「北海道を盛り上げるには、勝つしかない」折茂武彦と島谷怜が語る、レバンガ北海道躍進の理由

レバンガ北海道の折茂武彦社長と島谷怜選手が、スポーツデポ フラッグシップストア札幌月寒店で開催されたトークショーイベントに登場した。

 

2025-26シーズンのレバンガ北海道は、バスケットボール男子日本代表の富永啓生選手らが加入し、クラブ史上最高勝率の成績を残した。惜しくもチャンピオンシップ(CS)出場には届かなかったものの、勝率5割を超え、シーズン終盤までCS出場争い。ホーム会場の熱気も大きく高まった。

 

イベント前に行われた対談では、昨シーズンの手応え、チームが変わった理由、島谷選手の成長、そして北海道でバスケットボールをさらに盛り上げるために必要なことが語られた。

 

 

■レバンガ北海道はなぜ変わったのか。折茂武彦と島谷怜が語る躍進の理由
 

――最初に、今日のイベントへの意気込みを聞かせてください。

 

島谷怜選手(左)と折茂武彦社長(右)

 

 

折茂:昨シーズンは残念ながらCSには行けませんでしたが、選手たちは本当に頑張ってくれました。クラブとしても勝率5割以上の成績を残すことができ、応援してくださった方々にも楽しんでいただけたシーズンになったのではないかと思います。

 

その分、新シーズンへの期待もかなり高まっていると思います。そうしたタイミングで、このようなイベントを開催できることは非常にありがたいですね。今日は北海道出身の島谷選手も一緒に参加しますし、新シーズンもたくさんの方々に会場へ来ていただけるようなイベントになればいいなと思っています。

 

島谷:7月に新シーズンがスタートしてから、僕にとっては今回が初めてのイベント参加となります。新シーズンに向けての意気込みを伝えられる場でもありますし、また皆さんに応援してもらえるような機会になればいいなと思って参加しています。

 

 

――お互いの印象を聞かせてください。

 

 

島谷:僕は北海道釧路市出身ですが、小さい頃から折茂さんのことを見ていました。最初は本当にレジェンドという存在で、近づきがたいというか、ずっと見てきた方なので、すごく尊敬の気持ちがありました。

 

でも、実際に接する機会が増えていく中で、今はすごくフラットに接してくださる方だなと感じています。コミュニケーションも取りやすいですし、小さい頃に抱いていた印象とは全然違います。

 

折茂:島谷選手は北海道出身のプレーヤーですし、道産子の選手として、北海道の方々にもたくさん応援していただいている選手だと思います。

 

彼が務めるポイントガードは、バスケットボールにおける司令塔です。チームを勝たせられるかどうかは、ポイントガードの大きな役割でもあります。昨シーズンは、レバンガの中でも一番成長した選手だと思っています。

 

私が話したことをきちんと聞く姿勢がありますし、それを行動の中で体現しようとしている。もちろん、自分の中で悩んだり苦しんだりすることもあると思いますが、チームのために非常に貢献してくれています。

 

今のレバンガは若い選手も多いので、そうした選手たちとコミュニケーションを取っている姿も見ています。クラブにとっても、チームにとっても、非常にポジティブな影響を与えてくれる選手だと思います。

 

 

――今のレバンガの強さの秘訣について、お二人はどのように感じていますか。

 

 

折茂:勝てた要因のひとつには、バスケットボール男子日本代表の富永選手が来てくれたことや、キーになる選手がいたこともあると思います。

 

ただ、レバンガはこれまでなかなか勝てない時期が続き、メンタル的にも苦しいシーズンを過ごしてきたクラブです。そこに経験豊富で新たな価値観をもった選手たちが入ってきたことで、若手も含めて、いい形で引っ張られたのではないかと思います。

 

メンバーが大きく変わったわけではありません。それでもあそこまで勝てたのは、選手たちの意識がしっかり変わったこと、そしてメンタルが整ったことが大きかったと思います。その中で、ポイントガードの島谷選手がチームを引っ張ってくれたことも大きかったですね。彼の成長は、チームにとって非常に大きかったと思います。

 

島谷:昨シーズンのチームは、それぞれの役割が非常に明確だったと思います。富永選手のようなチームの中心となる選手が加わる中で、周囲の選手たちはチームを勝利に導くための役割をしっかりと担ってくれました。それだけでなく、既存の選手も新加入の選手も、それぞれが自分の役割を理解し、その役割を全うしながらプレーできていたと感じています。

 

全員がメインプレーヤーになれるわけではありません。だからこそ、それぞれの役割がしっかりはまっていく中で結果を得られたことは、自分たちにとってすごくポジティブなことでした。

 

これまでも役割を果たそうとしていたとは思います。ただ、それをやっても勝てない時期が続くと、メンタル的にはすごく難しいんです。「今、自分がやっていることを続けていいのかな」という不安にもなります。

