26-27シーズン J1リーグ開幕直前展望!!

(上記写真:明治安田J1百年構想リーグで優勝したヴィッセル神戸)


2026年6月から7月にかけてのサッカー界は、W杯で一色となっている。世界中の視線がアメリカ、メキシコ、カナダの開催国に注がれるなかで、Jリーグ各クラブは8月上旬開幕の26-27シーズンへ向けて動き出している。

 

2月から6月にかけて開催された明治安田J1百年構想リーグは、23年と24年のJ1リーグを連覇したヴィッセル神戸が1位でフィニッシュした。2位は25年のJ1リーグ覇者の鹿島アントラーズである。来る26-27シーズンも、この両チームが優勝争いの中心となるはずだ。

 

神戸は新シーズンへ向けた移籍市場で、横浜F・マリノスからMF渡辺皓太を獲得した(以下、情報はすべて7月1日現在)。この27歳は東京ヴェルディの育成組織からトップチームへ昇格し、高校3年生にしてJリーグのピッチに立った。日本代表に選ばれたこともある。166センチとサイズは小さいものの、高い技術でゲームをコントロールする。神戸は4-3-3のシステムを基本としており、渡辺はアンカーでもインサイドハーフでもプレーできる。

 

さらにはブラジル人FWアンデルソン・ロペスが加わった。23年と24年のJ1リーグ得点王で、J1通算101ゴールの実力者である。GK権田修一、DF酒井高徳、FW大迫勇也、FW武藤嘉紀らのW杯経験者が集うチームは、さらにスキがなくなった。J1リーグのタイトル奪還はもちろん、アジア王者を争うAFCチャンピオンズリーグエリート(以下、ACLE)も本気で獲りにいく。

 

鹿島はピンポイントで新戦力を補強した。ブラジル人MFマテウス・ブエノが、スカッド入りしている。ボランチの知念慶が横浜F・マリノスへ移籍したものの、清水エスパルスで背番号10を着けていたブラジル人MFをすかさずメンバーに加えたのだった。

 

 

鹿島の攻撃をけん引する鈴木優磨。タフなメンタルもチームの支えに。


鬼木達監督が指揮する鹿島は、GK早川友基、CB植田直通、MF柴崎岳、MF三竿健斗、FW鈴木優磨ら、日本代表経験を持つ選手をズラリと揃えている。早川は北中米W杯の日本代表だ。25年シーズンのJ1リーグ制覇を成し遂げた鹿島のセンターラインは、マテウス・ブエノの加入でさらに太くなる。

 

神戸と鹿島を追走する第2グループは、25年のJ1リーグ2位の柏レイソル、同4位のサンフレッチェ広島、同6位のFC町田ゼルビア、同7位の浦和レッズ、同8位の川崎フロンターレ、同9位のガンバ大阪らが構成する。

 

柏の百年構想リーグは、意外なものだった。15位に終わったのである。結果は出なかったものの、25年の躍進を支えたDF古賀太陽、MF小泉佳穂、FW細谷真大らに加え、26年冬にドリブラーのMF汰木康也を獲得している。

 

新シーズンへ向けては、MF弓場堅真を迎え入れた。FC今治とサガン鳥栖で実績を積んできた25歳のアタッカーである。システムに応じて様々な役割を担うことができ、チーム戦術を多様にする。また、FC東京からMF遠藤渓太を獲得した。この28歳は日本代表歴を持ち、ドイツでもプレーした。鋭いドリブルからのチャンスメイクとゴール奪取が期待できる。保有戦力の最大値を引き出すスペイン人のリカルド・ロドリゲス監督は、チームをきっちりと立て直してくるだろう。

 

広島はビッグネームの電撃復帰へこぎつけた。FW浅野拓磨が、紫のユニフォームに袖を通すことを発表したのである。16年夏からヨーロッパで戦ってきた31歳は、清水エスパルスへ移籍したFWジャーメイン良、FW木下康介の穴を埋める存在となる。“ジャガー”加入の効果は、ピッチ内外で感じられるに違いない。

 

町田は、百年構想リーグで5位に終わった。25-26シーズンのACLEで準優勝という成績を残したチームは、GK谷晃生、DF昌子源、FW相馬勇紀ら既存の戦力が引き続き中心となっていく。オーストラリア代表FWテテ・イェンギは、北中米W杯でプレーした。

