糸井嘉男×トクサン×ライパチが野球少年に打撃指導!“ワニクラッシャー”実演、大谷・山本・佐々木との対戦秘話も

2026年8月5日、スポーツデポ フラッグシップストア トレッサ横浜店で、「marucci & Victus スペシャルトークショー」が開催された。

 

ゲストとして登場したのは、現役時代に“超人”の愛称で親しまれた糸井嘉男さん。YouTubeチャンネル「トクサンTV」のトクサン、ライパチさんとともに、進化を続ける野球道具や打撃の極意を紹介した。

 

イベント終了後には、ドジャースでプレーする大谷翔平選手、山本由伸投手、佐々木朗希投手との対戦や、イチローさんから学んだ道具との向き合い方についても語った。

 

 

■新色は“チョコレート”。進化する「ワニクラッシャー」

 

 

夏休み中の子どもたちが多く集まった会場は、開始前からにぎやかな雰囲気に包まれていた。

 

トクサンが「宿題が全部終わっている人?」と呼びかけると、客席から元気よく手が挙がる。「全然やっていない人?」という問いにも手が挙がり、「最高です。トクサンもそうでした」と会場を笑わせた。

 

 

 

そこへ糸井さんが登場すると、大きな拍手が送られた。

 

 

 

最初に紹介されたのは、marucciの軟式用高機能バット「ワニクラッシャー」。ブランド名を知っている来場者はまだ限られていたものの、「ワニクラッシャーを知っている人?」という問いには、多くの子どもたちが手を挙げた。

 

糸井さんも、野球教室などで子どもたちが使う姿をよく目にするという。

 

 

 

「少年野球では、個人的な感覚ですが半分ぐらいの選手が使っているような印象です。『見せて』と言うと、みんな『ワニ、ワニ』と言っていますね(笑)」

 

今回披露された新色は、落ち着いた色合いのチョコレートカラー。ジュニア用に加え、大人用も展開される。

 

「僕らの頃は、ウレタンバットなんてありませんでした。金属かプラスチックのカラーバット。カラーバットにビニールテープを巻いて重くし、振っていましたから。今は本当にハイテクですね」

 

 

 

ワニクラッシャーの特徴の一つが、振りやすさを追求した重量バランスだ。トクサンによると、ウレタンバットは構造上、先端が重く感じやすいが、同シリーズは操作性を意識して設計されているという。

 

野球教室で子どもから借り、実際に打った経験がある糸井さんも、「めちゃくちゃ振りやすいですし、飛びます」と評価。ライパチさんが「飛ぶ理由の半分ぐらいは、糸井さんのスペックですけどね」と返すと、「いや、9割は僕のスペックです」と笑いを誘った。

 

 

 

会場ではこのほか、鉛筆をモチーフにしたVictusの「ペンシルバット」や、ワニクラッシャーの新色と連動したスポーツデポ限定のバッティンググローブも紹介された。

 

 

 

チョコレートカラーのグローブを手にした糸井さんは、素材の厚みと柔らかさに注目。「丈夫そうですし、手になじみますね。マメもできにくいと思います」と使用感を確かめていた。

 


■糸井嘉男が教える「打てない子」の共通点

 

 

イベント中盤には、ライパチさんと糸井さんがバットを手に取り、スイングを実演した。

 

ライパチさんの素振りを見た糸井さんは、「形はめちゃくちゃいい。肩も閉じていて、しっかり縦振りになっています」と評価。一方、ライパチさんは「投手に投げられた瞬間、びっくりするぐらい崩れて当たらなくなります」と悩みを打ち明けた。

 

 

 

糸井さんが打撃で最も大切なものとして挙げたのが、「タイミング」だった。

 

「少年野球を教えていて感じるのは、打てない子や芯に当たらない子は、始動が遅いということ。準備ができていないんです。いつでも打てるように、早く準備しないといけません」

 

 

 

自身も始動を早めたことで、引っ張る打撃ができるようになったという。日本ハム時代には逆方向へ打つことに美学を感じていたが、ソフトバンクとの対戦時、小久保裕紀さんから「お前はもっと引っ張ったほうが怖い」と助言されたことが転機になった。

 

「今の佐藤輝明選手や大谷翔平選手のように、体をしっかり回して打つ。そうすると、インコースも捉えやすくなります」

 

 

 

タイミングをつかめない子どもたちには、まず「早すぎるんちゃう?」と思うほど、大げさに早く始動することを勧めた。そこから自分に合ったタイミングを探せばいいという。

 

 

■“超人”のスイングに会場からどよめき

 

 

続いて糸井さん自身が、新色のワニクラッシャーを手にスイングを披露した。

 

構える際のポイントは、前側の肩を入れすぎないこと。肩を閉じすぎると視界が狭くなり、インコースが見えにくくなる。投手によっては少しオープンに構え、ボールを見やすくすることも有効だと説明した。