 

でも昨シーズンは、最初から結果がついてきたことで、「自分はこの役割を果たすことでチームに貢献できるんだ」という感覚が、それぞれにあったと思います。それが噛み合って、チーム全体のメンタルもいい方向に向かっていきました。

 

 

――北海道でさらにバスケ熱を盛り上げていくために必要なことは何でしょうか。

 

 

折茂:北海道には、レバンガ北海道というバスケットボールチームがあります。クラブとして15年間、なかなか勝つことができない時期もありました。それでも、本当にたくさんの方々に支えられ、応援していただいてきたクラブです。

 

昨シーズンはようやく、シーズン終盤までCS出場争いができました。会場の雰囲気も非常に盛り上がりましたし、やはりスポーツである以上、応援していただくためには勝たなければいけない。それはスポーツ選手の宿命だと思っています。

 

北海道内でバスケットボールという競技をもっと盛り上げていくために、そしてレバンガ北海道をさらに応援していただくためには、シンプルに勝つしかないと思っています。

 

島谷:そこは僕も同じです。毎年、優勝を狙えるようなチームになっていくことが、北海道でさらに盛り上がっていくためには必要だと思います。

 

昨シーズン、それをプレーヤーとして実感しました。勝つことで、こんなにも周りの方々から注目してもらえる存在になるんだと感じました。だからこそ、やっぱり勝つことが一番大事だと思います。

 

 

■部活生に伝えたい「しんどい練習」の価値
 

――アルペングループマガジンは、部活生にも読まれている媒体です。もし部活生時代に戻れるとしたら、どんな練習をもっと大切にしますか。

 

 

折茂:もし自分が部活生時代に戻ったとしても、たぶん同じことをすると思います。やはり大事にするのは、ファンダメンタル(基礎技術)です。走ることもそうですし、しんどいこと、つらいこと、つまらない練習をしっかりやることです。

 

基本的に、しんどいことやつらいことは避けたいじゃないですか。でも、私がここまで来られたのは、そういう練習を必死にやってきたからだと思っています。

 

スキルは、練習すればうまくなっていくと思います。でも、ファンダメンタルは土台です。そこがしっかりしていれば、その上に練習を積み重ねることで、スキルも身についていく。

 

やらなければいけないことは、やらなければいけない。そういう積み重ねは、後から必ず返ってきます。逆に、やらなかったら、やらなかったなりの選手になってしまう。いくら小手先の技術を覚えたとしても、最終的に土台がなければ、この世界では生き残っていけないと思います。

 

 

 

島谷:今、折茂さんがおっしゃった「量」の部分は、本当に大事だと思います。それはスキルだけではなく、体の部分もそうですし、何よりメンタルが鍛えられると思います。

 

技術的な部分で言えば、僕たちよりうまいプレーヤーは、プロではない人の中にもいると思います。でも、メンタルの部分を鍛えてきたからこそ、プレッシャーのかかるプロの試合でも、自分たちのスキルを発揮できているのだと思います。

 

それから、もし自分が部活生時代に戻れるなら、栄養と睡眠をもっと大切にしたいですね。身長は、伸びる時期を逃してしまうと後から取り戻すことはできないので、あの頃はもっと意識しておけばよかったなと思います。

 

 


折茂:運動して、しっかり寝ることは本当に大事です。今の子どもたちは、YouTubeやゲームなど、いろいろなものがあります。もちろん、それをやってはいけないと言っているわけではありません。ただ、寝るのが遅い子も多い。

 

だから、自分の中でルールを作ることが大事です。そのうえで、しっかり寝る時間を確保する。運動して、睡眠をとって、ちゃんと食事をとる。この当たり前の習慣を、しっかり身につけてもらいたいです。

 

これは、プロ選手だけに必要なことではありません。体は人間の基礎です。子どもたちでも実践できることなので、ぜひやってもらいたいですね。

 

 

―――スポーツデポ フラッグシップストア札幌月寒店のような大型スポーツショップは、バスケットボールの普及にどんな役割を果たせると思いますか。

 


折茂:何かスポーツを始めるときって、結構“形から入りたい”タイプなんです。バスケットボールでいえばシューズやウェアなど、いろいろなアイテムがありますよね。

 

今日スポーツデポさんに来て、圧倒的に進化しているなと感じました。これだけ種類があって、これだけのフロア面積がある。さらに競技に合った床材が敷いてあって、シューズの滑り具合まで確認できる。私の時代には、そういう環境はありませんでした。

 

昔は、軽いかどうか、足にフィットするかどうか、デザインがかっこいいかどうかで選ぶしかなかったんです。実際にコートに立ってみたら、止まりが悪かったり、逆に止まりすぎたり、自分に合っていないものを選んでしまうこともありました。

 

 

 

でも今は、ここで試せる。自分に合ったシューズやインソールをしっかり選べる場所があることは、すごく大きいと思います。

 

