2026年7月11日(土)、スポーツデポ フラッグシップストア トレッサ横浜店で、小・中学生を対象にしたバスケットボールクリニックが開催された。
講師を務めたのは、バスケットボール系YouTuberとして人気を集める、ともやん【レイクレ】さん。「Lazy Lie Crazy【レイクレ】」に所属し、2019年には3x3.EXE PREMIERのOSAKA DIME.EXEと契約し、プロ選手としても活動した経験を持つ。現在はYouTubeでの発信に加え、バスケットボールアパレルブランド「&RSON(アンダーソン)」をプロデュースするなど、バスケットボールの魅力をさまざまな形で届けている。

この日、ともやんさんが子どもたちに伝えたのは、特別な技だけではなかった。ミスを恐れず、思いきってチャレンジすること。うまくなるために必要な“意識”を、子どもたちに丁寧に届けていった。

クリニックは、ともやんさんの自己紹介からスタートした。子どもたちの表情には少し緊張も見えたが、ボールを手にすると、会場の空気はすぐに変わっていった。
最初に行われたのは、ドリブルの基礎練習。
ともやんさんがまず伝えたのは、ボールを強くつくことだった。

「ミスしてもいいから、強くつくことを意識して」
その言葉を受けて、慎重にボールを扱っていた子どもたちのドリブル音が、少しずつ力強くなっていく。クロスオーバー、レッグスルーとメニューが進む中で、ともやんさんは一人ひとりの動きを見ながら、声をかけていった。
「できるだけボールを見ないで、前を向いて」


ボールを扱うことに集中すると、どうしても視線は下がってしまう。だが、試合では相手を見て、味方を見て、次のプレーを判断しなければならない。
技を覚えるだけではなく、その技を試合でどう使うのか。ともやんさんの言葉には、実戦で生きるバスケットボールの感覚が込められていた。
参加者の中には、小学生とは思えないほど器用にボールを扱う子もいた。
「みんなうまいね。何年生からバスケやってるの?」
ともやんさんがそう声をかけると、子どもたちの表情も少しほぐれていく。教わるだけの時間ではなく、ともやんさんと一緒にバスケットボールを楽しむ時間になっていった。

クリニックの中で、ともやんさんはハンドリングの大切さにも触れた。
今はYouTubeなどで、さまざまな選手のプレーや練習方法を手軽に見ることができる時代だ。うまい選手の動きを見る。自分でもやってみる。最初はうまくできなくても、少しずつ自分の動きにしていく。
その繰り返しが、バスケットボールをもっと楽しくしてくれる。

ともやんさん自身も、発信を通じて多くの子どもたちに技術やバスケットボールの楽しさを届けてきた。だからこそ、目の前の子どもたちに対しても、ただ正解を教えるのではなく、「見て、真似て、挑戦してみる」ことの大切さを伝えていた。

後半は、より実践的な1on1のメニューへと移った。
ここでともやんさんが強調したのは、ドリブルからの重心移動と、最初の一歩の大切さだった。
フェイントを入れるときは、もっと大きく。
相手を動かすためには、自分の体も思いきって使う。
そして、抜きにいく瞬間には、最初の一歩をしっかり蹴る。

「最初の一歩で、しっかり加速することが大事」
ともやんさんはそう伝えながら、自らディフェンス役にもなった。参加者が仕掛けるたびに、体の向き、ステップの踏み方、フェイントの大きさを丁寧にアドバイスしていく。

その中で、ともやんさんは、富樫勇樹選手と1on1をしたときのエピソードにも触れた。トップ選手と向き合ったときに感じた、最初の一歩の鋭さ、加速のすごさ。その体験を交えながら、子どもたちにもわかりやすく伝えていた。
ただドリブルをするのではない。
ただフェイントを入れるのでもない。
相手を動かし、重心をずらし、一歩目で抜き切る。

1on1の中にある細かな駆け引きを、ともやんさんは一人ひとりに寄り添いながら教えていった。


終盤にはフリースロー対決も行われた。子どもたちは真剣な表情でリングに向かい、シュートを放っていく。最も多く決めた参加者には、ともやんさんからサイン入りのプレゼントも贈られ、会場には笑顔が広がった。
クリニックの最後、ともやんさんは参加者に向けて、あらためて言葉を届けた。


普段教えてもらっている練習でも、少し意識を変えるだけで、より質の高い練習になる。同じメニューでも、何を意識するかによって、身につき方は変わっていく。
この日伝えたのは、決して難しいことばかりではない。強くつく。前を向く。リズムを意識する。最初の一歩を大切にする。どれもシンプルだが、うまくなるためには欠かせないものばかりだ。


この日のクリニックは、子供たちにとって、技術を学ぶだけでなく、日々の練習への向き合い方を少し変えるきっかけになったはずだ。
イベント後、ともやんさんにクリニックの手応え、ブランド「&RSON」に込めた思い、そしてこれからの活動について話を聞いた。
■ともやんインタビュー「夢を追う側から、夢を応援する側へ」
――本日は午前中に小・中学生たちとのクリニックを終えられました。率直な感想を聞かせてください。

