楽しくスポーツギアを選ぶために必要な知識を、アカデミー形式で学んでいく、「SPORTS GEAR ACADEMY」。本連載のフットボール編では、これまで3回にわたってスパイクの選び方講座を実施してきた。第四回目の今回は、これまでに登場した講師、受講生が一同に会し、スパイク選びのこだわりや選択の基準について、あれこれと話を深めた。 ■それぞれに違うスパイク選びの軸 ──まずはみなさんがこれまでどんなスパイクを履いてきたか、また選ぶ上でのこだわりなど教えてください。 石田:最初に買ったスパイクはアディダスのプレデターアブソリュートです。その後はいろいろなメーカーを履きました。サッカーをやっていた父から小学生の頃『スパイクでサッカーをするんじゃない、お前の足でやるんだ』とずっと言われたのを覚えています。でもそんな父が私が大学生の頃には『スパイクが変わったらプレーが変わる』と言うぐらい、最近のスパイクは性能が優れていますよね。 大塚:僕もたくさん履きましたね。最初はアンブロで、その後はアディダスのプレデターマニア、パティーク釈迦(しゃか)と如来(にょらい)、ナイキのマーキュリアル、アシックスDS LIGHT、プーマのパラメヒコ、デルムンド、最終的にはアディダスに収まりました。その時々にこだわりの一足というか、この大会ならこのスパイク、というものがありましたね。今は軽さにこだわっています。僕はスピードが特徴のプレイヤーなので、とにかく軽いのが好きです。 杉浦:自分が望んで最初に履いたのがナイキのマーキュリアルヴェイパーですね。スピードのある選手が履いているイメージがあって、僕は足が速くなかったので憧れで選びましたね(笑)。高校の時はユニフォームのブランドにスパイクを合わせたりしながら、その後ナイキに戻り今はティエンポを履いています。フットサルもやっているんですが、インドアシューズもナイキですね。 松浦:僕はもはや、最初に履いたスパイクは何も覚えてない(笑)。30年前ぐらいですからね。中学の途中から大学まではずっとプーマのパラメヒコを履いていました。卒業後はいろいろなスパイクを履き、ここ5年ぐらいはアディダスのコパを履き、今はご縁があってYASUDAを履いています。レザーの足になじんでくるタイプを好んで選んでますね。 佐藤:中学で最初に履いたのが黒に黄色いスウォッシュが特徴のナイキのヴェイパー。その後はずっと白いスパイクで、ナイキが好きだったのでティエンポやリゲラを履きました。高校ではアディダスに変え、その時出会ったパティーク11プロの色、デザイン、履き心地がすべてよくって履き続けました。今は特にこだわりなく、軽さとカラーの白さを求めています。 ■スパイクを変える理由は様々
──最近の部活生はスパイクのモデルを変えたがらないと聞きます。皆さん色々と履かれていますが、スパイクを変える良さは何ですか? 石田:新しいスパイクでボール蹴るのは純粋に楽しみでしたね。買った次の日は誰よりも早くグランドに行き、ボールを蹴って感触を確かめていました。 大塚:その時々の気分に合ったものを選べる点ですかね。自分のしたいプレーだったり、ついているポジションに合わせて選んでいました。高校生のときボランチをやっていた時は、存在感を出したくてミズノのモレリアを履いたりしてましたね。 杉浦:ひとからのアドバイスで変えたことがあります。高校生のとき部活の先輩から「このスパイクの方が今履いてるのより軽いしキック飛ぶよ」って言われたことがあり、実際に履いてみたら確かにその通りで。先輩からのアドバイスだから聞き入れられたってのもありますが、自分とは違う視点の意見を取り入れてみたってことはありましたね。 松浦:自分は学生時代にずっと同じスパイクを履き続けていたのですが、徐々にそのこだわりが薄れ、なんでも受け入れられるようになってきましたね。今思うと当時のこだわりが些細なことに感じます。ひとによっては経験を重ねるとこだわりが強くなっていくこともあるかと思いますが、自分の場合は逆ですね。 ■人工皮革と天然皮革の違いは ──皆さんは人工皮革派ですか?天然皮革派ですか? 杉浦:私は人工皮革派です。そもそもあまり天然皮革を履いてきていないと言うのもありますが。人工皮革の良さは長持ちするところですね。学生の時は毎日のように練習で同じスパイクを履いて、そのまま試合にのぞむこともあったので、変わらない安心感を得られるのは良かったですね。 石田:自分が好みだったデザインが人工皮革のスパイクに多かったですね。比較的派手な感じの。履いてみてもちゃんと足にフィットするし、かっこいいから人工皮革のモデルを気に入って履いていましたね。 松浦:私は天然皮革派です。足に馴染む感じがいいですよね。それと、ある程度の重さがあった方がボールを蹴ったときの感触が良い気がします。これはポジションによるとは思いますが。 大塚:天然皮革がいいですね。特にカンガルーは足なじみが違います。一つ上のクラスに上がった気がしますし。まだミズノのモレリアとプーマのパラメヒコを履いてないので、一度履いてみたいですね。あの価値を体験してみたいというか。 ■海外メーカーと国内メーカーの違い ──海外メーカーと国内メーカーの違いはどんなところにありますか? 佐藤:アシックスのDS LIGHTを履いたことがありますが、かかとが固定されている感じが印象的でした。国内メーカーは作りに丁寧さを感じ、履いたときの足が包まれる感覚と、ホールド感を特に感じます。 杉浦:国内メーカーは足幅が広くて日本人の足に合っているイメージですね。自分の場合、足が細いので合うものと合わないものがありますが。フットサル場でレンタルシューズの貸し出しをしていても、海外メーカーのものは足幅が合わないので戻ってきてしまい、最終的に国内メーカーのものを履かれる方がよくいらっしゃいます。 石田:確かにお店で試し履きすると日本メーカーのシューズはフィットする感じがあります。ですが、実際に練習や試合でプレーすると海外メーカーのものでも違和感なく、最終的にかっこいいイメージのある海外メーカーのモデルを選ぶことが多かったです。 大塚:日本メーカーはレザーの違いをしっかり日本人に向けて打ち出していますよね。一方、海外メーカーはトップ選手が使っていることや、モデルによるプレータイプやポジションのイメージづけをしっかりしています。 ■それぞれの「今履きたいスパイク」とは 左から佐藤:フューチャー、杉浦:ネメシス、松浦:ティエンポ、大塚:レビュラ、石田:エックス ──ここまでそれぞれに異なるスパイク選びのお話をうかがいました。それぞれ「今履いてみたいスパイク」を一足選んでください。 佐藤:僕は「フューチャー」ですね、ミドルカットのデザインと履き口のニット素材が印象的です。似たようなモデルを履いた時、最初は「え?』と思ったんですが、実際に履くとスパイクがついている靴下を履いているみたいな感覚があって、魅力を感じています。自分でシューレースの結ぶ位置(結び方)をカスタマイズできるのが魅力ですね。自分だけの包み込む感覚を味わうことができると思います。 【 フューチャー 】 ・柔らかさ、伸縮性、強度をかねそなえた独自のニット素材アッパー ・足に合わせて自由に靴紐を結べるシューレース 松浦:「ティエンポ」ですかね。フィット感のあるレザーですが、レザーなのにとても軽いです。デザイン的にも昭和世代の僕にとっては、クラシカルな要素を残しつつも洗練されたデザインがすごく好きです 【 ティエンポ 】 ・立体的で繋ぎ目のないレザーアッパーによるフィット感 杉浦:まだ履いたことがないですが「ネメシス」ですね。バンテージ構造のスパイクは履いたことがないし、このピンクは周りにもいないです(笑)。比較的重いイメージがあったんですが、実際に持ってみても重さを感じないので、これを履いたら自分がどんなプレーができるのか、と考えるとワクワクします。逆にこのモデルを履いて下手なことはできないので、そのプレッシャーを背負いながらプレーを楽しみたいですね。 