シャリバテとは? エネルギー切れを防ぐ栄養補給のポイント

自然の美しい景色を眺めたり、山頂に到達して達成感を得られたりするのが、山のアクティビティの魅力です。登山やトレッキング、ハイキングなど、楽しみ方はさまざまですが、いずれのアクティビティでも注意したいのが「シャリバテ」と呼ばれる症状です。
シャリバテは、けがや大きな事故につながる恐れもあるため、万全の対策が欠かせません。
ここでは、山で注意したいシャリバテの概要や、対策方法の例をご紹介します。

 

 

【目次】
■シャリバテとは
■シャリバテを防ぐ対策方法
・朝食をしっかり食べる
・高カロリーで持ち運びやすい行動食を用意する
・糖質を摂取するのがおすすめ
・こまめに食べ物を摂る
・水分補給も忘れずに
■エネルギー不足を起こさないことが山の鉄則

 

 

■シャリバテとは


シャリバテのシャリは「ご飯」を、バテは「疲れ果てて動けなくなること」を意味します。具体的には、エネルギー切れでバテてしまうことを指す登山用語がシャリバテです。
ハンガーノックとも呼ばれます。

山登りは山道を長時間移動することが多く、大量のエネルギーを消費するアクティビティです。エネルギー補給が追い付かないと、エネルギー不足で体が動かせなくなったり、集中力が落ちたりする恐れがあります。
集中力や注意力が散漫になった結果、足を滑らせたり、道を誤ったりする可能性も捨てきれません。

エネルギー切れと聞くと「休めば治る」と思われがちですが、シャリバテは最悪の場合、命に関わります。脳のエネルギー源(糖質)が枯渇して正常な思考ができなくなり、遭難や滑落(落下)事故を引き起こすためです。
さらに、エネルギーが切れると体内で熱を作れなくなるため、山の上では急速に低体温症へと進行し、命を落とす危険があります。

 

 

■シャリバテを防ぐ対策方法


時に命に関わることもあるシャリバテですが、ちょっとした用意や工夫で予防できます。登山やトレッキング、ハイキングなどの際は、必ずシャリバテ対策を済ませておきましょう。
シャリバテを防ぐために意識したい点は、次の5点です。

 

・朝食をしっかり食べる
ルートに左右されますが、登山やトレッキング、ハイキングなどの山登りは、朝早くから出かけることが多いものです。
「始発の電車に乗らないと間に合わない」などという理由で朝食を抜いてしまうと、エネルギー不足でシャリバテのリスクが高くなります。

 

山に行く日は、しっかりと朝食を摂取してから出かけることが大切です。白米やパンなどの主食を中心に、糖質(炭水化物)・たんぱく質などの栄養バランスの良い朝食を食べることを心がけましょう。

とはいえ、山までの距離によっては、どうしてもしっかりとした食事を摂る時間がないことも考えられます。
そのような場合も、おにぎりやサンドイッチのように、簡単に食べられるものを入山前に口にしておくことをおすすめします。

 

・高カロリーで持ち運びやすい行動食を用意する
シャリバテを防ぐには、移動中に食べるための「行動食」を用意しておきましょう。行動食があれば、山登り中も手軽にエネルギー補給を行えます。

 

ただし、山登りをはじめ、アウトドアアクティビティの際は持ち運ぶ荷物の量をできる限り少なくしたいものです。持ち運びにくい食材や、食べるために調理が必要な食材などは、行動食には適していません。

できるだけ持ち運びしやすく、取り出してすぐに食べることができるものを行動食として持って行きましょう。歩きながらでも手に取れる場所に行動食を入れておけば、リュックを下ろすことなくエネルギー補給を行えます。

ゼリー飲料やおにぎり、お菓子など、行動食は好きなもので構いませんが、カロリーオフの食べ物はエネルギー補給に適していない点には注意が必要です。
また、ナッツやスナック菓子などは、口が広いボトルに移し替えたり、ジッパー付きの食品保存袋に入れたりしておくと、ゴミを減らせます。

 

・糖質を摂取するのがおすすめ
山登り中の行動食として摂取したいのは、糖質や脂質、たんぱく質といったエネルギー源です。特に、糖質は効率的にエネルギーを補えるため、移動中に摂取する食べ物として適しています。

 

具体的なアイテムは、自分が食べやすいものや好みで問題ありませんが、次のようなものを行動食として用意しておくのがおすすめです。

 

【行動食の例】
おにぎり、パン、キャンディー、グミ、ラムネ、チョコレート、羊羹、ドライフルーツ、ナッツ、シリアルバー、おつまみ(サラミなど)、ゼリー飲料、サプリメント など

 

チョコレートやキャンディーなどは、気温が高い日は溶けてしまうことも考えられます。
また、体調によっては「甘いものが食べたい」「酸っぱいものが欲しい」などと感じることもあるはずです。疲れがたまった結果、特定の味しか体が受け付けなくなることもあり得ます。
季節によって行動食を変えたり、味が異なる行動食をいくつか常備したりしておくと安心です。

 

・こまめに食べ物を摂る
食べ物は、口にしてすぐにエネルギーになるわけではありません。食べてからエネルギーとして使えるようになるまでの時間にも注意が必要です。

 

人間の体は、重度の疲労や低血糖に陥ると、胃腸への血流が減少して消化吸収能力が著しく低下します。つまり、完全にシャリバテになってから慌てて食べても体が受け付けず、エネルギーとして吸収されなくなってしまうのです。
そのため、「お腹がすく前に先回りして食べる」ことが鉄則です。まだ元気なうちから、1〜2時間に1回を目安に、定期的に行動食を口へ運ぶ習慣をつけましょう。

 

・水分補給も忘れずに
山道を長時間歩くアクティビティでは、たくさんの汗をかきます。行動食をこまめに摂っていたとしても、水分不足に陥る可能性が捨てきれません。
脱水症状を防ぐために、こまめに水分補給を行うことも大切です。喉が渇いたと感じる前に、こまめに少量を摂取することを心がけましょう。
行動食を食べるタイミングと併せて、水分補給を行う方法でも良いかもしれません。

 

人の汗にはミネラルも含まれているため、水で水分補給を済ませるだけでは不十分です。スポーツドリンクや塩飴、塩タブレット、梅干しなどを活用して、汗と一緒に流れ出たミネラルも補給しておきましょう。

 

 

■エネルギー不足を起こさないことが山の鉄則
シャリバテは、動けない、足を踏み外すなどといった危険な事故につながる恐れもある状態です。朝食をしっかり食べておく、こまめに行動食を食べるなど、山の中でエネルギー不足に陥ることがないように心がけましょう。

 

また、山道を歩くうちに、たくさんの汗をかくことになります。エネルギー補給だけでなく、こまめに水分補給を行うことも大切です。
シャリバテは注意が必要な症状ではありますが、ちょっとした用意や工夫で未然に防ぐことができます。
ご紹介した内容を参考に、安全に配慮して山のアクティビティを楽しみましょう。


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【監修】甲斐沼 孟(医師)
【文章】アルペングループマガジン編集部

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