■アシックス GT-2000シリーズがモデルチェンジ
アシックスの定番スタビリティシューズ「GT-2000」の最新モデルが登場しました。
今回のアップデートにはSNSなどでも大きな注目が集まっているように感じます。
その理由のひとつが、一見するとNOVABLASTを思わせる軽快なデザインです。
しかし、スペックと構造を詳しく見ると、GT-2000らしい安定性は今回もしっかり継承されていて、前回から軽量化を果たしながら、PureGEL(ピュアゲル)や3D GUIDANCE SYSTEM(スリーディガイダンスシステム)と搭載すべきは押さえた十分なスペックで、価格は、ナント16,500円(税込)となっているから驚きです。
軽快さと安定性を両立した今回のGT-2000 15。初めてランニングシューズを購入する人にも提案しやすく、すでに走っているランナーのローテーションにも加えやすい1足となっています。
では、今回は、GT-2000 15の変更点、NOVABLASTとの違い、そしてどんなランナーに適しているのかを解説していこうと思います。
■軽量化にも貢献しているエンジニアードウーブンのアッパー

一見して「NOVABLASTのようだ」と感じる理由のひとつが、通気性に優れたエンジニアードウーブンのアッパーです。
私が実測した25.5cmでは、GT-2000 14が約245gだったのに対して、GT-2000 15は約230gで15gの軽量化を果たしています。
従来のスタビリティシューズでは、パッド入りのメッシュに補強用のオーバーレイを重ね、アッパーの剛性を高める構造が一般的でした。
GT-2000 15では、織り方によって必要なサポート性を持たせたエンジニアードウーブンのアッパーを採用。追加のオーバーレイを減らすことで、軽量性と通気性を高めています。
一方、かかとを支えるヒールカウンターは、GT-2000らしいしっかりとした作りです。軽くする部分と、安定性のために残す部分。そのメリハリのある設計は、さすがGT-2000シリーズという印象です。
■ミッドソールは厚くなったのに、シューズは軽くなった

前作のGT-2000 14から、ミッドソールにはFF BLAST MAX(エフエフブラストマックス)が採用されています。
NOVABLAST 6のように、前足部へFF TURBO SQUARED(エフエフターボスクエアード)を組み合わせた強い反発性ではありませんが、GT-2000シリーズの中では、これまで以上にやわらかく弾むような履き心地になっています。
GT-2000 15では、前作よりミッドソール全体を2mm厚くしながら、シューズ全体では軽量化を実現しました。
FF BLAST MAXの配合も見直され、着地時のやわらかさと蹴り出し時の反発性が向上しています。アッパーをはじめとする各パーツの軽量化も、全体重量を抑えることに貢献しています。
もちろん、ただやわらかくなっただけではありません。
立体的なミッドソール形状を用いた3D GUIDANCE SYSTEMが、走行中の足の動きに応じて安定性を発揮。GT-2000らしい安心感を残しながら、軽快で弾むような走りを楽しめます。
まさに「スタビリティ・ミーツ・コンフォート」と呼びたくなる仕上がりです。
■アウトソールは質実剛健なバランス型

GT-2000 15のアウトソールは、サイドの屈曲部分にAHAR LO、前足部とかかと部にAHARPLUS(エーハープラス)を採用しています。
前足部のAHAR LOは、軽量性とグリップ性、屈曲時のしなやかさをバランスよく備えたラバーです。
一方、摩耗や衝撃が集中しやすいかかと部には、耐摩耗性に優れたAHARPLUSを配置。必要な場所に、必要な性能を持つラバーを使い分けています。
上位のスタビリティモデルであるGEL-KAYANO 33は、FF BLAST MAXとFF BLAST PLUS(エフエフブラストプラス)の2層ミッドソールに加え、HYBRID ASICSGRIP(ハイブリッドアシックスグリップ)アウトソールを採用した、いわば「足し算のプレミアム設計」。
それに対してGT-2000 15は、単層フォームを基本に、必要な場所へラバーと安定機能を配置した「引き算の実用設計」。毎日のトレーニングに気軽に使えることが、このシューズの大きな魅力と言っていいですね。
■“尖った個性”より“信頼の基準機”。それがGT-2000シリーズ
GT-2000は長年にわたり、「デイリートレーナーの基準」と呼べるポジションを担ってきました。
ここ数年はNOVABLASTのような話題性の高いモデルに埋もれがちでしたが、16,500円(税込)という価格で、適度な反発性、安定性、耐久性を備えたGT-2000 15は、非常に優れたバリューを持っています。
初めてランニングシューズを購入する人にも選びやすいモデルであるのはもちろんのこと、すでに走っているランナーにも、ジョグや日々の走りを支えるローテーションの1足として活用できるモデルです。
GT-2000の魅力は、特定のタイプのランナーだけに向けた尖った性能ではなく、幅広いランナーが使いやすいバランスのよさにあります。
15代目はその信頼性を守りながら、軽さ、やわらかさ、弾む楽しさへ一歩踏み出した印象です。
“尖った個性”より“信頼の基準機”。
GT-2000 15は、初心者から経験豊富なランナーまで、幅広く選択肢に入る新しい定番モデルですね。
> GT-2000シリーズ
<著者プロフィール>
シューズアドバイザー 藤原岳久
FS☆RUNNING LAB / FS☆RUNNING Co.(合同会社FS RUNNING)
日本フットウエア技術協会理事
JAFTスポーツシューフィッターBasic/Advance/Master講座講師
足と靴の健康協議会シューフィッター保持
・ハーフ1時間9分52秒(1993)
・フルマラソン2時間34分28秒(2018年別府大分毎日マラソン)
・富士登山競走5合目の部 準優勝(2005)
【文章・写真】藤原岳久