 

「人間は、目で見えたものに体が反応します。早く準備すれば、最初から理想のスイング軌道にも入りやすくなる。バットが通るラインを、早めにつくってあげるイメージです」

 

 

 

説明を終えた糸井さんが力強くバットを振ると、そのスイングスピードに会場からどよめきが起きた。現役を退いた現在も変わらない“超人”ぶりに、トクサンも「すごい。今度は屋外でやりましょう」と興奮を隠せない。

 

糸井さんは、技術だけでなく練習量の重要性も強調した。

 

 

 

「僕が本格的にバットを持ち始めたのは、投手から野手へ転向した24、25歳頃です。最初は僕も当たりませんでした。長く活躍する選手は、見えないところで練習しています。本気でやれば、絶対にできるようになります」

 

 

 

最後は、糸井さんとのじゃんけん大会が行われ、新色のワニクラッシャーをはじめ、バッティンググローブやバッグなどが子どもたちへ贈られた。

 

 


勝者へ「いっぱい練習してね」と声をかける糸井さん。笑いの絶えないトークと本格的な打撃指導が詰まったイベントは、子どもたちの笑顔とともに幕を閉じた。

 

 

■糸井嘉男×トクサン×ライパチ、イベントを終えて

 

 

イベント終了後、糸井さん、トクサン、ライパチさんの3人を直撃。まずは当日の感想から聞いた。

 

 

――イベントを終えた率直な感想をお聞かせください。

 


糸井:スポーツ用品店でこうしたイベントをするのは、ほとんど初めてだったと思います。トクサン、ライパチさんと一緒にできて楽しかったですし、お二人とも野球に詳しいので、話していて面白かったですね。

 

今の野球道具には、僕自身も知らない性能があります。あらためて、いろいろな良い商品があることや、野球の奥深さを感じました。

 

 

 

トクサン:僕たちは普段から、アルペンやスポーツデポのイベントでお世話になっています。最近は、店舗で取り扱う商品の幅も広がっていますよね。

 

従来からあるメーカーだけでなく、marucciやVictusのような海外ブランドの商品も積極的に取り入れている。スポーツデポでしか買えない限定商品があるのも“激アツ”です。

 

そうした商品を、横浜や神奈川の子どもたちに伝えられたのも良かったです。糸井さんから本格的な打撃指導を聞けたことも貴重でした。

 

 

 

ライパチ:夏休みということもあり、たくさんの子どもたちが来てくれました。みんなが楽しんでくれていたので、それが一番良かったですね。

 

糸井:僕も、打撃の話は自分自身に一番刺さりました(笑)。

 

トクサン:結局は「練習せえよ」ということでしたね。

 

糸井:結局はそこです(笑)。

 


――子どもの頃、スポーツショップへ行ったときのことを覚えていますか?

 

 

糸井:僕は京都のすごく田舎の出身です。地元でグラブなどを売っている店は1軒。少し離れた場所に、もう1軒あるぐらいでした。

 

だから、スポーツ用品店へ行くだけで、野球少年としてはめちゃくちゃテンションが上がりました。「うわ、こんなものもあるんや」と思いながら、いろいろな商品を見ていたことを覚えています。

 

トクサン:僕が野球ショップへ行くようになったきっかけは、少し変わっているんです。小学3年生のとき、家の前にバッティンググローブが落ちていました。

 

親に「これ、もらってもいい?」と聞いたら、「誰かが取りに戻ってくるかもしれないから、そのままにしておきなさい」と言われました。ところが、翌朝になってもまだ落ちていたんです。

 

糸井:運命ですね(笑)。

 

 

 

トクサン:もちろん拾ってはいません(笑)。ただ、そのとき初めて、バッティンググローブという道具があることを知りました。白と赤のシンプルなデザインで、「格好いい。自分も欲しい」と思ったんです。

 

それで母親と近所の野球ショップへ行き、同じようなバッティンググローブを買ってもらいました。

 

糸井:あとは、店の匂いも覚えていますね。

 

トクサン:革の匂いですよね。

 

糸井:あの独特な革の匂いは、今でも忘れられません。

 

 

 

ライパチ:嫌いになれない匂いですよね。僕は小学生の頃、柔道をしていて、父親が草野球をしていました。

 

最初は「父親が何かを買いに行く場所」だったスポーツショップが、中学生で野球を始めてからは、自分の道具を選ぶ場所になりました。それが僕とスポーツショップとの最初の出会いです。

 


――糸井さんが現役時代に対戦した投手で、特に印象に残っている選手を教えてください。

 

糸井:今、ドジャースにいる大谷翔平選手、山本由伸投手、佐々木朗希投手の3人ですね。

 