【 ネメシス 】 ・テープの立体構造がシューズを保形し、俊敏な動きをサポート ・履き口のV字型テープが足首周りをホールド 大塚:わたしは「レビュラ」。実際に持ってみてとにかく軽いし、素材、ソール、スタッドにこだわりがすごく詰まっているので、めちゃいいスパイクなんだろうな、という印象があります。ミズノのロゴのデザイン位置も斬新でひかれます。 【 レビュラ 】 ・グリップ力のあるポイント ・蹴り出しをサポートするねじれるアウトソール 石田さん:「エックス」です。履き口がシンプルなスパイクが好きで、ハイカットだときつさを感じるんですが、これはハイカットではないけど踵が高いので、どんな履き心地なのかが気になりました。高校時代はナイキの人工皮革のスパイクを履いていたので、いつかはアディダスの人工皮革を履いてみたいと思っていました。 【 エックス 】 ・コーティングされた軽くて柔らかいメッシュのアッパーがスピードプレーに対応 ・鷹の爪をモチーフにした履き口とヒールカウンターのクッションによるホールド感 ■スパイク選びを楽しむコツ ――スパイクをもっと楽しむためにはどうすれば良いでしょうか? 石田:とにかくいろんなスパイクを履いてみるのがいいと思います。サッカーは長く続けるひとの方が多いと思います。その中でなんとなく合ったスパイクを固定化してしまうのでなく、食わず嫌いなく色々なスパイクの知識を身につけていき、納得できるお気に入りの一足を見つけるといいんじゃないかなと思います。 杉浦:履いたときに、選手が1番いいプレーを出来るスパイクがいいスパイクだと思うんですよね。そのためにいろんな意見を聞いたり、実際に色々とスパイクを試す中でその一足を見つけていく。プレイヤーなのでパフォーマンスにこだわってスパイク選びを楽しむのがいいと思います。 大塚:スパイクって楽しいですよね。シーズンでたくさん出てきたり、その中で流行りがあったり。まず自分がしたいプレーをイメージして、そこから自分なりのこだわりを持ちながらスパイクの良し悪しを判断して選択していく。これがサッカーをしていく上での楽しみの一つでもありますよね。 松浦:スパイクってプレイヤーにとってコミュニケーションツールの一つですよね。みんな好きでサッカーやる人の共通の話題になるし、今回の座談会みたいに盛り上がる。サッカーって素晴らしいですね。スパイクって面白いですね。 でもこうやって色々とスパイクについて話をしても、履いた感想なんて個人差があるから、結局は色々と試すしかない。サッカーをやるひとにとってスパイクは大切なものなのでしっかり考えながら選んでいきたいですね。 [ スパイク講座 第一回講義 第二回講義 第三講義 第四回講義(座談会) はこちら ] #プロフィール (左から)佐藤凛太郎、杉浦祐希、松浦和輝、大塚光一、石田脩人 佐藤凛太郎 東海大学に通う現役大学生。小中高とサッカー漬けの日々を送り、高校時代は強豪東海大高輪台に所属し。現在も社会人リーグでプレー。 杉浦祐希 全国8校、徹底した技術指導が特徴のジュニアサッカースクール「キャプテン翼サッカースクール」コーチ。学生時代は強豪校に所属し、全国大会で活躍した経験を持つ。現在もフットサル関東一部リーグなど、現役でプレーを継続。 松浦和輝 スポーツマネジメント所属。カテゴリー問わず年間100本のサッカー・フットサル大会を指揮する、誰よりも現場をよく知るプロデューサー。サッカー歴は約30年で、今でも早朝サッカーを中心にプレイを日課としている。 大塚光一 国内最大級のサッカー情報サイト「サッカーキング」にて多数のスポーツギアの企画を担当。学生時代はサッカー一筋の生活を送り、現在も社会人リーグでプレー。 石田脩人 スポーツマネジメント若手社員。大学同好会カテゴリーを中心にサッカー大会を企画運営。学生時代は強豪校でプレーをし、大学から社会人リーグ(神奈川県1部リーグ)でプレーを続ける。
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