野球はプレーこそシンプルですが、ルールは複雑なスポーツです。申告敬遠の導入や、投球間隔の制限など、野球のルールは状況に応じて適宜改定され続けています。
そのような中で、北米のメジャーリーグ(MLB)や日本のプロ野球(NPB)で2010年代に導入されたルールのひとつが「コリジョンルール」です。既に定着しつつあるルールですが、具体的にどのようなものなのでしょうか。
ここでは、野球のコリジョンルールの概要や、プレーする際に気をつけたい注意点をご紹介します。
【目次】
■コリジョンルールとは
・ルールが制定されたきっかけ
・ルール上禁止されているプレーは?
・違反した場合はどうなる?
■違反を取られないための注意点
・選手の立ち位置
・体の向き
■本塁以外の接触に関するルール
■ルールを守って正しくプレーすることが大事
■コリジョンルールとは

コリジョンルールの「コリジョン(collision)」は、「衝突」という意味の英語です。名前のとおり、選手同士の衝突を防ぐためのルールで、メジャーリーグでは2014年、日本のプロ野球では2016年から採用されています。
具体的に、コリジョンルールはどのようなものなのでしょうか。
・ルールが制定されたきっかけ
コリジョンルールが定められている目的は、キャッチャーのけがを防ぐことです。2011年、メジャーリーグで若手キャッチャーが本塁上のクロスプレーで、骨折・じん帯断裂という大けがを負ってしまうプレーが起きました。
似たような時期には日本でも、本塁のブロックを試みたキャッチャーが相手ランナーにタックルを受けて骨折するなど、危険なプレーが発生。
選手同士の衝突によるけがを防ぐために、本塁上の衝突を禁止するコリジョンルールが制定されました。
ルール制定のきっかけとなった選手の名前から、メジャーリーグでは「ポージールール」と呼ばれることもあります。
・ルール上禁止されているプレーは?
コリジョンルールで禁止されているプレーは、主に次の2つです。
・キャッチャーがボールを持たずに、得点しようとしているランナーの走路を塞ぐ
・ランナーが、走路をブロックしていないキャッチャーに接触しようと試みて走路を外れる
ルール上はキャッチャーだけでなく、ベースカバーに入った他の野手が本塁をブロックしたり、ランナーの走路を塞いだりする行為も禁止されています。
注意したいのが、ボールを持っている状況でブロックする行為自体は禁止されていない点です。
例えば、ランナーが到達するよりも早く送球を受けていたのであれば、ブロックすることはできます。
・違反した場合はどうなる?
キャッチャーをはじめとした守備側の選手がコリジョンルールに違反した場合、ランナーはセーフ扱いとなり得点が認められます。プレーが悪質だったと判断された場合は、退場処分となるので注意が必要です。
一方で、ランナーがコリジョンルールに違反した場合は、そのランナーはアウトです。その後、ボールデッド(試合中断)が宣告され、他に進塁したランナーがいた場合は元の塁に帰塁してから試合が再開されます。
■違反を取られないための注意点

コリジョンルールは、無意識のうちに違反してしまうこともあるものです。コリジョンルールに抵触するのを防ぐために、プレー中は次の点を意識しておきましょう。
・選手の立ち位置
ボールを持たない状態でランナーの走路を塞いだとみなされると、コリジョンルールに違反します。他の野手からの送球を待つ間は、立ち位置に注意が必要です。
例えば、ホームベースの左寄りでボールを待っていると、三塁側から来るランナーの走路に重なるため、走路妨害とみなされる可能性が高いです。
クロスプレーが発生しそうな際は、ホームベースの前側(フェアグラウンド側)または右側寄りの位置で送球を待つことをおすすめします。
基本的には、ライト方向からの送球はホームベースの右側寄り、センターまたはレフト方向からの送球は前側で待つと良いでしょう。
また、ホームに近い位置に立っていると走路をブロックしていると捉えられる可能性がある点にも注意が必要です。
・体の向き
ボールを待つ間の体の向きも重要です。最初からランナー側に体を向けた状態で送球を待っていると、「ブロックを試みている」と疑われる恐れがあります。
ランナー側の走路をあけたうえで、送球が来る方向にしっかりと体を向けておくこともポイントです。
ランナーがホームに突っ込んできて、クロスプレーとなった際は、ボールをしっかりと捕球してからタッチを行いましょう。
コリジョンルールに抵触しないように失点を防ぐには、本塁に送球する野手側の意識も欠かせません。
基本的には、送球は受け手から見てやや左側(三塁線寄り)を意識してバックホームを行うのがおすすめです。
ランナーはキャッチャーから見て左側からホームベースに突っ込んでくるため、万が一送球が右側に逸れてしまうと、スムーズにタッチすることができません。
いわゆる「追いタッチ(ランナーのスライディングを追うようにタッチするプレー)」になり、ランナーがセーフになる可能性が高くなってしまいます。
一方で、左側なら逸れてもすぐタッチに移行できます。
また、「送球を捕ろうとしている時」にキャッチャーがやむを得ず走路に入ったとしても、コリジョンルールは適用されません。
アウトにできる可能性が高いため、本塁への送球は左側を少し意識してみましょう。
■本塁以外の接触に関するルール
野球では、本塁以外のベースにも選手同士の接触に関するルールが定められています。
例えば、本塁以外も野手がボールを持たずにベースを塞いで、ランナーの進塁を防ぐことは禁止です。ランナーが進塁または帰塁する際に、野手が足や手などでベースを塞ぐと走塁妨害となり、無条件でランナーはセーフとなります。
ランナー側も、野手に接触するような危険なスライディング(併殺崩し・ゲッツー崩し)をすることはできません。
一塁ランナーがダブルプレーを避けようと、セカンド上にいた野手に向かってスライディングを行うなどが、危険なスライディングの例です。
その場合は守備妨害が宣告され、ランナー・バッターともにアウトになります。
■ルールを守って正しくプレーすることが大事
選手同士の衝突を防ぐコリジョンルールは、選手を重大なけがから守るために欠かせないルールのひとつです。従来はホームベース上での激しいクロスプレーやゲッツー崩しといった接触プレーが認められていたものの、現在は高校野球や少年野球はもちろん、プロ野球界でもコリジョンルールが厳格に適用されています。
本塁でのクロスプレーに目が行きがちですが、他の塁でも危険な接触プレーが禁止されているため、プレーする際は注意が必要です。
基本的なプレーやルールを再確認して、試合中のけがやトラブルを防ぎましょう。
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【文章】アルペングループマガジン編集部