 

今シーズンはACLEに出場しないため、神戸や鹿島に比べると日程的な余裕がある。黒田剛監督は2チーム分に近い戦力を使い分けながら、初のJ1リーグ制覇をターゲットとする。

 

百年構想J1リーグで12位に終わった浦和は、曺貴裁(チョウ・キジェ)監督を招聘した。湘南ベルマーレをルヴァンカップ優勝へ導き、25年は京都サンガF.C.をクラブ史上最高位の3位へ導いている。実績は十分だ。22年のACL(現在のACLE)を最後にタイトルから遠ざかるビッグクラブが、熱血漢のOBのもとで再建へ乗り出した。

 

新戦力には水沼宏太が名を連ねる。J1の複数クラブで活躍してきた元日本代表の36歳は、25年1月から26年5月までオーストラリア1部のニューカッスル・ユナイテッド・ジェッツFCでプレーした。右足のキック精度に定評があり、オープンプレーとセットプレーのいずれからも得点機を生み出していく。

 

また、G大阪から22歳のFW南野遥海、町田からサイドバックの林幸多郎を獲得した。林は町田の主力選手で、様々なポジションをこなす柔軟性を持つ。

 

川﨑FはDFペドロ・ホマーノ、FWカイキ・ケイロスをチームに加えた。昨オフにチームを離れたDFジェジエウ、6月にジェフユナイテッド千葉への移籍が発表されたFWエリソンに変わる戦力である。最終ラインには、かつて在籍した日本代表の復帰も噂されている。

 

 

FC東京を指揮する松橋力蔵監督。自身にとっても勝負の2年目だ

 

松橋力蔵監督が2シーズン目を迎えるFC東京は、百年構想リーグで13勝5敗と大きく勝ち越した。最終順位は4位だった。百年構想リーグでレベルアップを感じさせた彼らも、第2グループを構成することになるだろう。

 

新潟在籍時に松橋監督のもとでプレーしたDF橋本健人、DF稲村隼翔が、今冬の新加入選手としてチームを充実させている。また、浦和からDF石原広教を補強した。39歳になったDF森重真人とDF長友佑都、32歳のDF室屋成らも健在だ。

 

アタッカー陣では、19歳の俊英・MF佐藤龍之介が移籍を前提とした手続きと準備のためにチームを離脱した。クラブは佐藤に代わるタレントとして、浦和からMF本間至恩を補強している。ドリブル突破が光る25歳のアタッカーで、ベルギー1部でのプレー経験もある。

 

25年のJ1リーグでクラブ史上最高位の3位に食い込んだ京都は、曺監督が百年構想リーグ途中で退任した。後任のランコ・ポポヴィッチ監督は、Jリーグの複数クラブで采配をふるってきた。日本サッカーや日本人選手の特徴は熟知しているが、5年半に及ぶ長期政権の後任は簡単でない。さらに、ACLEに出場しながらJ1リーグ戦を消化していくのは、クラブにとって初めての経験だ。ともにブラジル人のDFウェベルトン、FWエベルトン・マセイオ、日本代表歴を持つDF山中亮輔(名古屋グランパス)、DF加藤蓮(横浜F・マリノス)と、即戦力を呼び寄せて戦力の整備を急いでいる。

 

昨シーズンのJ1で10位に終わったセレッソ大阪は、百年構想リーグで3位に食い込んだ。今冬に元日本代表GK中村航輔、ロス五輪世代のMF横山夢樹、191センチの大型FW櫻川ソロモンらを獲得し、彼ら新戦力が勝利につながる働きを見せた。

 

新シーズンへの不安材料は、アーサー・パパス監督に退任の可能性があることだ。オーストラリア出身の指揮官は、元日本代表MF香川真司らのベテランと若手を、バランス良く起用しながら勝点へつなげていった。就任2年目を迎えていた彼がチームを離れると、新シーズンへの準備が遅れてしまう。

 

昨シーズンのJ1で16位に沈んだ名古屋グランパスは、百年構想リーグを6位でフィニッシュした。今シーズンからチームの先頭に立つミシャことミハイロ・ペトロヴィッチ監督のもとで、攻守両面を再構築している。その中心となっていたMF高嶺朋樹が、期限付き移籍から完全移籍へ移行したのはプラス材料。北海道コンサドーレ札幌在籍時にミシャのサッカーに触れたレフティーが、チーム浮沈のカギを握る。

