■雨でも走りたい。そんなランナーへ
2026年9月4日に発売された「NOVABLAST 6 GTX(ノヴァブラスト 6 GTX)」は、7月にモデルチェンジした定番デイリートレーナー「NOVABLAST 6(ノヴァブラスト 6)」をベースに、GORE-TEXを搭載したモデルです。
GORE-TEX メンブレンには、1平方インチあたり約90億個の微細孔があります。一つひとつの孔は、水滴のおよそ2万分の1。一方で、汗による水蒸気分子の約700倍の大きさです。つまり、この構造によって、外からの雨水の侵入を防ぎながら、シューズ内の湿気を外へ逃がしやすくしてくれます。
つまり…
・雨の日でもトレーニングを中止したくない
・雨天時の通勤や移動にも使いたい
・冬の冷たい雨や風に対応できるシューズを選びたい
・朝露で濡れた芝生や未舗装路を走りたい
そんなランナーの用途に適した一足です。しかも、NOVABLAST 6がベースですから、雨の日のランニングもNOVABLASTシリーズらしい走り心地が期待できるシューズです。
ただし、NOVABLAST 6 GTXは、通常版のアッパーを単に防水仕様へ置き換えただけのモデルではありません。アウトソールのラグパターン、アッパー、ヒールカウンター、履き口の深さ、そしてタン構造まで、通常版とは異なる設計になっています。
ということで、今回はNOVABLAST 6と比較しながら、「あなたがあえてNOVABLAST 6 GTXを履く理由」を解説します。
■ GORE-TEXインビジブルフィットシステムを採用したアッパー

まずは、雨天や悪天候用モデルの核となるアッパーから見ていきましょう。NOVABLAST 6 GTXには、「GORE-TEXインビジブルフィットシステム」が採用されています。GORE-TEXインビジブルフィットシステムは、2017年秋に登場したフットウェア向けのテクノロジーです。
従来のGORE-TEXシューズは、防水ブーティーと呼ばれる袋状のライニングを、アッパーの内側へ入れる構造が主流でした。それに対してGORE-TEXインビジブルフィットシステムは、GORE-TEX メンブレンをアッパー素材へ直接接着。一体化することで、内部のシワや折り重なりを減らしています。
その結果、
・足当たりが柔らかい
・通常のランニングシューズに近いフィット感
・軽量で屈曲しやすい
・アッパーが水を含みにくく、乾燥も速い
といった特徴を備えています。
つまり、防水性を確保しながら、ランニングシューズらしいフィット感と動きやすさを実現するための構造・製法です。NOVABLAST 6が軽量なエンジニアードウーブンを採用したアッパーなのに対し、NOVABLAST 6 GTXはラッセルメッシュにGORE-TEXインビジブルフィットシステムを組み合わせています。
■タンからアウトソールまで悪天候仕様

NOVABLAST 6とNOVABLAST 6 GTXでは、タンの作りにも違いがあります。
NOVABLAST 6は、薄く柔らかなタンをガセット状の生地でアッパーとつなぎ、軽さとフィット感を重視した作りです。
一方のNOVABLAST 6 GTXは、タンとその周辺に厚みがあり、足を包み込むようなブーツライクな設計。タンの両側も深い位置までアッパーとつながり、雨水がシューズ内部へ入り込みにくい構造になっています。
さらにNOVABLAST 6 GTXは、ヒールカウンター周辺にも厚みがあり、履き口も通常版より深く、高さを持たせた形状です。足首周辺を広く包み込むことで、悪天候下でのホールド感を高めながら、横や後方から水滴が入り込むのを抑えています。ただし、ローカットシューズである以上、履き口の上から入る水まで完全に防げるわけではありません。
そして、悪天候への対応はアッパーだけではありません。通常版も前足部にASICSGRIPラバーを採用していますが、NOVABLAST 6 GTXではラグをより深くし、ラバーの被覆面積も拡大。
実際に走ってみても、濡れた路面でも十分なグリップ感が得られました。雨で濡れたアスファルトはもちろん、軽い未舗装路や砂利道、朝露で濡れた芝生の公園など、通常のNOVABLAST 6以上のグリップが欲しい場面に適しています。
本格的なトレイルランニングシューズではありませんが、ロードを中心に、ときどき公園やライトトレイルへ入るような使い方にはピッタリです。私自身、朝露で濡れた道や芝生の公園を走ることがありますが、GORE-TEXインビジブルフィットシステムと深いラグを備えたASICSGRIPラバーの組み合わせは、まさにこのモデルならではの強みだと感じました。
■あなたがあえてNOVABLAST 6 GTXを買う理由

NOVABLAST 6 GTXは、単なる「雨の日用NOVABLAST」ではありません。ロードシューズらしい軽快さを残しながら、朝露で濡れた芝生、雨上がりの公園、整備された未舗装路など、ロードの外側へ少し踏み出せるシューズです。GORE-TEX メンブレンや肉厚なアッパー、ラバー面積の広いアウトソールを採用すれば、通常版より重量や剛性は増します。
しかし、もともと柔らかく、弾むNOVABLAST 6だからこそ、そのしっかり感が大きなデメリットになりません。むしろ足元の頼もしさが加わり、悪天候でもNOVABLASTシリーズらしい柔らかさと弾むような感覚を楽しめます。
ここに、NOVABLAST 6とGTX仕様の相性の良さがあります。もちろん、真夏の晴天や軽さ、通気性を優先するなら通常版の方が快適です。すべてのランナーにNOVABLAST 6 GTXが必要なわけではありません。
一方で、天候に左右されずトレーニングを続けたい人、冬の冷たい雨や風に備えたい人、ランニングだけでなく雨天時の通勤や普段履きにも使いたい人には、NOVABLAST 6 GTXを選ぶ明確な理由があります。
NOVABLAST 6 GTXの価格は22,000円(税込)。NOVABLAST 6との差額は4,400円です。ランニング、ライトな未舗装路、雨の日の移動や普段履きまで、一足で用途を広げられることを考えれば、その差額には十分な価値があるでしょう。
そして、定番モデルにGTX仕様が加わったことからも、NOVABLASTシリーズの選択肢が季節や天候に合わせて広がったことがうかがえます。
NOVABLAST 6 GTXは、雨の日を我慢して走るためのシューズではありません。雨の日も、NOVABLASTの走りを楽しむためのシューズです。あなたのシューズローテーションに、雨の日を任せられる「スーパーサブ」として加えてみてはいかがでしょうか。
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<著者プロフィール>
シューズアドバイザー 藤原岳久
FS☆RUNNING LAB / FS☆RUNNING Co.(合同会社FS RUNNING)
日本フットウェア技術協会理事
JAFTスポーツシューフィッターBasic/Advance/Master講座講師
足と靴の健康協議会シューフィッター保持
・ハーフ1時間9分52秒(1993)
・フルマラソン2時間34分28秒(2018年別府大分毎日マラソン)
・富士登山競走5合目の部 準優勝(2005)
【文章・写真】藤原岳久