる場合、バッターは一塁に走った方が得になる可能性が高いといえるでしょう。

 

・バッターに進塁の意思がある


バッター本人に走塁する意思があるかどうかも、振り逃げの成立を左右する要素のひとつです。
投球がワンバウンドした、キャッチャーがボールを落としたなどの振り逃げの要件を満たしていたとしても、バッターが一塁に進塁するそぶりを見せないと、振り逃げにはなりません。

 

具体的には、バッターがダートサークル(ホームベース付近を中心に設けられている円形の土の部分)を出てベンチに向かったところで走塁放棄とみなされ、アウトが宣告されます。


■振り逃げになった場合の記録のつけ方は?


通常、振り逃げが成立してバッターが一塁に進塁できた場合でも、原則としてピッチャー・キャッチャーともに失策(エラー)が記録されることはありません。
振り逃げの際は、ピッチャーには奪三振が記録され、状況に応じて以下のいずれかが追加されます。

 

・ピッチャーの過失で振り逃げが成立した場合:暴投(ワイルドピッチ)
・キャッチャーの過失で振り逃げが成立した場合:捕逸(パスボール)
・一塁への悪送球またはファーストの捕球ミス:ミスをした選手に失策(エラー)

 

実際の試合で振り逃げかどうかの判断に迷った時は、球審(アンパイア)のジェスチャーに注目してみましょう。通常、三振でアウトになったら審判はすぐにアウトのコールをします。
しかし、ワンバウンドのボールを捕球したり、落球があったりした場合、球審はすぐにアウトのコールを行いません。
判断に迷った時は、審判の動きにも注目してみてはいかがでしょうか。


■奥が深い野球のルールをしっかり理解しよう


振り逃げは、投球が正しく捕球されていなかった時に、三振したバッターが一塁に向かうことができるルールです。振り逃げという名前から勘違いしやすいですが、実際には見逃し三振でも一塁への進塁を狙うことはできます。

プロの試合で見ることはまれですが、見逃し三振後にキャッチャーがボールを落としてしまい、振り逃げが発生するケースもあり得るということです。
特に、技術的にプロよりも劣る少年野球や草野球といったシーンでは、見逃し三振後の振り逃げを覚えておくと役立つこともあるでしょう。

 

一見すると難しく思える振り逃げですが、知っていると野球観戦をより楽しめるようになります。
ご紹介した内容を、試合観戦やプレーにお役立てください。

 


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【文章】アルペングループマガジン編集部

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