(上記写真:市原吏音(RB大宮)は近い将来の海外移籍が確実視されるCB)
U-20(20歳以下)W杯が、9月27日から10月19日にかけて南米のチリで開催される。アジア予選ベスト4で4大会連続12回目の出場を決めた日本は、開催国のチリ、アフリカ地区のエジプト、それにオセアニア地区のニュージーランドと対戦する。船越優蔵監督と選手たちは、「新しい歴史を作る」との目標を共有している。世界各国から将来有望な選手が集う舞台で、活躍が期待される9選手を紹介しよう。
●市原吏音(RB大宮アルディージャ)23年6月にJリーグデビューを飾ってから、RB大宮アルディージャの最終ラインに欠かせない選手となっている。3バックでも4バックでも、スタメンに名を連ねている。今シーズンはゲーム主将も務める。市原は187センチの高さがあり、空中戦に強い。相手のボールを跳ね返すディフェンスの局面だけでなく、CKやFKから得点を狙うこともできる。ビルドアップのレベルも高い。利き足の右足ではなく左足でも、長短のパスをスムーズに繰り出せる。縦へズバリと差し込むパスは、しばしば攻撃のスイッチとなっている。しかも、相手のプレッシャーを受けた際にプレーの選択を変える──キャンセルができる。それによって、パスの受け手が窮屈な状況に追い込まれないのである。現在はJ2でプレーしているが、そのポテンシャルは特大だ。早ければ今シーズン終了後にも、海外へ移籍すると見られている。
●齋藤俊輔(水戸ホーリーホック)関係者注目のタレントである。中村俊輔や小川航基(NECナイメヘン/オランダ)らを輩出した神奈川・桐光学園高校出身で、プロ2年目の今シーズンはJ2リーグでJ1昇格争いを演じている水戸ホーリーホックで、しっかりとプレータイムを確保している。4-4-2の2列目左サイドを基本ポジションとし、アタッキングサードで迷わず仕かけていく。細身にも見えるが、プレーは力強い。オンザボールの局面で相手との競り合いに果敢に挑み、可能な限り最短距離でゴールへ向かっていく。右利きだが左足のシュートも鋭い。水戸がクラブ史上初のJ1昇格を勝ち取ることができたら、この男が力強い足跡を記しているはずだ。
●石渡ネルソン(いわきFC)セレッソ大阪のアカデミーで育ち、23年に高校3年でトップチームに昇格した。ナイジェリア人の父から譲り受けた185センチのサイズとしなやかな身のこなしは、間違いなくストロングポイントだ。高卒1年目の24年は、J2の愛媛FCへ育成型期限付き移籍。25年もJ2のいわきFCへ育成型期限付き移籍すると、右シャドーのポジションを確保する。タイミング良くゴール前へ入っていき、シュートへ結びつけるセンスが光る。7月にはJ2月間ヤングプレーヤー賞を受賞した。世界への切符をつかんだ今年2月のAFC(アジアサッカー連盟)U-20W杯には出場していない。遅れてきたタレントは、この世代特有の伸びしろを見せて世界にその名を轟かせるか。
●大関友翔(川崎フロンターレ)名前は「ゆうと」と読む。キャリアを切り開いたのはプロ2年目の24年だ。川崎フロンターレからJ3の福島ユナイテッドFCへ期限付き移籍すると、川崎Fのコーチだった寺田周平監督が推し進めるパスサッカーの中心となり、8得点6アシストをマーク。チームは過去最高タイの5位でフィニッシュし、大関はベストイレブンに選出された。25年は川崎Fへ復帰し、シーズン開幕から試合に絡んでいる。スタメン出場は少なくとも確かなインパクトを残し、7月のE-1選手権で日本代表に初選出された。スケールの大きなプレーが特徴で、攻撃の局面で違いを生み出す。U-20日本代表の10番が、世界との遭遇でどんな刺激を受けるのか。今後の成長が楽しみな選手だ。
大関は7月のE-1選手権で日本代表デビューを飾った
