■アシックスから新たなBLASTファミリー登場!
アシックスからBLASTファミリーに新たに「SONICBLAST(ソニックブラスト)」と「MEGABLAST(メガブラスト)」が発売されました。
新素材「FF TURBO SQUARED(エフエフターボスクエア)」を搭載した2モデル、FF TURBO(エフエフターボ)の “ツー(2)”ではなくて、SQUAREDと2乗とのこと、“FF TURBOの進化版“ “従来比2乗的にパワーアップ”というニュアンスの機能性大幅向上をイメージさせるネーミングになっています。
実際、FF TURBO SQUAREDは、従来のFF TURBOと比べて、反発性が約32.5%向上しているとのこと。つまり、NOVABLAST、SUPERBLASTに続き、アシックスのBLASTファミリーとして、MEGABLAST、SONICBLASTはノンGEL、反発フォーム“バウンス系”シリーズの新品番ということになりますね。
では、その中でも今回はSONICBLASTに注目して、この4つのモデルはどう違うのか、どう使い分けるといいのか、どんなランナーにハマるのか、解説していきたいと思います。
■デイリーからレースまでシームレスにつなぐアシックスのラインナップ

日本やアジア市場では「安定感+衝撃吸収=GEL」が好まれていて、GELを残した“伝統ライン”のKAYANO・NIMBUS・GT-2000シリーズの依然人気が高いですが、 北米や欧州のランナーは 「軽さ・反発・推進力」 がトレンドとなっています。
NOVABLASTは、欧米での大ヒットはもちろんのこと、日本でも大ヒットしたこともあり、タイム志向の強い日本人ランナーのニーズに合わせて、「ノンGEL路線」のBLASTファミリーのラインナップが更に厚みを増した、ということもありそうです。
MEGABLASTは軽量で反発性に優れたクッションフォーム材FF TURBO SQUAREDをミッドソール全面に 搭載した、27.0cmで230gと超軽量で、46mmのスタックハイトの厚底反発系の最高峰、ノンプレートモデルとなっています。
対して、SONICBLASTはミッドソール 上層が「FF TURBO SQUARED」、下層が「FF BLAST MAX(エフエフブラストマックス)」 となっていて、それらが樹脂プレートである「ASTROPLATE(アストロプレート)」をサンドイッチした2層構造のシューズです。
やはり、構造的にもSONICBLASTはレース寄りのスタイルで、ワークアウトトレーニングからレースまで使えるものの、ジョグのようなデイリーユースには少し“走りすぎる”印象かもしれませんね。
ファミリーの中ではデイリーから幅広く使えて16,500円 のNOVABLASTとは構造的にははっきりとした違いがあるものの、用途は近いシューズのように感じます。また同程度の45mm厚の厚底ミッドソールを持ち、デイリーとワークアウトやレースでの高反発ミッドソールを持つSUPERBLASTとは、構造的には違いますが、やはり、ちょっと存在感と用途がかぶる気がします。
むしろ、ファミリー外のMAGIC SPEED(マジックスピード)やS4+ YOGIRI(エスフォープラス ヨギリ)のレーシングモデルの雰囲気の方が近いかもしれませんね。なかなかはっきりとした使い分・選び分けを表現するのは難しい。では、もっと細かく見ていきましょう。
■デイリートレーナーなのか、レーシングなのか?