 

名古屋と同じく今シーズンに巻き返しを期す横浜F・マリノスは、6月21日にスティーブ・コリカ監督の就任を発表した。このオーストラリア人は現役時代にサンフレッチェ広島でプレーし、指導者としてはシドニーFCで国内リーグを制覇している。25年のJ1リーグで15位に終わった名門は、コリカ監督とともに本来あるべき姿を取り戻す。

 

今回の移籍市場では、知念を鹿島から呼び寄せた。23年に川崎Fから鹿島へ移籍し、ストライカーからボランチへコンバートされて新たな才能を開花させた選手だ。屈強なフィジカルを生かしてボール奪取能力に優れる31歳は、神戸へ移籍した渡辺皓太の穴を埋める存在だ。また、3人体制だったGKに、スペイン人で世代別代表にセレクトされてきたルベン・ブランコを加えている。

 

積極的な補強を行っているのが、昨シーズンのJ1を14位でフィニッシュした清水である。MF宇野禅斗がドイツ・ブンデスリーガ1部のボルシアMGへ、MFマテウス・ブエノが鹿島へ移籍したが、彼らと同じボランチの選手としてブラジル人MFディエギーニョ、MF小泉慶を獲得している。DFラインには、左右両サイドでプレーできる須貝英大が加わっている。

 

攻撃陣には、MF藤井智也をJ2の湘南から、FWジャーメイン良とFW木下康介をJ1の広島から招き入れた。さらに、22年、23年に在籍した韓国代表歴を持つオ・セフンもスカッド入りした。J1復帰2季目のシーズンは、百年構想リーグから指揮を執る吉田孝行監督のもとで25年の14位以上の成績を目ざす。

 

クラブ初のJ1リーグに挑む水戸ホーリーホックも、百年構想リーグ18位の結果を受けて戦力アップをはかっている。GKヤクブ・スウォビィク(横浜FC)、いずれもCBの木本恭生(FC東京)、岩﨑博(栃木SC)、家泉怜依(札幌)を補強した。木本はJ1で200試合以上の出場を記録している経験者で、プロ2年目の岩﨑は186センチの長身を誇る。家泉は札幌の守備の中心だった選手だ。
 

攻撃陣にはFW内野航太郎、FW谷口海斗が仲間入りした。内野は25年7月に筑波大学からブレンビーIF(デンマーク1部)へ移籍し、今年3月に神戸へ期限付き移籍していた。この22歳は186センチのサイズがあり、豊富な得点パターンを持つ。タレント揃いの神戸では出場機会が限られたものの、ポテンシャルは高い。

 

谷口はJ3のロアッソ熊本で得点王となり、当時J2の新潟へ移籍した。新潟には21年から25年まで在籍し、J1、J2で2ケタ得点をマークしている。26年はオーストラリア1部のセントラル・コースト・マリナーズFCに在籍した。

 

水戸と同じくJ2から昇格してきたジェフ千葉は、川崎Fのエリソンを獲得した。このブラジル人ストライカーは、25年のJ1で12ゴールを記録している。ブラジルの同胞カルリーニョス・ジュニオとのコンビは、J1でも屈指のホットラインになり得る。

 

DFラインには、オーストラリア人のダニエル・ホールを加えた。この27歳は184センチのサイズがあり、守備のリーダーとして期待される。

 

V・ファーレン長崎は、18年以来のJ1リーグに挑む。高木琢也監督の指揮するチームには、DF大南拓磨がやってきた。ジュビロ磐田、柏、川﨑Fを経て、24年8月からベルギー1部のOHルーヴェンでプレーしていた。キャリアの円熟期を迎えている28歳は、CBでもウイングバックでもプレーできる。どのような役割を託されるとしても、チーム力を底上げする存在となるに違いない。

 

ヨーロッパの主要リーグに比べると、Jリーグはクラブ間の実力が拮抗している。ここで触れなかったチームがリーグを盛り上げても、決して不思議ではない。

 

 

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【文章】戸塚啓
【写真】佐野美樹

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