33代目の大転機:モダンスタビリティへの進化。アシックス「GEL-KAYANO 33(ゲルカヤノ 33)」

■アシックス「GEL-KAYANO」シリーズがモデルチェンジ

 

1993年の発売から30年以上にわたるアシックスの人気シリーズ「GEL-KAYANO(ゲルカヤノ)」が33代目にモデルチェンジ。

 

このモデルは、アシックスのデイリートレーナーを代表するスタビリティモデルです。GEL-KAYANO 30から前作のGEL-KAYANO 32まで採用されてきた「4D GUIDANCE SYSTEM(フォーディガイダンスシステム)」の考え方を踏襲した、2層構造の「FLUIDSUPPORT(フルイドサポート)」に変更されたことは大きなトピックです。

 

「FF BLAST MAX(エフエフブラストマックス)」 / 「FF BLAST PLUS(エフエフブラストプラス)」のコンビネーションソールになって、上層を「FF BLAST MAX」にしてソフトでバウンシーな感触を出して、下層の「FF BLAST PLUS」が安定感とガイド感を担い、上下で役割を分担する設計へと進化しました。

 

もちろん今回もお馴染み「PureGEL(ピュアゲル)」をミッドソールの踵部に搭載安定性だけではなくて、コンフォート感も重視した仕様になって、「GEL-NIMBUS(ゲルニンバス)シリーズのようなコンフォート性」と「GEL-KAYANOシリーズらしい安定感」を融合した、まさに新世代のスタビリティトレーナーと言えるでしょう。

 

これはスタビリティトレーナーの考え方が年々変化する中で生まれた、大きな変更と言えるでしょう。

 

では、GEL-KAYANO 33のアップデートのポイントと、どんなランナーの、どんなシーンに合うシューズなのか、早速解説していきましょう。

 


■サポートシステムの大きなコンセプトの変更

 


足の過剰なモーションをコントロールするスタビリティの考え方は、長らく、内側に硬度の高いソールを配置することで、「動かないように固定するサポート」から、『自然な動きを導くサポート』へと進化した新しい考え方です。
 

ともすると、ランニングに必要な正常なモーションである回内動作を全て抑えてしまうことにもなりかねないモーションコントロールの考えは、GEL-KAYANO 30(ゲルカヤノ 30)で大きく変わりました。その「4D GUIDANCE SYSTEM」は、3Dコンストラクト(立体的に内側をサポートする形状)になっていて、さらに内側にはソフトなサポート構造を設け、過剰な倒れ込みを優しく跳ね返すようなサポートを提案していました。つまり硬いパーツを使わない選択をしたわけです。

 

そして、今回のGEL-KAYANO 33は、左右非対称デザインからも脱却、ソール上下層の硬度を変えて、面でサポートするフルイドサポートに進化したわけです。

 


■コンフォート×安定感の両立を目指した

 


それにより、足の真下の上層には全面ソフトで弾性もある「FF BLAST MAX」を配置して、そのフィーリングを実現しています。下層には定番素材の「FF BLAST PLUS」となっていますが、つま先部分は、上層の「FF BLAST MAX」がむき出しになっていて、やはり、蹴り出しにもソフトさが残るような絶妙な設計になっています。

 

ランニング時の印象は、ソフトなフィーリングや心地よいライド感と安定要素は知らないうちにしっかり機能する、といったスタビリティモデルに仕上がっていると感じます。

 

とは言え、FF BLAST MAXのソールデザインは中足部付近にしっかりと盛り上がりがあり、前回同様にそこが内側に倒れる足を跳ね返すようなサポート感は、前作までの4D GUIDANCE SYSTEMの感覚もあり。スタビリティシューズとしての役割もしっかりと果たしているイメージです。

 

走り出すと8mm Dropのトラディショナルガイドは、前足部の接地感がいい、こちらはいつもGEL-KAYANOシリーズのライド感ですね。

 

アウトソールは、耐摩耗性ラバーとグリップが適材適所に戦略的に配置された「HYBRID ASICSGRIP(ハイブリッドアシックスグリップ)」、踵には「ニットプルタブ」と細かいディテールにもこだわった作りになっています。

 


■オーバープロネートシューズは自然にガイドする

 

ランニング時の回内モーションは、単なる「悪い動き」ではありません。衝撃を吸収し、地面に適応するために必要な正常なクッション機能でもあります。スタビリティシューズの役割は、その回内を止めることではなく、必要以上に続いてしまう回内を自然にガイドすることにあります。まさにランナーが物質的な安定感、「借りた安定感」を得られるシューズと言えるでしょう。

 

そんな安定感をシューズに借りることで、長距離ランニングをサポートし、足のブレを抑えて安定したフォームを維持しやすくなるため、故障リスクの軽減にもつながります。

 

トラディショナルなスタビリティのように内側を固くして止めるのではなくて、『Fluid』、まさに流れるように自然な動きを作り出し、スムーズな走りをサポートするモデル、それがGEL-KAYANO 33なのです。

 

ここでは紙面を割きませんが、もちろん、シューズから安定感を借りるだけではなく、テンポアップシューズや接地感の高いシューズを活用しながら、「自前の安定感」を育てていくことも大切です。現代のランナーには、「借りた安定感」と「自前の安定感」を状況に応じて使い分ける知恵が求められているのかもしれません。サポートを求めているランナーもこういった「履き分け」も必要だと言っておきます。

 


■GEL-KAYANO 33はどんなランナーに合うか

 

 

このGEL-KAYANO 33がフィットするのは、シューズが目一杯、安定感を提供してくれるので、おすすめのランナーとしては、

 

・疲労時にフォームが崩れやすいランナー
・フルマラソン後半に安定感を借りたいランナー
・走ることに自信がないビギナーランナー
・ウォーキングや長時間の移動でも快適性を求める方
・従来の強いスタビリティは苦手というランナー

 

私のようなO脚ランナーはランニング時ではむしろニュートラルトレーナーのGEL-NIMBUSシリーズがフィットしますが、ウォーキング時には適度な安定感があり快適、よく使用します。

 

安定性を求めるランナーに必要な機能を備えたモデルであるため、重量はお世辞にも軽量とは言えませんが、GEL-KAYANO 33は回内を止めるシューズではなくて、回内を、流れるようにガイドするシューズへ進化、そんな多くのランナーの期待に応えるモデルとなっています。

 

価格は22,000円(税込)。6/18(木)より全国のスポーツデポ・アルペンで順次発売予定。

 

今まで愛用していたランナーの方も、この文章を見て自分には合うかもと思ったランナーの方も是非試してみてほしいモデル、それがGEL-KAYANO 33ですね。

 


GEL-KAYANO 33
https://store.alpen-group.jp/campaign/sportsdepo_alpen/brand/asics/running_shoes/gel_kayano/

 


<著者プロフィール>
シューズアドバイザー 藤原岳久
FS☆RUNNING LAB / FS☆RUNNING Co.(合同会社FS RUNNING)

 

日本フットウエア技術協会理事
JAFTスポーツシューフィッターBasic/Advance/Master講座講師
足と靴の健康協議会シューフィッター保持

 

・ハーフ1時間9分52秒(1993)
・フルマラソン2時間34分28秒(2018年別府大分毎日マラソン)
・富士登山競走5合目の部 準優勝(2005)


 

【文章・写真】藤原岳久

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