■Cloudrunner 3 Max登場
Onのスタビリティカテゴリーを担うCloudrunnerコレクションに、新しく『Cloudrunner 3 Max(クラウドランナー 3 マックス)』が登場しました。
18,700円(税込)とリーズナブルなプライスでその役割に必要な機能性を厳選した『Cloudrunner 3(クラウドランナー 3)』に対して、こちらは、求められる役割のために機能性を詰め込んだ「プレミアムモデル」という位置付けのモデルです。
ただ、実はそんな単純な話だけではなくて、スタビリティトレーナーの役割を再構築する業界の流れに正面から向き合ったモデル、それが、Cloudrunner 3 Maxなのです。
どうしてもスタビリティ=安定という役割のシューズゆえ、硬さ、重さが付きもので、コンフォート感=快適性がテーマのカテゴリー。そこに今回、ハイバウンドな素材「Helion™ HFハイパーフォーム」を搭載するといったサプライズがあったわけです。
「Comfort meets Stability」
いった具合で、安心感もでも快適性も、両方ほしいというランナーに向けて、機能的にも大きく踏み込んだモデルになっています。
また、同じMaxというネーミングがついたCloudsufer Max(クラウドサーファー マックス)とは、そして、Onの定番モデルCloudmonster 3(クラウドモンスター 3)とは一体どう違うのか?では、この辺りも含めて解説していきたいと思います。
■ Helion™ HFハイパーフォーム搭載スペックの意味

Cloudrunner 3がHelion™フォームを採用しているのに対して、Cloudrunner 3 Maxでは、足に近い上層が「Helion™ HFハイパーフォーム」、下層が「Helion™フォーム」の2層構造となっています。
Helion™ HFハイパーフォームは、CloudboomコレクションなどOnのファースターモデルに使用される軽量で反発性に優れた高性能フォームです。上層はソフトで反応のいい感触、下層は安定する感触と相反する素材特性を同居させる斬新な構造。硬い、重いなどと言ったコンフォート感に欠けた履き心地になりやすいスタビリティトレーナーの難点を補う構造になっています。
しかも、安定感であれば、On定番機能性のSpeedboard®を搭載しそうなものですが、そこはOnらしい選択。下層のHelion™フォーム、ワイドな接地面、高めのサイドウォール、踵周辺をサポートするヒールクリップなどスタビリティパーツを足し算しつつも、こちらは非搭載という足し引きの妙。
上層のHelion™ HFハイパーフォーム搭載は、ランナーにコンフォート感を直感的に感じてもらえるようなトリックになっているというわけです。足の真下にある素材であることに意義があるというわけですね。
■Cloudrunner 3 Maxを実際に走ってみると?

Cloudrunner 3 Maxは、古典的スタビリティトレーナーのように足を強く矯正されるような感覚よりも、シューズ全体に包まれながら安定させてガイドさせる感覚です。
上層のHelion™ HFハイパーフォームは、想像以上にシューズ全体と調和した感触です。ほのかに柔らかさと弾力感を感じますが、下層のHelion™フォームとワイドなプラットフォームで、地面の接地時に足を受け止める感覚が適度にブレンド、やはり、安定感が印象的なシューズに仕上がっています。
さらにサイドウォールと、踵周辺をサポートするヒールクリップによって、横方向への不安定さがない本当に安定感した着地感です。
ドロップが6mmのモデルが多いOnの中で、Cloudrunner 3 Maxは8mmドロップを採用していますが、実走の印象としてはフラットな6mm感の印象です。
スピードを出したときの強烈な反発を狙ったシューズというより、ジョギングや長い時間のランニング、ちょっと疲労した足にもピッタリなコンフォート(快適性)クッションとスタビリティー(安定感)というシューズに安心感がほしいランナーのためのデイリートレーナーモデルです。
甲まわりにバントをつけた一体式の肉厚のシュータンと、その一役を担うアッパーの剛性も高いしっかりとしたアッパーになっていることも付け加えておきます。
■Cloudsurferコレクションとは何が違う?