大谷選手が日本ハムへ入団したのは、僕がトレードでチームを離れたタイミングでした。その後は対戦相手として、年々すごみを増していく姿を見てきました。

 

それまでにない球速の世界への扉を開いたのも、やはり彼だと思います。何といっても、あのスイーパーはすごかったですね。

 

山本投手と佐々木投手とは、僕の現役生活の終盤に対戦しました。40歳を超えたおっさんに、まったく手加減してくれませんでした(笑)。

 

特に佐々木投手は、完全試合を達成した2022年の、最も勢いがある時期でした。ZOZOマリンスタジアムで対戦しましたが、160キロ近いストレートに加えて、落ちる球も見たことがないほどすごかった。ボールが一度、視界から消えるような感覚がありました。

 

 

――マウンドからホームベースまでの18.44メートルを感じさせない速さなのでしょうか。

 

 

糸井:18.44メートルもなかったですね。感覚的には3メートルぐらいです(笑)。投げたと思ったら、もうボールが来ていました。「年老いた俺に、こんな球を投げてきやがって」と思いましたね。

 

あの3人と対戦できたことは、僕にとって大きな財産です。

 

 

――トクサンとライパチさんは、これまでの取材で印象に残っている選手はいますか?

 


トクサン:僕は、今日ご一緒した糸井さんです。以前、岡山の屋外イベントでロングティーを見たのですが、ものすごい逆風のなか、打球が球場を越えていきました。

 

すでに現役を引退されていたのに、僕たちがどれだけ野球に取り組んでも、果てしなく追いつけないほどの飛距離を見せる。「プロの世界は本当にすごい」と感じました。

 

 

 

ライパチ:僕は、広島のレジェンド・前田智徳さんです。例えば、「足の裏に目をつけて見るんだよ」と教えていただいたことがあります。「足の裏に目をつけて見るとは、どういうことだろう」と驚きました。

 

テレビでは寡黙なイメージがありましたが、実際にお会いすると、とても柔らかく、楽しそうに技術的な話までしてくださいました。

 

糸井:前田さんは、なかなか技術的なことを話してくれないんですよ。それを聞けたのは、かなり貴重だと思います。

 

 

――最後に、野球を頑張っている子どもたちへ、メッセージをお願いします。

 

 

糸井:野球は、一人ではできないスポーツです。プレーしていると、周囲の方々やチームメートの助けを感じることがたくさんあります。

 

引退してからも、「野球を通して出会った仲間は、本当にいいものだな」と思うことが多いんです。一人ではないこと、仲間がいること。そこには、野球だからこそ得られるものがあると思います。

 

子どもたちには、いつか大勢の観客の歓声を浴びながらプレーしてほしいですね。現役の頃は当たり前に感じていた部分もありましたが、引退すると、360度から歓声を浴びる機会なんて、もうほとんどありません。

 

野球少年たちには、あの歓声を感じてほしいし、味わってほしい。「最高だぜ」と伝えたいですね。

 

 

――道具とは、どのように向き合ってほしいですか?

 

 

糸井:野球選手は、みんな道具が大好きです。特にグラブは、体の一部といえるほど大切なものです。

 

オリックス時代、イチローさんの自主トレに参加させてもらったことがあります。イチローさんは練習を終えると、その場で必ずスパイクなどの手入れをしてから帰っていました。僕も隣で一緒に磨きました。

 

あれほどの選手でも、道具を体の一部だと考え、大切にしている。その姿勢が伝わってきました。

 

新庄剛志さんも、入団当時に購入したグラブを何度も補修しながら、試合で使い続けていました。つぎはぎだらけで、ポケットが3つぐらいあるように見えて、「どこで捕るんですか?」という感じでしたけど(笑)。

 

それでも新庄さんは「捕れる、捕れる」と言うんです。それだけ自分の感覚に合っていたのでしょうね。いろいろな道具を試すなかで、いつか自分の感覚に合うものが見つかる。それが、道具探しの冒険の終わりなのかもしれません。

 

 

 

トクサン:特に木製バットは、触れば触るほど違いが分かります。木は生きていますから、一本一本に個性がある。できるだけ多くのバットに触れながら感性を磨き、自分に合った一本を見つけてほしいですね。

 

 

 

ライパチ:野球がうまいから最高級の道具を使っていい、うまくないから使ってはいけない、ということではないと思います。

 

たとえ上手でなくても、「格好いい道具を使いたい」という気持ちをモチベーションにしていい。大切なのは、周囲からどう思われるかではなく、自分がどれだけ野球を楽しめるかです。

 

気に入った道具を使い、それでヒットを打てたら最高ですよね。いろいろな道具を試しながら出会ったものが、いつか自分にとって最高の相棒になるのだと思います。

 


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【写真】軍記ひろし
【取材・文章】池田鉄平
 

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