小・中学生に教えるクリニックは、僕自身そこまで機会が多いわけではないんです。ただ、今日のように実際にやってみると、やっぱり吸収力がすごいなと感じました。
クリニックの中で伝えたことが、次のターンでは少しできるようになっていたり、動きに変化が出ていたりする。そういう成長がすぐに見えるのは、小・中学生ならではだと思います。
教えている側としても、一瞬で成長を感じられるのはすごく楽しかったですね。
――特に小学生の参加者には「うまいね」と声をかけられていた姿が印象的でした。

そうですね。最近の小学生は本当に技術力が高いなと思いました。
僕が小学生だった頃と比べても、今の子どもたちはスクールやチームで教わっていることのレベルがすごく上がっていると思います。「こんなこともできるんだ」と驚く場面もありました。
――今日のクリニックを受けた子どもたちに、どんなことを持ち帰ってほしいですか。

今回のクリニックで僕がテーマにしていたのは、スキルそのものというより、その土台になる部分です。
今は学校やチームでもいろいろなスキルを教わっていると思いますし、YouTubeなどで技術を学べる環境も増えています。だから、目に見えるスキルは、すでに高いレベルで身につけている選手も多い。
その中で、土台になる基礎や、技術をさらに生かすための体の使い方を、今回はメインに伝えました。
今日参加してくれた小・中学生がチームに帰ったときに、普段の練習の中で今日教えたことを少しでも意識してくれたらうれしいです。それによって、さらにバスケットボールがうまくなってもらえたらと思います。
――ここからは、ともやんさんがプロデュースする「&RSON(アンダーソン)」についても聞かせてください。スポーツデポ・アルペンでも取り扱いのあるブランドですが、立ち上げの背景にはどんな思いがあったのでしょうか。

僕自身、バスケットボールを続けてきた中で、自分のブランドを立ち上げることは、夢ではあったものの、まさか本当に実現できるとは思っていませんでした。
バスケットボールをするなら、かっこよく、おしゃれにプレーしたい。そんな思いから、自分自身が身に着けたいと思えるブランドとして「&RSON」を立ち上げました。
――バスケットボールとファッションの掛け合わせには、どんな相乗効果があると考えていますか。


バスケとファッションは、今ではすごく親和性があるものだと思います。ジョーダンブランドもそうですし、僕が好きなNBA選手にアレン・アイバーソンがいるんですけど、彼はバスケとファッションの関係を大きく変えた象徴的な選手だと思っているんです。
他のスポーツと比べても、バスケットボールはウェアも含めてファッションとの距離が近い。僕自身も、かっこよく、おしゃれにプレーすることがモチベーションになると思っています。そういうきっかけになればいいなという思いで、「&RSON」を作っています。
――子どもたちがウェアやシューズを選ぶときに、大事にしてほしいポイントはありますか。

機能性で言えば、一人ひとり使いやすさは違うと思います。だから、「これがいい」「あれがいい」というこだわりは、それぞれあっていいと思うんです。
ただ、それを抜きにすると、僕は「目立ってなんぼ」だと思っています。
服を着るにしても、バッシュを履くにしても、プレーとは別のところで目立つことも、ファッションの意味のひとつだと思うんです。それが自分の色になるというか。
だから、プレー以外の部分でも、もっとバスケを楽しんでほしいですね。
――今後の活動の展望や、今日のような小・中学生たちとどのように関わっていきたいかを聞かせてください。

僕は今、夢を追う人間というより、夢を応援する人間だと思っています。
もう現役のプレーヤーではないですし、プロを目指しているわけでも、五輪を目指しているわけでもありません。だからこそ、僕にできることは、YouTubeの活動やブランドの活動を通じて、今日クリニックに来てくれた小・中学生のような、これから未来のある選手たちにスポットライトを当てていくことだと思っています。
僕の活動を通じて、これから活躍していく選手たちの可能性を、もっと多くの人に届けていきたいですね。
――そのためには、ともやんさん自身もバスケットボールについて学び続けている部分が大きいのでしょうか。

そうですね。やっぱりバスケットボールを見る時間は増えています。
各高校に行く機会も多いので、そのたびに勉強になることがあります。指導に関することだったり、チームのスタイルだったり、強いチームはどういうことをやっているのかだったり。行くたびに、僕自身がすごく勉強させてもらっている感覚があります。
――そうした経験を通じて、ご自身もブラッシュアップされているんですね。

僕もバスケットボールを始めてから、気づけばもう10年以上になります。それでも今なお、新しく知ることがたくさんあります。だから飽きることがないですし、いつも新鮮な発見があります。そこがバスケットボールの一番の魅力であり、すごく楽しいところですね。
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【写真】佐藤ゆたか
【取材・文章】池田鉄平