(上記写真:ジョシュ・ホーキンソンはチームの中心のひとりとして機能)
バスケットボール男子代表は、2月下旬に『FIBAアジアカップ2025』の予選で中国、モンゴルと対戦した。いずれも敵地での対戦で、中国には敗れたもののモンゴルには勝利した。この結果、中国に次ぐ予選グループ2位で、8月に行なわれるアジアカップの出場権を獲得した。
そのアジアカップへ向けて、チームは6月から強化合宿をスタートさせた。7月には国内でオランダと強化試合を行ない、1勝1敗の成績を残した。その後は韓国へ遠征し、同国代表と2試合を戦った。
帰国後も強化は続き、デンマークとの連戦を消化。トム・ホーバスHC(ヘッドコーチ)は6月に42人の代表候補選手を発表しているが、ここまでのプロセスでは、NBAサマーリーグに出場している馬場雄大(長崎ヴェルカ。所属は当時、以下すべて同)、富永啓生(インディアナ・マッドアンツ)、河村勇輝(メンフィス・グリズリーズ)はコートに立っていない。渡邊雄太(千葉ジェッツ)は24年のパリ五輪前後からケガが続いていることもあり、アジアカップ出場を辞退している。
7月末からの強化合宿には、ここまで主軸を担ってきたジョシュ・ホーキンソン(サンロッカーズ渋谷)、吉井裕鷹(三遠ネオフェニックス)、西田優大(シーホース三河)、チーム最年少21歳のジェイコブス晶(フォーダム大学)らが順当に選出された。豊富な国際経験を持つ31歳の司令塔・富樫勇樹(千葉ジェッツ)、NBAサマーリーグに参加していた馬場と富永が追加招集された。ホーバスHCは、ホーキンソンと馬場をキャプテンに指名した。
『FIBAアジアカップ2025』はサウジアラビア・ジッダで開催され、チームは直前に同じ中東のカタールで練習試合を組んだ。カタールとサウジアラビアに連勝し、最終的なコンディションを整えた。
大会は8月5日に開幕し、日本(FIBAランキング21位)はイラン(同28位)、シリア(71位)、グアム(88位)と同じグループで戦う。グループ首位は決勝トーナメントへ進出し、2位は他グループの3位と、3位は他グループの2位と、準々決勝進出を賭けたプレーオフへ挑むことになる。

トム・ホーバスHCは21年9月よりチームを率いている
54年ぶりの頂点を目ざす戦いは、シリア戦で幕を開けた。第1クォーターを18対13で終えるが、第2クォーターは14対28とリードを許した。しかし、第3クォーターは序盤に吉井が連続してシュートを決め、ホーキンソン、テーブス海(アルバルク東京)、馬場らも得点して60対51とリードを奪った。最終の第4クォーターも力の差を見せつけ、99対68で勝利した。ホーキンソンは26得点13リバウンドでダブルダブルを達成している。
続く第2戦は、イランとの対戦だった。グループ首位通過を賭けた一戦は、拮抗した展開で進んでいく。最初の10分間を13対16で終えると、34対34でハーフタイムを迎える。
第3クォーターも譲らない。58対58でラスト10分へ突入するが、終盤に連続失点し、富永がファウルアウトになってしまう。70対78で敗れてしまった。
グアムとの最終戦は、第1クォーターからリードを広げていった。富永が20得点、西田が16得点、富樫が12得点を決め、102対63と圧倒した。この結果、日本はグループ2位で前回大会準優勝のレバノン(29位)と準々決勝進出決定戦を戦うこととなった。
第1クォーターから追いかける展開となった。第2クォーター終盤に3点差まで詰め寄ったものの、前半は41対53で終了した。
第3クォーターに必死の追い上げを見せるものの、スコアを詰め切れない。最終の第4クォーターも相手の勢いを止められず、73対97で試合終了のブザーを聞くこととなった。
男子日本代表の次なるターゲットは、『FIBAバスケットボールW杯2027』のアジア予選突破である。その1次予選 2試合が、11月28日と12月1日に開催された。チャイニーズ・タイペイ(FIBAランキング67位)との2連戦である。
日本のロースターには、主将の渡邊雄太が復帰した。Bリーグで好調さを示している齋藤拓実(名古屋ダイヤモンドドルフィンズ)、原修太(千葉ジェッツ)、安藤誓哉(横浜ビー・コルセアーズ)ら30歳以上の経験者が、久しぶりに招集されたことにも注目が集まった。
ホーム開催の第1戦は、90対64で勝利した。渡邊がチーム最多の20得点をマークし、ホーキンソンが14得点12リバウンド8アシストを記録している。
舞台を台湾へ移した第2戦も、80対73で競り勝った。ホーバスHC率いるチームは、順調なスタートを切った。
『FIBAバスケットボールW杯2027』アジア1次予選で、日本は中国、韓国、チャイニーズ・タイペイと同グループに入っている。中国は先のアジアカップで準優勝しており、韓国は準々決勝で中国と接戦を演じた(最終順位は6位)。
アジア1次予選は、来年2月末から再開される。中国、韓国との激突へ向けて、さらなるレベルアップが求められている。

