<Road To HAKONEから見るシューズ事情>駅伝シーズン開幕!出雲駅伝でのシューズ事情をアイビーリーグ選抜と比較してみる

■出雲駅伝2025シューズシェアはこうなった


大学駅伝のシーズン開幕!3大大学駅伝の一つ出雲駅伝は、1989年のスタート以来ショートディスタンス駅伝のスピード感、順位が入れ替わるスリリングさが人気の大会。

 

優勝は昨年に続き國學院大學、2連覇となった。優勝メンバーのうち6区間中5名が残ったチームだけに、この優勝も順当と言っていいだろう。2位は早稲田大学。3区、4区を加入したスーパールーキーが危なげなく襷を繋いだことが大きかった。逆に、戦前の優勝候補にあがった中央大学、駒澤大学はブレーキもあり、3位以内を逃した。エース黒田選手を擁する青山学院大学は5区、6区の連続区間賞でなんとか追い上げ7位となった。

 

さて、その選手の足元はどうなったか?

 

 

【出雲駅伝シューズシェア】

※著者調べ

 

全チーム(22チーム)のブランドトップシェアは「ナイキ」で、「アディダス」「アシックス」と続いた。しかし、関東勢だけに絞ると、トップシェアは「アディダス」、続いて「ナイキ」「アシックス」というシェアになり、様相は変わる。

 

特に地方大学の学生は基本的にレースデイシューズを自分で購入していると思われ、という視点になると関東勢の結果がより気になるところだ。

 

 

■各大学のシューズ事情

 


基本的には大学生のアマチュアスポーツゆえ、シューズ着用は選手の意思が尊重されるが、アディダスの関東勢トップシェアは、まずは7位の青山学院大学の着用率100%が大きかった。また、スポンサー大学である創価大学も大多数が着用、優勝した國學院大學は2人のみ着用と分かれた。

 

また、ユニフォームはミズノの東京国際大学も6区間中4名がアディダスを着用するなど早稲田大学、駒澤大学、東洋大学以外には着用者が散見された。ちなみに、ナイキに次いで地方大学の学生も2番目にアディダスを着用する選手が多かった。

 

シューズ単体で言うと「ADIDAS ADIOS PRO EVO 2(アディダス アディゼロ アディオス PRO EVO 2)」が目立った。第102回 箱根駅伝本番でも着用する学生が多そうだ。

 

さて、ナイキは、スポンサー校である中央大学、東洋大学を中心に着用者が多く、また地方大学の学生の着用率は40.3%と他ブランドを圧倒した。着用モデルは、「Nike Vaporfly 4(ナイキ ヴェイパーフライ 4)」が多かった印象。地方の学生では3代前の「Nike Alphafly 1(ナイキ アルファフライ 1)」を履く学生も散見された。

 

 

 

アシックスは、駒澤大学で大多数を占めたものの、早稲田大学や、帝京大学でマイノリティとなり、伸びなかった。また出雲駅伝の1週間後に箱根駅伝予選を控えることもあり、アシックスのスポンサー校が2校のみであったことも今回の結果に影響したように思う。

 

ちなみに、地方大学の学生を含めるとオンやニューバランスを着用する学生もいたが、関東勢だけの60人の着用シューズブランドは、なんとナイキ、アディダス、アシックス、プーマの4ブランドのみであったことを追記しておこう。

 

 

 


■区間賞でのシェアはこうなった

 

ちなみに、今大会の各区間3位までのシューズ事情はというと、ここもちょっと違うシェアが見えてくる。区間賞は6区間中3区間の50%がナイキで、それも全てNike Vaporfly 4着用者で占められた。それに次ぐのがアディダスで2区間、プーマが1区間となった。

 

そして、区間3位までの総数で言うと、アディダス7人、アシックス6人と、アディダス VS アシックスの様相に変わってくる。駒澤大学は2区間を除いてすべて区間2位という安定した成績、その全てのランナーがアシックス着用者であった、そういった実力者が着用しているケースが多かったことがうかがえる。

 

区間3位以内で1番多かったモデルは、ADIDAS ADIOS PRO EVO 2が5足、その次がNike Vaporfly 4の4足となった。

 

 

【区間順位(1位~3位)から見たランナー着用シューズブランド】

※著者調べ

 


【区間順位(1位~3位)から見たシューズの種類】

※著者調べ

 

 

結局、着用シューズは、4ブランドのみで、この区間3位までに関東勢の学生以外は入ってこなかった。やはり、関東と地方で実力差がはっきりしているわけだ。必然的にブランドも関東の選手に目が行くし、また大学も成績が出ればまた学生がそこに集まる。とにもかくにも、箱根駅伝という大きな舞台を中心に学生長距離界は回っているわけだ。

 


■アイビーリーグ選抜の選手とのシューズ事情比較


ここまでは出雲駅伝全体のシューズ事情を考察してきたが、ここで少し別の角度でシューズ事情を考察してみたい。アイビーリーグ選抜の選手とのシューズ事情比較だ。

 

