2018年11月10日、川崎フロンターレが明治安田生命J1リーグで見事2連覇を達成した。優勝の立役者でチームの司令塔でもある中村憲剛選手(38歳)は、これまでどのようなサッカー人生を歩んできたのだろうか?インタビュー中に強く感じたのは、ブレない強さであった。
――まず、サッカーを始めたキッカケを教えてもらえますか? 中村:小学校に入る時に母親がスポーツをやらせたいということになりました。当時から僕はサッカーボールを蹴っていたらしいので、チームに入りましたね。
幼少期に読んだ「キャプテン翼」は、センセーショナルでした。あんな完全無欠な勝利者はいないと思いますけど(苦笑)。全部勝ちますから。サッカーの楽しさを教わったと思います。
――プロ選手を、いつから目指すようになりましたか? 中村:中学生の時にJリーグの選手になりたいと思いましたが、なかなか上手くいってなかったので現実的ではなかったです。その頃は、背が小さく自分よりも大きい人たちを相手にしなければならないので、とにかく必死にやっていました。
プロが具体的なものなったのは、大学4年生の時でした。当時J2のフロンターレの練習に参加してみると、自分は入れるかもしれないと思ったんですよね。手応えは多少あり、チームの雰囲気が良いと思いました。
――中村選手に影響を与えた人物はいますか? 中村:高校サッカー部の顧問の先生ですね。先生に質問した時に「自分で考えろ」と言われ、その一言で突き放されたのが良かったと思っています。それから自分で考えることが身に付きましたし、自分の能力で試合に出るためにはどうすれば良いかと真剣に考えるようになりました。 もともと背が大きくて足が速かったりしたら、そこまで考えてはいなかったと思います。なぜなら、できてしまうから。できなかったからこそよく考えるようになって、それが今に生きていますからね。練習方法というよりも頭の中の変化があり、かなり大きかったと思います。 ――では、どう考えるのが良いと思いますか? 中村:今の子たちでも頭の中は、すぐにでも変わることができると思います。練習はこれだけをやれば良いということじゃないので。この練習にどういった意味があり、監督が何を意図しているかを、考えて理解して自分が上手くいくためにはどうすれば良いかを考えるべきだと思います。そこでどんどん差が出てきますから。 今日よりも明日の方が上手くなりたいと、選手としてのモチベーションにもなると思うことは強めに言いたいです。今まで色んな選手たちを見てきましたが、上に行く人たちは自分で考えていますから。 あとはそれぞれの環境に合わせていくだけです。できなくてダメな自分を1回受け入れてみて、できなくても良いんですよ。最終的にできるようになれば良いわけですから。でも人間って、なかなか受け入れることができないんですよね。ちょっと嫌だけど、これができると試合で監督に使ってもらえるというように考えるようになりました。
――試合に出るために必死だったのですね。 中村:やっぱり選手は、試合に出てなんぼですからね。どのようなカテゴリーにいても、試合に出なければ話にならないですから。だから、そのための努力を一切惜しまなかったです。38歳になりますけど、まだまだやりたいですしどうやって自分をアジャストさせていくかを考えています。これしかできないということになると、あっという間に引退をしていたと思います。 プレー面だけでなく、それ以外に関してもそうなりますね。自分が自然にやれるためにはどうしていくべきかを1つ1つ真剣に考えることがあれば、適当にやっていることもあります(苦笑)。楽しくいかにやるかと、年々ストレスがかからない生活となってきています。結局楽しくやることで色々な変化に対応できるようになりますから。 ――コンディション維持について、どう考えていますか? 中村:怪我をしないで練習に参加してやることがとても大事だと感じています。怪我をして離脱するとストレスとなり、戻るまでに時間がかかりますから。 ――食事やケアを徹底していますか? 中村:食べたいものを適度に食べています。お菓子も普通に食べます。ストイックにやりすぎることは自分には向いていなく、とにかくストレスを作りたくないというのがありますからね。 ケアは欠かしませんね。痛くなってからではなくて、何もない時ほどケアをしています。動ける時ほど怪我をするリスクが高くなってくるので。毎日のメンテナンスは、欠かせません。1日24時間ある中で、いかに上手くストレスがない状態で過ごせるかを考えています。
――サッカースパイクへのこだわりはありますか?ミズノのモレリアを履いていますね。 中村:こだわりを持っている選手ほどのこだわりはないですが、想いはあります。出会いは高校の時で、簡単に手を出せるものではないという所が気に入っていました。高貴なイメージがあり、格がある渋さも好きでしたね。プロ3年目から契約をさせていただいています。 ――モレリアの良さは何だと思いますか? 中村:軽いし、すごく革が良くて素足感覚な2点が良いですよね。これらを極限までやってくれとミズノの方に毎年言っています(笑)。モレリアのキャラクターに選ばれた時は、飛び上がるほどに嬉しかったです。自分が好きで大事に履いてきたスパイクの広告塔に選ばれたことは、物凄く誇りに感じていますし、感謝しています。
――昨年のJ1でフロンターレとして初めて優勝し、心境の変化はありましたか? 中村:優勝へのプレッシャーが無くなりました。リーグ終盤になると、シルバーコレクターなど色々言われてきました。優勝できないと、やっぱりダメだと記事に書かれることがストレスだったのかなと改めて思います。今年はプレーをしていて、とにかく楽しくサッカーをやれていますね。
――今後の目標は何となりますか?