3月から女子日本代表を率いるコーリー・ゲインズHC
バスケットボール女子日本代表は、3月からコーリー・ゲインズHC(ヘッドコーチ)のもとでスタートを切った。ゲインズHCは16年に女子日本代表のアドバイザリーコーチを務め、22年から男子日本代表のアソシエイトコーチとしてFIBAバスケットボールW杯2023、パリ五輪などでトム・ホーバスHCを支えた。
26年のターゲットは、7月の『FIBA女子アジアカップ2025』だった。アジアの頂点を目ざす戦いへの助走として、5月から強化合宿を重ねた。第1次合宿に先駆けてセレクションキャンプも行ない、若手を中心とした新戦力の発掘にも取り組んだ。
ゲインズHC初の実戦は、6月7日のチャイニーズ・タイペイ戦となった。FIBAランキングは日本が9位、チャイニーズ・タイペイは同39位である。「オーガナイズされたカオス(組織化された混沌」をスローガンに、「スピード、機動力、シューティング能力を生かす」という新HCのスタイルを、どこまで具現化できるかに注目が集まった。
スターティング5には、チーム最年少19歳の田中こころ(ENEOS)が名を連ねた。田中は10得点を記録し、同じく19歳の中村ミラー彩藍(ペンシルバニア大学、現在は20歳)はチーム最多の12得点をマーク。彼女たち若手と経験豊富な髙田真希(デンソー)らがプレータイムをシェアしながら、95対42の勝利をつかんだ。また、ベテランの渡嘉敷来夢(アイシン)が、およそ3年ぶりに代表でプレーした。
第2戦も89対45で勝利した。チームは短いオフを挟んで第3次合宿を行ない、中国遠征へ旅立った。
中国では同国代表と2試合を戦い、いずれも敗れた。結果は残せなかったものの、多くの選手が国際試合のコートに立ったことに価値があった。
帰国後は7月3、4日にデンマークと対戦した。
第1戦は65対65のドローゲームだった。翌4日の第2戦は、89対55で勝利した。宮澤夕貴(富士通)が15点、藪未奈海(デンソー)が前日の12点を上回る14点。渡嘉敷も11得点を記録した。
チームは同10日にアジアカップが行なわれる中国・深圳へ出発した。パリ五輪メンバーの髙田や宮澤、セレクションキャンプからアピールを続けてきた田中ら12人が、2大会ぶりの優勝を目ざすこととなった。
予選グループBの日本(FIBAランキング9位)は、オーストラリア(同2位)、フィリピン(同44位)、レバノン(同54位)と対戦する。グループA、グループBの上位3チームが、決勝トーナメントへ進出する。
第1戦は、レバノンとの対戦だった。第1クォーターは16対26とリードを許す。初戦特有の固さがあり、自分たちのリズムに乗り切れない時間が長かったが、最終的には72対68で競り勝った。
フィリピンとの第2戦は、第3クォーターを終えて77対57と20点差をつけた。ゲインズHCは連戦を考慮して主力をベンチに下げ、第4クォーターに臨む。フィリピンに追い上げを許したものの、85対82で2連勝を飾った。
オーストラリアとの第3戦は、勝者がグループ首位通過となる重要な一戦。第1クォーターを22対26で終えるが、第2クォーターで逆転して51対42で折り返す。しかし第3クォーターで同点とされると、第4クォーターはミスから失点を重ねて67対79で敗れた。この結果、準決勝進出決定戦でグループA3位のニュージーランド(26位)と対戦することになった。
負けられない一戦は、77対62で勝利した。田中がチーム最多の17得点を記録し、勝利の立役者となった。

19歳の田中こころは25年に飛躍を遂げた
準決勝では開催国の中国(4位)と激突。2メートル超の選手を複数人揃える相手に対して、必死のディフェンスでペイントエリアへの侵入をできる限り許さない。オフェンスでは3ポイントシュートを高い確率で決め、アウェイゲームの雰囲気のなかで90対81の勝利をつかんだ。日本は03年大会から7大会連続の決勝進出となった。
決勝戦の相手はオーストラリア。前半を43対54で折り返し、第3クォーター終了時も59対67とスコアを詰めきれない。それでも、第4クォーターで70対70に追いつく。しかし終盤に突き放され、79対88で敗れたのだった。
個人表彰では、田中がオールスターファイブに選出された。平均得点で大会3位タイと、19歳はそのポテンシャルを解放したのだった。
2大会連続の準優勝に終わった日本は、来年3月に開催予定のFIBA女子バスケットボールW杯2026の世界予選へ出場することとなった。国際舞台での戦いは、26年も続いていく。
【文章】戸塚啓
【写真】千葉格