 

 

島谷:小さい頃、スポーツショップにシューズを買いに行くときって、すごくワクワクしたんです。バスケットシューズを買いに行くんですけど、ウェアやソックスも自然と目に入る。そういう新しい発見は、総合スポーツショップに来ないと得られない体験だと思います。

 

野球やサッカーの道具を買いに来た子どもたちが、バスケットボールのコーナーを見て「すごいな」「こんなにシューズがあるんだ」と感じるかもしれない。そういう場所があることは、バスケットボールをやっている子どもたちだけでなく、まだバスケットボールをやっていない子たちにとっても、始めるきっかけになると思います。

 

折茂:親御さんが「子どもに何かスポーツをやらせたい」と思っているなら、こういう場所に連れてきてもらいたいです。見ているだけでも、子どもは刺激を受けると思いますし、「ちょっとやってみたいな」と思うかもしれません。こういう場所は、スポーツと出会うきっかけになると思います。

 

 

――最後に、新シーズンへの意気込みを聞かせてください。

 

 

島谷:昨シーズンを通じて、自分たちがすごく注目されるチームになったことは、選手としても感じています。皆さんの期待も、僕たち自身の期待も、CSに出場して優勝を目指すというところに変わっていくと思います。

 

もっともっとバスケットボールで北海道を盛り上げたい。北海道に優勝を届けたい。そういう気持ちで、新シーズンを戦いたいと思っています。

 

折茂:クラブとしては、選手たちがモチベーション高く戦える環境を作ることが大事だと思っています。昨シーズンは本当にチームが頑張ってくれて、勝率5割を超え、あと少しでCSというところまで来ました。

 

スポーツの世界に絶対はありません。ただ、一つひとつ階段を上っていくしかないと思います。新シーズンは、しっかりCSに絡んでいかなければいけない。応援してくださる方々が楽しめるバスケットをお見せしたいです。

 

 

■スポーツデポ フラッグシップストア札幌月寒店で生まれた、レバンガ北海道とファンの新たな接点

 

 

対談後に行われたトークショーには、抽選で選ばれた40名のファンが参加した。会場となったスポーツデポ フラッグシップストア札幌月寒店は、北海道初のスポーツデポのフラッグシップストア。売り場面積約1500坪を誇る、北海道最大級の体験型店舗だ。

 

イベントでは、昨シーズンの振り返りや島谷選手の成長に加え、スポーツデポで販売されている「ティゴラ ドリブルネット」も紹介された。

 

 

 

室内でもドリブル練習ができるアイテムとして、島谷選手が実際に体験。

 

 

 

ボールをついた島谷選手は、「結構跳ねますね。体育館とは全然違います」と感想を語った。

 

折茂さんも実際に試しながら、「床で直接ドリブルをすると響きますから、こういうものがあれば家でも練習できますよね。時代ですね。いいものがたくさん出てきます」とコメント。雨の日や夜など、外で練習しにくい時間帯でもボールに触れられる点は、部活生やミニバス世代にとって、練習環境の選択肢になりそうだ。

 

 

 

また、スポーツデポにはレバンガ北海道のオフィシャルグッズコーナーも常設されている。折茂さんは、大型店舗にクラブのグッズが並ぶことについて「こんな日が来るとは思わなかった」と喜びを語った。

 

さらに、先日発表された新ロゴについても話題に。15年間親しまれてきたロゴへの思いにも触れながら、新しい時代へ進むために必要な変化だと話した。
 

 

 

「これから新しいレバンガ北海道が始まります。新シーズンはB.PREMIERの初年度でもあります。変えていかなければいけないものと、変えてはいけないものがあると思っています。」

 

その中で、絶対に譲れなかったのがチームカラーの緑だった。

 

「緑だけは絶対に譲れませんでした。これはここで言っておきます」

 

 

 

島谷選手も「次は僕たちがそれを引き継いで、新しいロゴをレバンガ北海道の象徴として浸透させていく番だと思っています」と力を込めた。

 

昨シーズン、クラブ史上最高勝率を更新し、シーズン終盤までCS出場争いを繰り広げたレバンガ北海道。会場の熱気、選手の成長、そして地域に根ざした応援の広がりは、確かな手応えとして残った。一方で、新シーズンへ向けてはディフェンスの強化という明確な課題もある。

 

 

 

折茂さんが繰り返したのは、「勝つしかない」というシンプルな言葉だった。勝つことで会場が熱を帯び、子どもたちがバスケットに憧れ、街のスポーツショップにも新しい出会いが生まれる。

 

新しいロゴとともに歩み出すレバンガ北海道。その一歩一歩が、北海道のバスケ熱をさらに高めていくはずだ。

 

 

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【写真】佐藤ゆたか
【取材・文章】池田鉄平
【取材協力】レバンガ北海道

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