■優勝は青山学院大学で3連覇
正月の風物詩、第102回東京箱根間往復大学駅伝、通称「箱根駅伝」が開催された。レースは、往路新、復路新と総合新記録で青山学院大学が優勝、3連覇を達成。また、個人でも1区、2区、5区、8区、10区で区間新記録が出るなど記録ずくめの大会となった。
特に青山学院大学の5区の黒田朝日選手は圧巻。小田原中継所、襷渡しの時点でのタイム差3分24秒の大きなビハインドを逆転、区間新記録でトップに立つ驚愕の走りを披露、お茶の間を釘付けにした。結果、この激走は、往路優勝だけでなく、総合優勝の立役者といえ、箱根駅伝の歴史で語り継がれる逆転劇となったであろう。
これらの成果は、監督の采配や選手の才能、努力はもちろんのこと、近年目覚ましい進化を遂げているトレーニング理論、栄養学、メンタルケアなども背景にあるが、シューズの劇的な進化も忘れてはならない。
ということで今回も箱根駅伝に見るシューズ事情、選手の足元、シューズに関わる“ドラマ”を紹介したいと思う。

■シューズシェアトップは今年もアディダス
シューズ着用トップシェアは、今回210名中75足の35.7%で、2025年に続いて2年連続でアディダスとなった。
■開催年から見たランナー着用シューズブランドシェア

そして、レース中、このホワイト&ブラックのアディダスのシューズが目立った。まさにアディダスのトップシェアの立役者、このシューズがアディダスを着用した学生の中で最も着用数が多かったのだ。
しかし、こちらADIZERO ADIOS PRO EVO 1(アディゼロ アディオス プロ エヴォ 1)とADIZERO ADIOS PRO EVO 2(アディゼロ アディオス プロ エヴォ 2)と実は2種類あったことはご存知であろうか。
どちらも定価は、ナント82,500円で約138g(27.0㎝/片足重量)とアスリートのために作られたスーパーシューズ中のスーパーシューズで、世界中のレースでこのシューズを着用した選手の活躍が目立っているのだ。
ちなみにアディダスは、出雲駅伝、全日本大学駅伝、箱根駅伝予選会(予選会の結果、箱根駅伝本戦出場が決まった10校のうち10名)でのシューズシェアでは3連勝であったが、例えば、箱根駅伝予選会のトップ100位のランナーが着用したシューズでみてみるとアシックスがシェアトップになるなど、その差はかなりの僅差のようにみえた。しかし蓋を開けてみたら、箱根駅伝本番はウェアスポンサー校の青山学院大学はもちろんのこと、アディダスは各区間に万遍なく着用者がいて、シェアトップでなかったのは1区、8区のみ。それもその2区間での差はわずか1足差と結局、全区間で圧倒したのだ。

■アシックスは一歩及ばず2年連続2位
そのアシックスは2021年大会での着用者ゼロから5年、いよいよ60足、28.5%と30%弱のシェアに復帰。ただ事前のレースでは拮抗していたアディダスに箱根駅伝本番では差をつけられた形になった。
ただ、レース全般的に、鮮やかなグリーンカラーのEKIDEN Pack(エキデンパック)が目立っていて、マーケティング的な効果は絶大。むしろ、このカラーのシューズが印象に残った視聴者も多かったのではないだろうか。
ちなみに、こちらはMETASPEED SKY TOKYO(メタスピードエッジトウキョウ)、METASPEED EDGE TOKYO(メタスピードエッジトウキョウ)、それぞれの開発中のシューズのプロトタイプと、実は、同じグリーンカラーのモデルでも、ナント4種類あったことを追記しておこう。
それに加えて、ホワイトベースの約129g(27.0㎝/片足重量)の業界最軽量級モデル、METASPEED RAY(メタスピードレイ)、その開発中のプロトタイプ、そして、旧モデルを履くランナーもいて、メッシュの細かいラインナップを誇るアシックスらしい着用モデル数になった。

