未来への期待を抱かせるプロローグだった。 9月10日に行われたカタールW杯アジア2次予選のミャンマー戦は、試合前から激しい雨が打ちつけるなかで幕を開ける。W杯への第一歩をアウェイの地で記すのは、98年のフランスW杯予選以来となる。 FIFAランキング135位のホームチームは、戦前の予想どおり守備を固めてきた。先発のリストにはFW登録の選手が4人並んでいたが、実際には4-1-4-1とも5-4-1とも言えるシステムで臨んできた。いずれにしても守備的である。 アタッキングサードはもちろんミドルサードでもスペースを見つけにくいなかで、日本は意欲的に仕掛ける。CBの吉田麻也と冨安健洋、ダブルボランチの柴崎岳と橋本拳人が、リスクを恐れずにタテパスを入れていく。1トップの大迫勇也と2列目の堂安律、南野拓実、中島翔哉のボールを引き出す動きも効果的だ。 先制点は16分に生まれた。左サイドからカットインした中島が、思い切り良く右足を振り抜く。リオ五輪代表や所属クラブで何度もネットを揺らしてきた得意のアングルから、この日もゴールを決めてみせた。 「先制点はすごく大事なので、取れて良かった」と中島は話したが、この1点は大きな価値を持った。4年前の2次予選初戦で、日本はシンガポールとスコアレスドローを演じている。序盤からチャンスを量産しながら、先制点を奪えないことで焦りが募り、0対0で押し切られたのだった。 先制できないまま時間が経過していけば、同じシナリオが忍び寄る可能性もあった。W杯予選特有の緊張感からチーム全体が解放され、ミャンマーにプレッシャーをかけるためにも、前半が3分の1を過ぎてすぐの先制弾は重みがあった。 10分後には2点目を奪う。右サイドから中央へ持ち出した堂安が、得意の左足でパンチ力のある一撃を見舞う。この一撃は相手GKに阻まれたものの、セカンドボールは自らの足元へ戻ってきた。瞬時にゴール前の状況を把握した21歳のレフティーは、ペナルティエリア左から対角線上にクロスを供給する。 GKが飛び出せず、DFもクリアできないクロスの落下点には、南野が走り込んでいた。狙いすましたヘディングシュートをゴール左へ決めた背番号9は、「うまくマークを剥がそうと思っていたなかで、律が良いクロスを上げてくれた」と振り返った。 2対0としてからも、日本はミャンマーのゴールへ迫る。森保一監督が求める連動性を発揮し、複数の選手がボールに絡んでいく。 右サイドバックの酒井宏樹、左サイドバックの長友佑都の攻撃参加も目を引く。彼らが前線へスムーズに飛び出せるのは、2列目の堂安と中島の立ち位置が関わっている。 堂安はタッチライン際ではなく内側へポジションを取り、大迫や南野と連携できる距離感を意識しながら、酒井にスペースを提供していた。中島もサイドへ開いて幅を取るだけでなく、下がり目のポジションからパスの出し手にもなる。FCポルト所属の25歳は、CKとFKのキッカーも務めた。 2対0で迎えた後半も、試合の流れは変わらない。日本がコンビネーションを生かして攻め、ミャンマーが懸命に抵抗する。ピッチを打ちつけていた雨は、後半開始からほどなくして止んだ。 森保監督はゲームの流れを見極めながら、交代のカードを切っていく。66分に堂安が退いて伊東純也が、77分には南野が下がって鈴木武蔵が登場する。さらに81分、3人目の交代選手として久保建英がピッチに立つ。18歳98日でのW杯予選出場は、史上最年少となる。 6月のキリンチャレンジカップとコパ・アメリカではトップ下で起用された久保だが、直前のパラグイア戦では4-2-3-1の2列目右サイドで出場した。この日も同じ立ち位置を取り、同サイドの酒井と巧みな連携を披露する。酒井の攻撃参加を促して決定機を演出した84分は、背番号17を着ける若武者が才能を垣間見せた場面だ。自ら仕掛けていくだけでなく、チームメイトを効率よく生かすことができるのも、久保という選手の魅力である。 後半も圧倒的に攻め込んだものの、日本は2対0のまま終了のホイッスルを聞く。試合後の取材エリアにいち早く姿を見せた堂安は、「2対0だったパラグアイ戦と同じように、3点目を取り切れなかった。まだまだ質を上げていかないといけない。自分も含めてそこは課題です」と、すでに気持ちを切り替えていた。 10分強の出場に終わった久保は、「とくにW杯予選だからというのはなかったですが、試合に出られたのは良かったです」と落ち着いた口調で話した。そして、「これからもっと(試合に)絡んでいけたら思います」と、意欲を新たにしていた。 2点目を決めた南野も、喜びや安堵に浸るところはない。「重要なのは結果だったので、それが出せたのは良かったです。日本はアジアで勝ち進んでいかないといけないチーム。これからも一試合、一試合をしっかり集中して戦っていきたい」と、強い意思を言葉に込めた。 長友、吉田、酒井、柴崎、大迫らのW杯経験者は、チームに落ち着きをもたらしてくれる。ただ、ミャンマー、タジキスタン、キルギス、モンゴルとの2次予選を勝ち抜き、さらなる強敵が待ち受ける最終予選を突破するには、チームを勢いに乗せるタレントが必要になってくる。 ヨーロッパのクラブで自らを磨く堂安、南野、中島、久保らは、その意味で、日本代表の未来を切り開く存在にならなければならない。森保監督が推し進める世代交代の象徴としても、彼らにはさらなる活躍が望まれる。それぞれが勝利につながるプレーを見せたミャンマー戦さえも、やがては色褪せるほどの活躍が。
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