●梅木怜(FC今治)帝京高校時代は、173センチのサイズながらセンターバックが主戦場。鋭い読みとスピードを生かしたカバーリングの感覚を身につけた。また、局面を打開する中長距離のパスも操るようになる。24年に当時J3のFC今治入り。4バックの右サイドバック、3バックの右ウイングバックで19試合に出場し、スピード豊かな攻め上がりで攻撃にアクセントをつけた。チームがJ2へ昇格した今シーズンも、攻守に躍動感溢れるプレーを披露。シーズン序盤から上位に食らいついているチームで、右ウイングバックのレギュラー格として得点とアシストを記録している。3バックにも4バックにも対応し、左右両サイドでプレーできるのも彼の強み。U-20日本代表では左サイドバックのレギュラーだった髙橋仁胡(セレッソ大阪)が負傷離脱中のため、チリでは左サイドを任されるかもしれない。
●ピサノアレックス幸冬堀尾(名古屋グランパス)漢字の部分は「こうとほりお」と読む。カナダ人の父と日本人の母を持つ。身長197センチのビッグマンだ。長身を利したハイクロスの処理に自信を持つが、シュートストップのスキルも高い。至近距離からの一撃に俊敏に反応し、身体の立て直しが速い。プロ2年目の今年5月に、Jリーグデビューを飾った。所属する名古屋グランパスの正GKは、元日本代表シュミット・ダニエルが有力視されていたが、そのシュミットはケガが多く、現在のピサノは正GKと言っていい立場だ。所属クラブでのパフォーマンスが評価され、7月のE-1選手権で日本代表デビューを飾った。名古屋では元日本代表の楢﨑正剛GKコーチの指導を受ける。将来的な日本代表入りも期待される逸材が、チリのピッチに立ってもおかしくない。
●石井久継(湘南ベルマーレ)U-15から年代別日本代表に選ばれ、U-20W杯出場を獲得した今年2月のAFC U-20W杯でも左サイドアタッカーを担った。所属する湘南ベルマーレでは途中出場が多いものの、相手守備陣の嫌がるところでボールを引き出し、チャンスメイクをしながら自らもゴールを狙っていく。得点が必要な場面で起用されることが多いため、短い時間で攻撃に勢いを生み出すタスクに慣れているのは、U-20日本代表でも生かされるだろう。また、システムに応じて様々な役割を担うことができる柔軟性も、チームの可能性を拡げていくはずだ。湘南でできる限りプレータイムを伸ばし、世界との遭遇を備えたい。
●佐藤龍之介(ファジアーノ岡山)シンデレラボーイ、という表現が当てはまるだろう。FC東京のアカデミーで育ち、23年8月に久保建英以来となる16歳でのプロ契約を結んだ。その名前が全国区となるのは、25年のファジアーノ岡山への期限付き移籍をきっかけとする。J1初昇格の岡山で右ウイングバックを任されると、セレッソ大阪、サンフレッチェ広島、鹿島アントラーズから連続してゴールを奪う。ボールを持ったらまずは仕かけを意識する姿勢が、観衆の視線を惹きつけていった。06年10月生まれの18歳は、6月に北中米W杯アジア最終予選に臨む日本代表にピックアップされた。同10日のインドネシア戦で史上4番目の若さで代表デビューを飾り、7月のE-1選手権でも全3試合に出場したのだった。日本代表に招集されたことにより、彼自身への注目度は確実に高まった。U-20W杯のメンバー入りを果たせば、海外のスカウトからも熱視線を浴びるに違いない。
佐藤龍之介はいま最注目のアタッカーだ
●神代慶人(ロアッソ熊本)名字は「くましろ」と読む。ロアッソ熊本のアカデミー出身で、24年に16歳でトップチームにデビュー。同年3月にJ2リーグ最年少得点記録を更新した。24年は19試合出場で5ゴールをマーク。今シーズンは6月から出場機会を増やし、8月中旬までに5得点をあげている。181センチのサイズを生かして最前線で攻撃の起点となり、ゴール前でフィニッシュに関わっていく。そのプレーは17歳とは思えないほど力強い。“飛び級”でのU-20W杯出場が、現実味を帯びてきた。
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