■ナイキとプーマ熾烈な第3勢力争い
小田原中継所では3分23秒あったトップとの差は、國學院大学高山選手の快走で1分28秒差になり、優勝争いはまだまだ分からないというそんな最中、この時点で、昨年のシェア3番手のナイキと4番手のプーマは足数同数で並んでいた。
最終的にはナイキが3番手を死守したが、2021年に95.7%あったシューズシェアは昨年の23.3%からさらに減らして、ついに16.7%となった。
それでも昨年初登場したVaporfly 4(ヴェイパーフライ 4)は、元祖スーパーシューズらしい36mm厚の中厚底スタイル、クッション性と接地感が同調を考えた新たな方向性のモデルになっていて、今大会でのナイキ着用選手のシェアも最も多かった。昨年開催された男女の高校駅伝や女子大学駅伝でもこのモデルのシェアは高かった。
対して、プーマはウェアスポンサー校こそ2校しかなかったが、各区間に万遍なく着用者がいて、シェアも足数も年々徐々に上がってきている。ついに30足台に乗せて14.8%とナイキに迫る勢力になり、もはやアディダス、アシックス、ナイキの3強ではなくて、プーマを入れて4強と表現すべきだろう。

プーマは、DEVIATE NITRO ELITE 3(ディヴィエイト ニトロ エリート 3)、FAST-R NITRO ELITE 3(ファスト アール ニトロ エリート 3)の2足を選手は着用した。

■4強に挑むその他のブランドのシェア
前作のウエーブリベリオンシリーズと比較して、男女の高校駅伝や富士山女子駅伝、元旦のニューイヤー駅伝では、12月に正式に発表されたHYPERWARP(ハイパーワープ)シリーズで確実にアスリートの心を掴んだ感のあったミズノ。
しかし、ここ箱根駅伝では今年も苦戦、学連選抜6区、国士舘大学の山中選手と早稲田大学9区、小平選手の2人のみの着用となった。ただ、小平選手は9区で僅差の区間2位とシューズの機能性評価にもつながる活躍をしてくれたことは、ミズノにとって次につながる大きなトピックスとなったであろう。
■区間順位(1位~3位)から見たランナー着用シューズブランド(※速報)

また、多様性の2025年大会から比較すると、4大勢力に着用が集中した2026年大会だったが、6区でホカ着用者1名、10区ではオン着用者が3名滑り込んだ。また戦前の予想通りに順天堂大学の学生がニューバランスを着用して3足となった。
結局、ブランドシェアは4強に集中して、これらで全体の95.7%とその大部分を占めた形になった。

■アディダスVSアシックスのシューズシェア争い
事前に、優勝がどこかのチームかを予想するのも難しい混戦の状況であったが、シューズトップシェア争いも、実は最後までアディダスとアシックスの2強争いの様相で、どっちに転ぶか分からない状況であったのだ。しかし、優勝した青山学院大学のレース展開同様、結局アディダスの圧勝となった。
アディダスは、9名/10名が着用した優勝校 青山学院大学をはじめ、國學院大学、創価大学、大東文化大学のウェアスポンサー校で確実に着用者がいたことと、またやはり世界でアスリートが結果を出しているADIZERO ADIOS PRO EVO 1とADIZERO ADIOS PRO EVO 2の魅力に選手が惹きつけられたことが大きかったのであろう。
アシックスはウェアスポンサー校のうち、中央学院大学は8名/10名、早稲田大学は7名/10名と大票田になったものの、帝京大学と山梨学院大学の4名/10名とウェアスポンサー校に温度差があったのももう一歩伸びなかった要素かもしれない。
ちなみに、青山学院大学も10名全員がアディダスを着用すると思われたが、9名/10名となって、結局、アマチュアスポーツのそれも学生駅伝ゆえ、当然、最終的にはどのブランドを着用するかは選手が判断することもあって、そんな要素がかえってシューズ事情にもドラマを生み出しているのだ。
そして、箱根駅伝を見て走りたくなった方は、くれぐれも選手と同じモデルを買って走り出そうとせずに、各ブランド、選手が本番で着用したモデルとカラーリング・デザインが酷似したコレクションを発売しているので、ご自身の用途にあったものを選んで欲しいと切に願っている。
さて、2026年大会が終わった、しかし、関係者は早くも2027年大会に向けて動き出している。また、今から来年のシューズ事情が楽しみだ。
【2025-2026年最新】スピードシューズ特集
> 特集ページはこちらから
<著者プロフィール>
ランニングシューズフィッティングアドバイザー
藤原岳久(FS☆RUNNING(旧 藤原商会)代表)
日本フットウエア技術協会理事
JAFTスポーツシューフィッターBasic/Advance/Master講座講師
足と靴の健康協議会シューフィッター保持
・ハーフ1時間9分52秒(1993)
・フルマラソン2時間34分28秒(2018年別府大分毎日マラソン)
・富士登山競走5合目の部 準優勝(2005)
【文章・写真】藤原岳久
【画像】アルペングループ提供