中村:もっと上手くなりたいです。年を重ねていく中で、自分で自分の可能性を切り開いていきたいなと思います。後輩たちに、ここまでできるんだというベテランの価値を上げていきたいですね。
周りからのプレッシャーはないですが、自分で甘えないようにプレッシャーをかけるようにしています。自分で突き詰めていくだけですからね。誰も到達したことない所を見てみたいなと思います。
――トップ下をやっていることについて、どう思いますか? 中村:サイドをやるよりかは真ん中をやった方が良いかなと思いますね。自分が真ん中をやることで多くの人のためにできることがあるので、1番向いているのかなと。
――イニエスタと戦ってみて、どうでしたか? 中村:ポジショニングやボールの持ち方が凄いなと思います。彼が日本にいることで生やTVで観ることができますし、ボールタッチのきめ細やかな感じを知れることが大きいですよね。
――日本のサッカーが進むべき道を、どのように考えていますか? 中村:先日のワールドカップで西野さんの日本代表が示してくれたと思います。Jリーグが始まってまだ25年ですし、世界も進んでいる中で後発の日本がここまでやっているのが凄いことだと思います。
日本人らしさや日本語の細やかさって凄いなって改めて思いますね。言葉のちょっとしたニュアンスで受け取る方の感覚も変わってきます。日本人監督でベスト16に2回も進出している事実を、無視することはできないと思います。
ワールドカップでベスト4以上にいくには、自国の監督でなければならないというデータも出ていますから。文化やどのような人種なのかを知っている日本人が、監督をやるべきだと思います。
今後もし結果がでないことがあっても、何が原因だったのかを考えれば良いと思います。外国人監督になると、その責任を擦りつけて終わって、また0からのやり直しとなりますからね。
――中村選手が監督となったら面白いチームとなりそうですね。 中村:10年位前から監督をやってみたいと意識しています。中盤の選手でもありますし、ゲームを動かすということを意識してやっていますからね。その延長線上に監督業があると思いますので。監督は、色々選択肢が ある中の1つだと考えています。 ――アルペングループマガジンの読者へ、メッセージをお願いします。 中村:自分自身に期待してほしいですね。そうすれば自分がどう進んでいくかを考えることができると思いますから。そして、自分の可能性にフタをしないこと。無理だと思ったら無理ですから、そこに至る努力をするかしないかですよね。
目の前のことをコツコツとやってきて今がありますし、ダメだなと本気で思ったことは1度もありません。あとは、真剣に上達することを楽しんでほしいです。
――最後に、中村選手にとってサッカーとは何でしょうか? 中村:何ですかね?(笑)
サッカーはもう全てですよ、僕にとっては。6歳からやっていますし、人生から切り離せないです。
■川崎フロンターレ公式サイト https://www.frontale.co.jp/
■中村憲剛公式Twitter https://twitter.com/kengo19801031
■中村憲剛オフィシャルブログ https://lineblog.me/nakamura_kengo/
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