(上記写真:25年秋完成のTOYOTA ARENA TOKYO。Bプレミアのアルバルク東京と東京サンロッカーズが、ホームアリーナとして使用する。)
バスケットボールの国内トップリーグが、新時代に突入する。
2016年に開幕したB.LEAGUE(以下Bリーグ)が、11年目の節目となる2026-27シーズンから新たな一歩を踏み出す。それが『B.革新』である。Bリーグは「バスケで日本を元気に」を実現するため、持続可能な経営を目ざすための構造改革が成された。
これまでのBリーグはB1、B2の構造を基本とし、B1・B2間の昇降格があった。サッカーの欧州各国リーグやJリーグと、ほぼ同じ構造である。
9月22日開幕のりそなグループ B.LEAGUE 2026-27シーズンから、BリーグはB.PREMIER(以下Bプレミア)、B.ONE(以下Bワン)、B.NEXT(以下Bネクスト)の3層構造となった。2026-27シーズンはBプレミアが26チーム、Bワンが25チーム、Bネクストが4チームで構成される。
Bプレミアは地域・日本を代表して、世界と伍する輝くリーグを目ざす。Bワンは地域に根ざし、世界と戦えるレベルを追求する。Bネクストはプロ水準のリーグを意識して、上位リーグへ昇格できる経営力を身につけていくクラブの集合体だ。
『B.革新』での大きな変更点として、競技成績による昇降格が廃止された。同時に、ライセンス基準を満たせば上位カテゴリへ参入できる『エクスパンション型』へ移行する。ヨーロッパサッカー&Jリーグ型から、競技成績による昇降格のないアメリカ4大スポーツ型への大転換がはかられたのだ。
昇降格のあるリーグでは、シーズンが終盤になるほど結果の重みが増す。「昇格争い」と「残留争い」は分かりやすくてスリリングなドラマとして、ファンやメディアの関心を集める。「優勝争い」のほかに、盛り上がりを作ることができる。
その一方で、下部カテゴリへ降格するとスポンサー収入などが減ってしまい、競技面だけでなく事業面でも立て直しを迫られる。多くの場合は経営規模が縮小してしまうが、そのなかで再び上位カテゴリへ復帰するためにヘッドコーチ、選手の入れ替えや補強などを行なう。復帰を果たしたあとも、「再び降格しないように」との危機感から、戦力の充実に資金を投入する。その結果として、集客増につながるはずの観戦環境の改善、次代の選手育成への投資などが、先送りにされてしまう。
昇降格が撤廃されたことにより、クラブは中長期的な視野で成長につながる投資を行なうことができる。チームの強化についても、目前のシーズンの優勝(や残留)のみを目ざすのではなく、「数年後のタイトル獲得」を念頭に置いた選手起用やチーム編成が可能となる。

Bプレミア参入には平均4000人以上の入場者数など、三つの基準クリアが求められる。
もちろん、それぞれのカテゴリで戦っていくためには、厳格な審査基準がある。
Bプレミアへ参加するには、平均4000人以上の入場者数、売上高12億円以上(バスケ関連事業で9.6億円以上)、基準を満たすアリーナの確保の三つを、満たさなければならない。この条件をクリアした26のクラブが、2026-27シーズンのBプレミアに参戦する。
それぞれのカテゴリへ入会後も、基準を満たしているかどうかの審査は継続的に行なわれていく。そして、永続的にクラブが存続し、ホームアリーナのある地域に貢献し、地域課題を解決できる仕組みを構築していくことを目ざす。
2026-27シーズンのBプレミアには、Bリーグで最多3回の年間優勝を飾った宇都宮ブレックス、同2回のアルバルク東京、同1回の千葉ジェッツ、琉球ゴールデンキングス、広島ドラゴンフライズ、2025-26シーズン優勝の長崎ヴェルカらが、東西13クラブずつに分かれて60試合のレギュラーシーズンを戦う。各地区上位3クラブとワイルドカード2クラブの計8クラブが、トーナメント方式のりそなグループ B.LEAGUE PREMIER PLAYOFFS 2026-27に挑む。
これまでのBリーグのレギュラーシーズンは、土日の連戦に加えて水曜日に試合を行うスケジュールがメインだった。それに対してBプレミアは、平日開催が大幅に増える。週末と平日の試合をバランス良く組み合わせることで、観戦機会の拡大が期待される。
プレーオフにも変更点がある。ファイナルが2戦先勝から3戦先勝となった。また、Bワンのプレーオフには、全25クラブ中16クラブが参加する。
選手、チームに関する変更としては、『サラリーキャップ制度』が導入された。選手の総年俸に、上限が設けられたのだ。
これは、経営の健全化を目的とし、同時にチーム間の戦力均衡を保つことを目的とする。特定のチームに高年俸で実力のある選手が集中することを防ぎ、戦力の均衡を実現して接戦のゲームを増やす。それによって、リーグとしての魅力を高めていくという考えかただ。
Bプレミアは上限を8億円、下限を5億円とする。上限だけでなく下限も設けるのは、各クラブに一定の戦力を揃えることを求めるためだ。


写真上:渡邊雄太(左)や富樫勇樹(右)、写真下:馬場雄大のようなスター選手が、Bプレミアを盛り上げていく。
そのうえで、『スター選手条項』というものがある。1.5億円以上のクラブ内最高額で契約した選手1名を、日本人選手、帰化選手、アジア特別枠選手、外国籍選手を問わずに、『サラリーキャップ制度』において1.5億円として計上できるのだ。これにより、すでに所属しているエース級の選手を残留させたり、新たな即戦力を補強したりできる。
Bプレミアの神戸ストークスは、ジェイレン・マクダニエルズと2026-27シーズンの選手契約を締結した。世界最高峰のNBAで、250試合以上の出場経験を誇るオールラウンダーを獲得したのである。スター選手条項が適用された可能性も考えられる。
新たな選手の獲得については、ドラフト制度が導入された。前年度の順位が低いクラブから、獲得希望選手を指名できる『ウェーバー方式』が採用されている。これもまた、リーグ全体の戦力均衡を図るための方策だ。なお、26年と27年は指名順を決める際に、全参加クラブが等しい倍率で抽選を行なう。
また、外国籍選手が『オンザコートフリー』となった。これまでは同時にコートに立てるのは2人までだったが、Bプレミアではその制限がなくなる。3人の外国籍選手に加えて、帰化/アジア特別枠の1人を同時に起用することも可能だ。最大4人の海外出身選手が、同時にコートに立つことも想定される。
もちろん、試合中は選手の入れ替わりが行なわれていくから、ベースとなる日本人選手のクオリティが問われるのは変わらない。BワンとBネクストは、これまで同様に外国籍選手のオンザコートは2名となる。
16年のBリーグ開幕を契機に、リーグとクラブの事業規模は大きく成長してきた。年俸1億円プレーヤーも誕生した。男子日本代表はワールドカップに出場し、24年パリ五輪に48年ぶりとなる自力での出場を果たした。河村勇輝選手のように、BリーグからNBAへステップアップする選手も出てきている。
日本代表や選手個人の競技力向上を追い風として、Bリーグは日本中がバスケットボールで盛り上がり、Bリーグ出身選手が世界の舞台で活躍する姿を目ざす。アリーナを中心に地域が活性化され、バスケットボールを通じて地域や社会が豊かになっていく未来を作り上げる──。
日本バスケットボールの新章が、9月22日にその1ページ目を開く。
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【写真】©︎B.LEAGUE
【文章】戸塚啓