アイビーリーグとはアメリカ北東部の名門私立大学8校の総称で、ハーバード大学、エール大学、プリンストン大学、コロンビア大学、コーネル大学、ペンシルベニア大学、ダートマス大学、ブラウン大学で構成されている。今年で37回目を数える出雲駅伝には1998年の第10回大会から招待されており、中止となった大会など数回を除き、参加してきた。

 

1998年から今年で25回目の出場である名門校で構成されるアイビーリーグ選抜は、昨年の5位に続いて躍進、4位に入った。11位以内には関東勢しかいないことを含めると素晴らしい結果であった。

 

 


特に5000m 12分台、10000m 26分台と日本記録より速いタイムを保持し、東京世界陸上アメリカ代表で男子10000mに出場し11位であったG・ブランクス選手が、オフシーズンながらも区間4位でまとめて、チームの好結果に貢献した。

 

今回のアイビーリーグ選抜のシューズシェアをのぞいてみると珍しく、ナイキ、アディダス、アシックスとまるで日本人選手のようなシェアであったが、G・ブランクス選手は、NIL(ネーミングライツ・肖像権の契約)を在学中にニューバランスと結んでいるので、当然「New Balance FuelCell SuperComp Elite v5(ニューバランス フューエルセル スーパーコンプ エリート v5)」を着用した。

 

 

【出雲駅伝シューズシェア(全チームとアイビーリーグ選抜との比較)】

※著者調べ

 

 

参考までにアイビーリーグ選抜の『昨年』のシューズシェアを振り返ってみるとナイキが66.7%、ホカが33.3%と、アディダス、アシックスといったメーカーのシューズを着用していないところも興味深い。

 

ちなみにアメリカの学生と日本の学生での大きな違いは、アメリカの大学生でもNILの契約をして、在学中からブランドの看板を背負う。だから、彼らの多くは本人の意思でというより契約ゆえの必然的着用なのだ。

 

また、大会後行われた補欠選手のためのイベント「もう一つの出雲駅伝」でも、アイビーリーグ選抜のランナーが日本人ランナーに混じって出走した。その2名はニューバランスとブルックスのシューズを着用していた。ナイキ、アディダスのシューズではないのだ。

 

日本人学生ランナーとアイビーリーグ選抜、シューズ事情が異なるのは面白い。

 


◾️日本の学生とアメリカの学生の比較

 

プロかアマチュアかシンプルに2択のアメリカと、日本の学生の多くが進む実業団という組織も含めてアマチュアとプロのラインがグレーな日本では、前段でも話してきた通りそのシューズ事情も当然違う。

 

ちなみにアイビーリーグ選抜に選ばれるような学生は、NCAA(全米大学体育協会)の中でDivision 1と言われる強豪校の学生だが、どちらかというと就職面ではキャリア志向が強く大学で引退する選手が目立つ。一方で今回出場したG・ブランクス(ハーバード大学)や、出雲駅伝には出場していないがパリ五輪5000m、10000m銅メダリストのG・フィッシャー(スタンフォード大学)のようなプロランナーもいることは確か。

 

そんなアイビーリーグ選抜の選手は、整理すると大学生もいれば、プロランナーもいて、フルタイム勤務のランナーもいるような混成チームだった。何しろ、9月が始業のアメリカでは、4年生は既に卒業(引退している)していたりと、出雲駅伝が開催される10月のこの時期に有望な選手を招集することはとても難しいことでもあるのだろう。

 

そして、アイビーリーグ選抜の選手たちとシューズメーカーとの関係性ははっきりしていて、プロは契約メーカーからシューズは支給されるが、フルタイム勤務の選手やN I Lを結んでいない大学生は自らシューズを購入しているのでアマチュアと言うべきだろう。

 

それに対して日本の学生は、特に全国の注目が集まる箱根駅伝の選手はアマチュアでありながらもはや実質プロ待遇。これはアメリカの選手のリアルで現実的なシューズ事情とはまるで違って、もっと華やかでプロ的、曖昧な日本らしい待遇だと言えよう。

 

それはともかく、もはや実質的にブランドの広告塔である彼らが来年の箱根駅伝でどのブランドの何をどれくらいの選手が履くのか、その注目は大きくインパクトは計り知れないと言うことだ。第102回 箱根駅伝のシューズ事情も目が離せない。

 

 

<著者プロフィール>
ランニングシューズフィッティングアドバイザー
藤原岳久(FS☆RUNNING(旧 藤原商会)代表)

 

日本フットウエア技術協会理事
JAFTスポーツシューフィッターBasic/Advance/Master講座講師
足と靴の健康協議会シューフィッター保持

 

・ハーフ1時間9分52秒(1993)
・フルマラソン2時間34分28秒(2018年別府大分毎日マラソン)
・富士登山競走5合目の部 準優勝(2005)
 

【文章・写真】藤原岳久

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