8mmDropのトラディショナルガイドのNOVABLASTは、デイリートレーナーとしての適度な安定感、ガイド感に加えて、ポンポン跳ねるような独特なクッション性を持ち、「サブ4を目指す層」にデイリーでもロングのレースでも安心の1足として人気が高いモデルです。
一方、MAGIC SPEED、S4+ YOGIRIの2足は、カーボンプレート&高反発フォームで、まさに「スピード寄り」のレーシングシューズ。モデルがアップグレードするたびに機能性向上が著しくて、もはやサブ4ランナー向けとは言えないほど機能性が高くなった印象、サブ3~3.5向けの“セミレーシング”カテゴリーと言っていいでしょう。
ということで、このSONICBLAST の立ち位置は、このNOVABLAST と MAGIC SPEED の“ちょっとしたスキマ“を埋める存在という言い方がいいのかなと思います。
NOVABLASTよりプレートによる蹴り出し助力があって、MAGIC SPEED、S4+ YOGIRIよりは安定感、クッション性がデイリートレーナー寄りというモデルになると言えますね。
構造的にも上層のFF TURBO SQUAREDは今回初めて発表された高反発素材で、下層のFF BLAST MAXはNOVABLASTのミッドソール素材になっていて、そして、カーボンではないシナリもあり、扱いやすい樹脂プレートのASTROPLATEが搭載と、まさに構造的にもNOVABLASTとMAGIC SPEED、S4+ YOGIRIの3足のミックスしたようなモデルだと言っていいでしょうね。
実走した感じでもカーボンほど強い蹴り出しがあるわけではないけど、「推進力」を感じる、そして、FF BLAST MAXで安定性も確保されているので46mmとは思えない「接地感覚」があります。
■サブ4シューズのオプション
NOVABLAST とコンビでサブ4ランナーのオプションでもありますが、SONICBLAST は“新サブ4シューズ”と言っていい存在感があります。
しかし、プレートがないもののFF TURBO PLUS(エフエフターボプラス)の「弾むような推進力」のSUPERBLASTとは、ジョグよりもテンポ走からロング走などの“速い練習”に向く「練習でもう一段速さを引き出す」という点でも、レースデイシューズとしてもNOVABLAST以上を望むランナー向けという点でも、使用用途など共通点も多いように感じます。
フォームだけで推進を出すスタイルの驚くほど軽くて厚底のSUPERBLASTは、ジョグからレースペース走まで守備範囲広い、いわゆる「スーパートレーナー」と呼ばれるモデルです。
それに対して、SONICBLAST は、内臓の樹脂プレート「ASTROPLATE」によって推進力がはっきり強調されるモデル、レーシーな雰囲気の強さは、むしろMAGIC SPEED、S4+ YOGIRIの2足に近い存在感もあります。
SUPERBLASTはNOVABLASTの延長線上、サムシングプラスの機能性を希望、しかも、プレートなしを好むランナー向けと言う感じでしょうかね。
SUPERBLASTとSONICBLASTは、用途は被っているけれど、プレートの有無が鍵ということになりますね。
■「ランナーのかゆいところに手が届く」ラインナップ

「ランナーのかゆいところに手が届く」ラインナップが信条のアシックス。ピッチとストライドで2種類スーパーシューズを発売するブランドですからね、今回のBLAST ファミリー増員もこのブランドならあり得るわけです。
推進力では『SONICBLAST > NOVABLAST』ですね。NOVABLASTはデイリートレーナーモデルの中でポンポン行く存在で、サブ4も十分可能な機能性と言えます。それに対してSONICBLASTは構造的にもそれより一段階上のスピードと安定感をサポートするようなサブ4以上を望むランナー向けと言えるかもしれません。
SONICBLASTとSUPERBLASTは用途やフォローするランナーは被るが構造が違いました。プレート有無が選び分けのキーになりますよね。プレートがあると蹴り出しのエナジティックになり、SONICBLASTはトレーニングよりレースデイに使用するランナーにフィット、SUPERBLASTはやはりトレーニング寄りに感じます。
SONICBLAST = MAGIC SPEED、S4+ YOGIRIという感じで構造的には似ているがフォローするランナーは違う。
結論、ほんとEVERYTHING BETWEEN(ちょうど全ての真ん中)なモデル、体が大きいランナーとか、なかなかサブ4以上ができないとか、距離走では足を使いたくないけど蹴り出し助力もほしいとか、ランナーの皆さんの使い方次第で、トレーニングシューズにもなり、レースデイシューズにもなるモデル、そんなランナーによって七変化するそれがSONICBLASTなのでしょう。
是非皆さんも1度は店頭で足を入れて見てくださいね!
<著者プロフィール>
ランニングシューズフィッティングアドバイザー
藤原岳久(FS☆RUNNING(旧 藤原商会)代表)
日本フットウエア技術協会理事
JAFTスポーツシューフィッターBasic/Advance/Master講座講師
足と靴の健康協議会シューフィッター保持
・ハーフ1時間9分52秒(1993)
・フルマラソン2時間34分28秒(2018年別府大分毎日マラソン)
・富士登山競走5合目の部 準優勝(2005)
【文章・写真】藤原岳久