On CloudsurferコレクションのMaxとは一体何が違うのか?Cloudrunner 3 Maxがスタビリティトレーナーで、Cloudsurfer Max(クラウドサーファー マックス)はニュートラルトレーナーなのですが、この違いはスペックの掛け算が違うとそう表現するべきで
「FORM MATERIAL × CLOUD GEOMETRY」
なんですよね。それも、ランナーが求めるニーズによってその役割を、一目で分かるデザインされたテクノロジーで変える、これがOnですよね。つまり両者の違いは、ミッドソールの「フォーム素材」と、Onを象徴する空洞状の「Cloudパーツ」の形状・大きさ・配置の違いからも説明できます。
ニュートラルカテゴリーのCloudsurferコレクションを象徴するテクノロジーが「CloudTec Phase™」。CloudTec Phase™は、斜めに配置されたCloudパーツが着地から蹴り出しに向かって、ドミノ倒しのように順番に圧縮されることで、スムーズな重心移動をサポートします。
Cloudsurfer=Helion™フォーム×CloudTec Phase™=スムーズな重心移動。
Cloudrunner 3 Max=Helion™ HFハイパーフォーム×CloudTec®=快適性+安定感。
CloudrunnerコレクションのCloudパーツは、CloudTec Phase™とはそのカタチや配置位置が違います。ほぼフラットに配置され「安定している」の印象を受けます。求める役割に応じて、パーツを組み合わせる。それをデザインして感覚的に表現する。それがOnのランニングシューズなのです。
■定番Cloudmonsterコレクションとは何が違う?

また定番のCloudmonster 3は、Cloudsurferコレクションと同じニュートラルトレーナーです。やはり「FORM MATERIAL × CLOUD GEOMETRY」が明確に違い、その役割はちょっと違います。
Helion™フォーム×2層のCloudTec Phase™のCloudSufer Maxに対して
Helion™フォーム×3層のCloudTec®のCloudmonster 3
となっています。大型の四角いCloudパーツを大きく変形させることで、Onが初期から得意としてきた独特のエネルギッシュなバウンス感が発揮されるモデルです。そして、このモデルは、Speedboard®を搭載したOnのオリジナル路線でもあります。
スムーズな重心移動のCloudsurferコレクション、CloudTec®らしいバウンス感を強調したCloudmonsterコレクション、そして安定感のCloudrunnerコレクション、とランナーの求めるニーズでその役割ははっきり分かれているのです。同じOn、同じCloudという名前を持ちながら、Cloudの使い方そのものが違うわけですね。
私は、ミッドソールに並ぶCloudパーツは、いわばOnのピクトグラムだと思っていて、それらは、一目でOnと分かる象徴的なデザインであるばかりか、どんな役割のモデルなのかを表現しているものになっていると言っていいでしょう。
■Cloudrunner 3 Maxはどんなランナーに合う?

Cloudrunner 3 Maxはそのスペックから、コンフォート(快適性)クッションとスタビリティー(安定感)というシューズに安心感がほしいランナーにピッタリで、しかも、「クッション性は欲しい。でも柔らかすぎるシューズは不安」というランナーにドンピシャなモデルです。
近年のランニングシューズには、非常に柔らかく反発性の高いフォームを使ったモデルが増えています。しかし、フォームの変形量が大きくなるほど、人によっては着地時のグラつきを感じることもあり、そういったモデルは、実際、ランナーを選んでしまう側面もあります。
Cloudrunner 3 Maxは、Helion™ HFハイパーフォームの快適性を、Cloudrunnerコレクションらしい安定したプラットフォームの上で楽しめるモデルです。シューズに、軽量感、バウンド感より安定感を求める、例えば走りはじめのランナーはもちろん、このスペックはすでにステディに走っているランナーのロング用のラインナップとしても重宝するはずです。
素材で履き心地を作り、Cloudの構造で走行感をデザインする。Cloudrunner 3 Maxは、単に高性能なHelion™ HFハイパーフォームを搭載したモデルではありません。その素材をCloudTec®やワイドなプラットフォームなどの安定構造と組み合わせることで、「快適性」と「安心感」を両立しています。そこに、このシューズの本当の面白さがあります。
Cloudrunner 3 Maxは、スタビリティシューズに「快適性」という新しい価値をより強く加えた、Onらしい一足と言えるでしょう。是非みなさんもトライしてほしいモデルですね。
> Cloudrunner 3 Maxはこちら
<著者プロフィール>
シューズアドバイザー 藤原岳久
FS☆RUNNING LAB / FS☆RUNNING Co.(合同会社FS RUNNING)
日本フットウエア技術協会理事
JAFTスポーツシューフィッターBasic/Advance/Master講座講師
足と靴の健康協議会シューフィッター保持
・ハーフ1時間9分52秒(1993)
・フルマラソン2時間34分28秒(2018年別府大分毎日マラソン)
・富士登山競走5合目の部 準優勝(2005)
【文章・写真】藤原岳久