天候に左右されずプレーできる、都心では砂埃の問題も解決できる…などといった利点から、近年では人工芝を採用したグラウンドが増えています。しかしながら、メリットがある一方で「地面からの照り返しの熱で、特に真夏は耐えられないほどの温度になる」というデメリットがあり、選手たちの足裏を悩ませているのをご存知でしょうか? その悩みを解決したのが、umbro(アンブロ)のスパイクシューズ。 「選手たちが熱に悩まされることなく思い切りプレーできるようになって欲しい」という想いで新たなスパイクシューズの開発を成功させた、デサントジャパン株式会社アンブロマーケティング部MD課の杉本亮さんと、そんなスパイクシューズを仕入れるに至ったアルペングループのバイヤー、ボールスポーツ商品部の岡部恵哉さんからお話を伺いました。 ――umbroスパイクシューズに「GAINA」という素材が使われているとのことですが、一体どんなものですか? umbro 杉本さん: 一言で言えば「特殊セラミック素材」です。 元々は宇宙ロケットの先端部分に採用されており、JAXA(宇宙航空研究開発機構)の技術を民間転用した第一号商品がGAINA。umbroで初めて二次利用されました。 GAINAの特徴は、熱の侵入を遮断する遮熱効果です。住宅の壁や天井などに塗布すると冷暖房効果が高まるため、エコ、省エネを目的に広く利用されています。 また、熱だけでなくニオイや騒音にも効果があるとされており、従来の住宅用断熱材は厚く嵩高がある製品が中心でしたが、GAINAの誕生によって薄く塗布することが可能になりました。 ――なぜそのような素材をumbroスパイクシューズに搭載しようと思ったのですか? umbro 杉本さん: 日本におけるサッカーは、欧米とは異なり夏も含め一年中行われています。特に学生は、1週間の短期開催で大会を行うこともあります。 ただでさえ消耗の激しい時期に加え、普及が進んでいる人工芝はピッチの表面温度が下がりにくいという問題を抱えているのも事実。夏場は温度が60℃を超える場合もあり、天然芝と比較すると20℃以上の差が発生するわけです。 実際、小学生向けのサッカー大会で、暑さによる熱で足裏を痛めてしまい2日目の大会に参加できない選手を見たときは、「これは大きな問題だ」と感じました。 私自身も早朝にサッカーをすることがありますが、朝7時でさえも日差しだけでなくピッチ表面からの熱で疲れが増す気分になるのですから、小さな子供たちの負担は相当なものだったでしょう。 弊社のシューズ企画チームでは、数年来にわたって人工芝の熱対策を何とかしたいと考えてはいましたが、それまで効果的な打ち手を見つけることができていませんでした。 そんな折、GAINAの存在を知り、「GAINAの『薄く塗布できる』という特徴をシューズに活かせれば、きっと効果的な対策となるはずだ!」と信じ、企画を進めることになりました。 ――GAINAという素材をumbroサイドから初めて聞いたときの、率直な感想は? Alpen 岡部さん: 「非常に面白い」。それが、最初に話を聞いたときの感想です。 私自身も小学校からずっとサッカーを続けていますが、特に高校、大学に進むにつれ人工芝でプレーする頻度が増え、人工芝の熱さというのはこれまでに体験したことのない衝撃を受けたのを覚えています。 現在地球温暖化が進み、年を追うごとに暑さが増している今日、一方で人工芝の普及が加速していることもあって、「GAINAのような機能が本当にあるのなら、ぜひとも欲しい」そんな想いを抱きました。 おそらく私だけでなく、現在サッカーをしている人は皆同じことを考えていると思います。 今後GAINAの遮熱効果がさらに高まり、世間に広まっていけば、umbroスパイクシューズの需要はもっと高まるのではないでしょうか。 「人工芝の上でプレーしても、足裏からの灼熱がなくなる」 そんな日が来れば、さらにプレーの精度が上がり、サッカー界にとって非常にプラスになると感じました。 ――ちなみにGAINAはどの部分に搭載されていますか? umbro 杉本さん: GAINAはインソールを外したときに見える、靴底に張ってある黒い布のような素材部分に塗布しています。 この塗装面は、シューズの中を覗いても実際に見ることはできません。 理由としては、GAINAの塗布面を保護し、効果を長持ちさせるため。 使い古されたサッカーシューズは、非常に痛んだ状態となります。特に靴底やインソール周辺は、磨耗してすり減りがちな場所です。そこで選手が使用を続ける中で、靴内が磨耗してGAINAが剥がれ落ちないよう、考慮した仕様にしました。 ――GAINAを搭載するにあたって、苦労したことは何ですか? umbro 杉本さん: 企画の進行を決断してからは、苦労というよりも、一日でも早くサッカー選手たちの悩みを解決してあげたいという想いで突き進んでいた気がします。 テスト着用の確認、GAINAの塗布箇所の決定や搭載モデルの決定、価格決定などには時間を要しましたが、振り返るとあっという間に時間が過ぎたように感じます。 販売の段階に入ってからは、GAINAの機能をお伝えすると喜んでいただけることが多かったです。 Alpenさんにおいては、岡部さんのご協力もいただきながら引き続き普及活動を行っていきたいと思っています。 私たちはメーカーの立場から、さまざまな環境下でもサッカーにとことん集中できる手助けを続けていきたいと考えています。そのためにも、今後はGAINA搭載の商品をさらに拡大・強化していく予定です。 弊社には『すべての人々に、スポーツを遊ぶ楽しさを』という企業理念があります。 私自身もスポーツからたくさんのことを教えてもらいました。温暖化が進む中でも、快適性・機能性を提供できる商品開発に勤しみ、これからも多くの方々、特に学生の皆さんが心置きなくスポーツに打ち込めるよう、努力を続けていきたいです。 ――GAINA搭載のumbroスパイクシューズをAlpen Groupで展開しようと思った理由は? Alpen 岡部さん: 他社との差別化、それがいちばんの理由です。 umbro様ともお互い「サッカースパイクをどうにか伸ばしていきたい」という想いで協業しており、伸ばすためにはやはり他社との差別化が不可欠であると感じていました。 正直まだ主要メーカー様との差はありますが、umbroスパイクシューズもジュニアモデルを中心に、着実に支持を得られるようになってきています。 他社ではまだやっていない、「遮熱効果」という差別化。展開が始まってからまだ短いので、お客様にこれからどう伝えていくかが非常に大きなポイントになるかと思います。 今後、同様の機能が他社からも出てくることは想定できますが、ぜひumbroスパイクシューズにはこのまま最先端を突き進んでいって欲しいです。 ――店舗ではどのようなお客様がumbroスパイクシューズを購入されていますか? Alpen 岡部さん: ジュニアから大人まで、幅広い層のお客様にご来店、ご購入いただいています。 その中でも特にエントリー層のお客様が多いですね。もちろんコアなお客様に向けても、大型量販店や専門店に負けない品揃えを強化している店舗もありますので、そこは徹底的にアピールしていきたいと思っています。 今後については、ただ商品を仕入れて店頭に並べるだけではオンラインストアとなんら変わりません。 デジタル化が進む今、いかに店頭で演出し、実際に見て、話を聞いて、試着して納得いくシューズを購入していただくかがポイントとなってくるでしょう。もちろんそのためには店舗スタッフの知識量やマンパワーが必要不可欠ですので、協力し合いながら付加価値をお客様にお届けしていきたいです。 最終的には「サッカー用品を買うならアルペン・スポーツデポ!」と評価されるよう、日々努めていきたいと思っています!
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