現代野球は投手の役割が細分化していて、従来のように先発完投型の投手はまれになりつつあります。投手の役割にはさまざまな種類がありますが、その中でも代表的なものが「クローザー」です。プロ野球の試合中継でもよく耳にする言葉ですが、具体的にクローザーはどのような役割を持つのでしょうか。
ここでは、野球の勝敗を大きく左右するクローザーの概要をご紹介します。
【目次】
■野球のクローザーとは
・クローザーの役割は?
・リリーフとクローザーの違い
■クローザーが普及した歴史
■クローザーに求められる能力は?
・三振を奪う力
・メンタルの強さ
・状況適応力
・チームメートからの信頼感
■名クローザーは強いチームに欠かせない存在
■野球のクローザーとは

野球におけるクローザーとは、最終回のリードしている局面で登板する投手のことです。「閉じる」という意味を持つ「close」が由来で、抑え投手やストッパー、守護神と呼ばれることもあります。かつては火消し役やファイヤーマンなどとも呼ばれていました。
クローザーは、中継ぎなど他のリリーフ投手とはどのような違いがあるのでしょうか。
・クローザーの役割は?
クローザーは、自チームが勝っている試合の最後を締める投手のことです。延長戦などの例外はありますが、通常は9回の1イニングに登板します。
最終回での失点を防ぎ、リードを保ったまま試合を終わらせることが主な役割です。
特定の条件を満たした状態で試合を終わらせると、クローザーには「セーブ」が記録されます。その投手の活躍を知る指標として活用できるので、セーブの条件を覚えておくと試合観戦の際に役立ちます。
【セーブが記録される必要条件】
1.勝利チームで最後を投げ切った
2.勝ち投手の記録を得ていない
3.最低でも3分の1イニング(1アウト)は投球が記録されている
4.「3点差以内のリードで登板して1イニング以上投げる」「迎える2打者に連続でホームランを打たれると同点または逆転となる場面でリードを守り切る」「点差に関係なく3イニング以上投球する」のいずれかに該当する
最後に投げた投手がセーブの権利を得るため、他の中継ぎ投手にセーブがつくことはありません。
勝利投手とセーブの権利が同じ投手につくこともないため、先発投手が9回を完投した場合は勝ち数のみが記録されます。
・リリーフとクローザーの違い
クローザーと似たような場面で使われる言葉に「リリーフ」があります。リリーフは、先発が降板した後に投げる投手の総称です。中継ぎ投手やクローザーも、全てリリーフ投手として分類されます。
また、リリーフにはクローザーだけでなく、ワンポイントやロングリリーフ、セットアッパーなどの役割があります。代表的な役割の概要は、以下のとおりです。
【ワンポイント】
左バッターに左投げの投手を登板させるなど、特定の相手または状況に対応するために登板するリリーフです。ショートリリーフなどと呼ばれることもあります。
試合時間短縮を目的に、メジャーリーグではワンポイントリリーフの登板は原則禁止されています。
【ロングリリーフ】
長いイニングを投げるリリーフのことです。先発投手が早くに降板した状況で起用されます。
【セットアッパー】
自チームが勝っている時や、接戦の際に登板するリリーフです。先発や他のリリーフとクローザーをつなぐ役割を担います。クローザーと同様に、実力のある選手が起用されるのが一般的です。
【敗戦処理】
相手に大量リードを許してしまい負けが濃厚な状況で、勝ちパターンの投手を温存するために登板します。若手投手が担うケースが多い傾向にありますが、まれに野手が起用されることもあります。
【オープナー】
本来リリーフとして起用される投手を先発登板させる戦術です。オープナーが相手の上位・中軸を抑えた後、本来の先発投手がロングリリーフとして登板します。
■クローザーが普及した歴史
昔の野球は、先発投手が完投するのが一般的だったうえに、エースピッチャーが先発として投げるだけでなく、リリーフとしてマウンドに上がることもよくあるケースでした。
そのため、現代では考えられないほどの勝利数を記録している往年の名投手も数多く存在します。
しかし、1974年にセーブが公式記録として導入されたことなどをきっかけに、プロ野球ではリリーフ投手という立ち位置が確立。先発・リリーフの分業化が進む中で必要とされるようになったのが、試合の最後を締めるクローザーです。
90年代後半になると、クローザーがラスト1イニングだけを任されるパターンが増えていきました。現在は、各チームに欠かせない必須の役割となっています。
■クローザーに求められる能力は?

クローザーは、試合の最後を締めくくる重要な役割を担う投手です。試合を作る役割を担う先発投手と同様に、クローザーにはさまざまな能力が求められます。
一般的に、クローザーに必要とされる能力は、以下のとおりです。
・三振を奪う力
クローザーが登板する状況は、点差が少なく失点が許されない場面です。犠牲フライや内野ゴロによる失点も、できる限り防ぐことが求められます。
そのため、剛速球や曲がりの大きな変化球など、三振を奪うことができる決め球は欠かせません。
無用なフォアボール(四球)が増えると、自らピンチを広げてしまうことも考えられます。ストライクを狙って取ることができるコントロール力も必要です。
・メンタルの強さ
例外はあるものの、クローザーが登板するのは自チームが勝っているか、同点で迎えた最終回であることがほとんどです。
相手を確実に抑えることが求められるため、プレッシャーがかかりやすい場面といえます。
重要なシーンでも普段通りのパフォーマンスを発揮できる、メンタルの強さも必要です。
また、どれだけ優れた投手だとしても、相手に打たれてしまうことはあるものです。失点したとしても、それを引きずらずに次のプレーに移る切り替えの早さも求められます。
・状況適応力
試合開始のまっさらな状態から投げる先発投手とは異なり、クローザーはどのような状況から投げ始めるかが決まっていません。
ランナーの有無や点差、対戦する打順などは、試合展開によって毎回異なります。相手の下位打線を抑えれば良いだけのこともあれば、1アウト満塁で4番バッターを迎えた状況から登板することもあるでしょう。
場面に合わせて投球を行う状況適応力や、1イニングを全力で投げ切る集中力も必要な能力です。
・チームメートからの信頼感
投球が不安定で「今日は大丈夫かな」などと仲間から思われてしまうと、チームの士気にかかわります。
「最後はあの選手が必ず締めてくれるから」「あいつが打たれたなら仕方ない」などと思ってもらえるような信頼感も欠かせません。
実力はもちろん、チームメートから信頼される人柄も必要になります。
■名クローザーは強いチームに欠かせない存在
投手の分業化が進む現代の野球において、試合の最後を締めるクローザーは欠かせない役割のひとつです。絶対的な守護神の有無が、チームの年間成績を大きく左右することもあります。
試合観戦の際は、そのチームのクローザーにも注目してみてはいかがでしょうか。
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【文章】アルペングループマガジン編集部