「地震雷火事親父」という言葉があるように、雷は古くから恐れられている自然災害です。特に、夏場は日中を中心に山間部などで大気の状態が不安定になり、局地的に雷が発生しやすくなります。
雷は、場合によっては生命に関わることもあるものです。標高が高い場所を歩く登山の際は、雷に注意しなければいけません。
この記事では、山で遭遇する雷が危険な理由や、登山中に雷鳴が聞こえた場合の対処法をご紹介します。
【目次】
■山の雷が危険な理由
■雷対策のために知っておきたい雷の性質
■登山中に雷鳴が聞こえたらどうする?
・あれば山小屋に避難を
・木や尾根からは離れよう
・できるだけ姿勢は低く保つ
■雷にあわないよう行動することも大事
・天気予報は事前に確認を
・早めに下山するのも有効
■雷対策を徹底して安全に登山を楽しもう
■山の雷が危険な理由

基本的に、標高が高い場所ほど積乱雲(雷雲)との距離が近くなり、遮るものが周囲にないため、落雷を受ける危険性が高くなります。
さらに、標高が高い山の場合は、雷が自分のいる場所よりも下で発生したり、横方向に走ったりすることもあります。
「山の天気は変わりやすい」というように、斜面へと吹き上げる風の影響で積乱雲が発達しやすく、さっきまで晴れていたのに急に雷雨になることがある点も問題です。
このように、山は積乱雲が発生・発達しやすいことに加え、雷から逃れるための安全な避難場所や高い建物もないため、登山中の雷は普段以上に危険度が高いといえます。
■雷対策のために知っておきたい雷の性質
雷対策を行うには、雷の性質そのものを知っておくことが大切です。
雷は「高い場所に落ちる」とされていますが、平たんな場所に落ちることもあります。特に、広場のような周囲に何もない場所では、地面よりも高さがある人体に雷が落ちてくる危険性があるため注意が必要です。
かつては「金属製のものを持っていると危ない」といわれましたが、金属製のアクセサリーや時計などを身にまとっていても、被害に遭う確率は変わりません。
また、雷を発生させる積乱雲は、日差しが強く地表が温まりやすい夏場ほど発達しやすくなります。夏場の登山では、その日の天気予報に注意が必要です。
ただし、日本海側の地域は夏場に加えて冬場にも雷が発生しやすいなど、地域差もある点には留意してください。
■登山中に雷鳴が聞こえたらどうする?

雷は自然災害なので、気をつけていても遭遇することはあります。登山中に雷鳴が聞こえた際は、どのように行動すれば良いのでしょうか。
登山中に雷鳴が聞こえた際に、身を守る方法をご紹介します。
・あれば山小屋に避難を
登山中に雷鳴が聞こえた場合、最善策はすぐ山小屋に避難することです。木造の建物よりも、自動車や鉄筋コンクリート造の建物の方が安全ではありますが、屋外にいるよりは遥かに安全です。
雷は建物の柱を伝って地面に流れていくので、柱の近くからは離れておきましょう。コンセントなどにつながっている家電製品からも距離を取ることがポイントです。
テントやタープ、東屋などは雷から身を守るうえでは機能しません。それどころか、支柱などに落ちた雷の電流が人に飛び移って感電するリスクが増すため、近くにいる際はすぐに離れてください。
また、避難後は雷鳴がおさまってから30分以上経つまで、外に出るのは控えることをおすすめします。
・木や尾根からは離れよう
雷は雨を伴うことが多いですが、雨宿りをしようと木の近くに行くのは避けましょう。人体は木よりも電気を通しやすい性質を持っているため、木に落雷があると近くにいる人間にも電流が流れて感電する恐れがあります。
具体的な距離は木の高さによって異なりますが、最低でも4m以上を目安に、十分に距離を取ることが重要です。
また、稜線や山頂などの開けた場所にいて、近くに山小屋もない時は、できるだけ低い窪地に向かって避難することをおすすめします。
この時、集団で避難する場合は、一人ひとりの間隔をできるだけあけておきましょう。グループで密集していると、万が一誰かが被雷した際に、近くの人から連鎖的に感電する可能性があります。
・できるだけ姿勢は低く保つ
前述のとおり、雷は高い場所に落ちる傾向があります。近くに避難場所がない時は、両足をそろえた状態で膝を曲げて足を抱え、姿勢を低くしたまま雷が通りすぎるのを待ちましょう。
雷鳴で鼓膜が破れる恐れがあるため、両耳は指で塞いでおくことも重要です。
また、近くに落雷した際に、地面から流れてきた電流によって感電する可能性があるため、地面に寝そべったり、手をついたりするのは避けてください。基本的には、低い姿勢を保ったままつま先立ちをして、地面との接地面を最小限に抑えることが大切です。
この時、トレッキングポールなどを体よりも高い位置に突き出さないように注意が必要です。リュックにポールなどを取り付けている場合は、離れた場所に置いておきましょう。
■雷にあわないよう行動することも大事
登山中の落雷被害を防ぐには、山の中で雷にあわないように計画を立てたり、行動したりすることが大切です。雷被害に遭うリスクを下げるためのポイントを、2つご紹介します。
・天気予報は事前に確認を
登山計画を立てたら、山に登る前に必ず天気予報を確認しておきましょう。雷に関する予報は、気象庁のホームページなどから確認することができます。
特に、天気予報で「上空に寒気が流れ込んでくる」「大気の状態が不安定」などといわれる日は雷が発生する可能性が高いです。悪天候が予想される場合は、計画を変更するなどの対処を行うことをおすすめします。
・早めに下山するのも有効
雷の発生確率が高い時は計画を変えるのが一番ではあるものの、夏場は広い範囲で毎日のように雷注意報が発令されています。雷注意報が出ている日は全て登山を取りやめるというのも、現実的とはいえません。
基本的に、夏場の山は午後になってから天気が急変しやすい傾向にあります。そのため、朝早くに出発して、積乱雲が発達しきっていない午後の早い時間帯に下山するなど、時間に余裕を持ってスケジュールを組むのもおすすめです。
また、雷雲が近づくとAMラジオに「ガリガリ」というノイズが増えます。天候の変化を察知するために、天気予報と併せてラジオを活用するのも有効です。
■雷対策を徹底して安全に登山を楽しもう
平地よりも積乱雲との距離が近い、周囲が開けている場所が多い、避難場所が少ないなど、山は落雷の影響を平地よりも受けやすい環境です。
急な天候の変化によって、突然雷雨が発生する恐れも捨てきれません。
万が一雷鳴が聞こえたり、積乱雲が見えたりした際は、すぐ山小屋に避難することを心がけましょう。周囲に山小屋がない場合は、近くの木や稜線、尾根から十分に距離を取り、低い場所で避難姿勢を取ることが大切です。
事前に天気予報をチェックしたり、計画を練ったりすることも徹底して、雷の被害を防ぎましょう。
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【監修】田頭孝志(気象予報士)
【文章】アルペングループマガジン編集部