体を動かすスポーツシーンに、怪我はつきものです。特にサッカーは、ジャンプやボールを蹴る動作、切り返し、相手選手との接触などが多く、さまざまな怪我に見舞われる恐れがあります。中でもよく見られる怪我のひとつが「膝の靭帯損傷」です。 膝の靭帯損傷とは、文字通り膝にある靭帯が傷ついてしまうことを指しますが、具体的にはどのようなシーンで起こりやすく、どう予防すれば良いのでしょうか。 ここでは、膝の靭帯損傷が起きる原因や具体的な症状、予防法などをご紹介します。
【目次】
■膝の靭帯損傷の種類
■膝靭帯損傷が起きる原因
■膝の靭帯を損傷した際の症状
■靭帯損傷時の治療法
・保存療法
・手術療法
■膝の靭帯損傷を予防する方法
・足の筋肉のトレーニング
・バランス能力のトレーニング
・運動前後のストレッチ
■日々の心がけで怪我を防ごう
人間の膝関節は、大腿骨、脛骨、腓骨、膝蓋骨の4つの骨、前十字靭帯、後十字靭帯、内側側副靭帯、外側側副靭帯の4本の靭帯、そして硝子軟骨、半月板という2つの軟骨で構成されています。 前十字靭帯と後十字靭帯は膝の前後の動きに、内側側副靭帯と外側側副靭帯は膝の左右の動きにそれぞれ連動していて、バランスを取りながら膝関節を支えています。 膝に強い力がかかることで、これらの靭帯にダメージが加わってしまった状態が、膝の靭帯損傷です。傷ついた靭帯によって、以下の4つに分けることができます。
・内側側副靭帯損傷(MCL) ・外側側副靭帯損傷(LCL) ・前十字靭帯損傷(ACL) ・後十字靭帯損傷(PCL)
一般的には、脛が無理やり外側に向くことで内側側副靭帯を、脛が無理やり内側に向くことで外側側副靭帯を損傷します。また、脛が前方に押し出されることで前十字靭帯を、脛が後方へ押し出されることで後十字靭帯を損傷します。 この中では内側側副靭帯の損傷が最も頻度が高く、外側側副靭帯を単独で損傷するケースは稀です。大きな外力を受けることで、複数の靭帯を損傷したり半月板が傷ついたりする場合もあります。
膝の靭帯を損傷する原因は、大きく分けて2パターンあります。
1つ目が、人やモノなどとぶつかって起きるケースです。スポーツ中に他の選手と交錯した、交通事故に遭ったなど、強い衝撃を受けた際に靭帯を損傷してしまう場合があります。
2つ目に考えられるのが、運動の際に無理な力が働いたケースです。トップスピードで走っている状態からの急停止や急回転、ジャンプした際の着地の衝撃など、膝に大きなひねりの動作が加わることによって、靭帯を損傷する可能性があります。
膝の靭帯損傷の症状は、損傷具合によって異なります。 軽症の場合は、一般的には日常生活に大きな支障はありません。安静にしていれば痛みも次第に引いていきます。靭帯が完全に切れてしまうなどの重症の場合は激しい痛みを伴い、膝関節がぐらぐらと不安定になる感覚が生じます。
また、傷ついた靭帯の種類によっても症状は異なるため、注意が必要です。 内側側副靭帯を損傷した場合は、膝の内側に痛みが表れます。内側に膝を入れた際に痛みを感じ、酷い場合は膝がガクッと崩れるように感じる場合があります。 前十字靭帯損傷の場合は、膝がズレたり崩れたりして、痛みとともに患部が腫れてくるのも特徴です。
いずれの場合も、膝の不安定感や痛みを覚える場合はすぐに病院を受診しましょう。不安定感を放置し続けると、半月板損傷や軟骨損傷といった別の怪我につながり、慢性的な痛みや腫れを引き起こす場合があります。
膝の靭帯を損傷した場合は、損傷した場所などに応じて、保存療法と手術療法のどちらかで治療を行います。それぞれの治療法についても簡単に知っておくと、万が一の際に役立つでしょう。
サポーターを装着して患部を固定し、安静にします。その後、痛みを感じない範囲で関節を動かすリハビリを行いながら、筋力の低下を最小限にとどめるのが保存療法です。 内外側側副靭帯や後十字靭帯の損傷では、保存療法が取られることが多いです。
前十字靭帯を損傷した、靭帯が完全に断裂している、長く放置されていて保存療法では改善する見込みがないといった場合は、損傷した靭帯を修復する手術が必要になることもあります。 術後にはリハビリを行いながらスポーツシーンへの復帰を目指します。個人差はありますが、完全復帰するには半年程度の期間が必要です。 半月板損傷や関節軟骨損傷といった他の怪我につながる恐れがあるため、回復しきらないまま運動を再開するのは避けましょう。
靭帯は外からの衝撃で傷つくため、損傷を完全に防ぐことはできませんが、予防してリスクを減らすことは可能です。靭帯損傷を防ぐための方法をいくつかご紹介します。
膝関節を伸ばす大腿四頭筋や、膝を曲げる動作で使用するハムストリングスなど、足の筋肉を鍛えるトレーニングを行いましょう。足の筋肉を鍛えることで、膝関節を安定させられます。 大腿四頭筋やハムストリングスをはじめ、下半身の筋肉を鍛えられるスクワットを行うのがおすすめです。
【スクワットのやり方】 1.肩幅程度に足を広げて、真っすぐ立つ 2.背筋を伸ばして、息を吸いながら体をゆっくりと下げる 3.太ももと地面が平行になったら少し止まり、ゆっくり体を戻す
20回を1セットとして、3セット程度行うのが目安です。
既に膝の靭帯を損傷した経験がある場合は、プールなどで水中を歩くトレーニングを取り入れるのも良いでしょう。陸地を走るよりも膝にかかる負担を少なくしながら、効率的に全身を鍛えることができます。
安定した動作が行えることも、膝靭帯の損傷の予防には有効です。バランス感覚に自信がない方は、バランストレーニングを取り入れましょう。バランス能力を鍛えることで、着地やシュート時の足のブレを抑えることができます。 バランストレーニングの方法はいくつかありますが、片足立ちトレーニングが最も手軽に行えます。
【片足立ちトレーニングの方法】 1.真っすぐ立ち、両手を腰に当てる 2.片方の足を軽く上げ、片足で立つ 3.5~20秒程度、片足立ちの状態をキープする 4.反対の足でも同様に行う
余裕がある場合は、股関節や膝関節が90度になるまで足を上げて行ってみてください。また、クッションを下に敷いたり、布団の上で行ったりして、足元を不安定にして負荷を高めることもできます。
運動前後にストレッチや準備運動を行うことも、怪我を防ぐ手段のひとつです。筋肉の柔軟性を高めてから運動を行う方が、負荷がかかりづらくなります。簡単に行えるストレッチの一例をご紹介するので、参考にしてみてください。
【大腿四頭筋のストレッチ】 1.足を肩幅くらいに広げて立つ 2.右足の膝を曲げて、右手で足の甲を掴む 3.かかとをお尻に引き寄せ、20秒ほどキープする 4.反対側の足も同様に行う
このストレッチは、うつぶせでも行えます。立った状態ではうまくできない方は、うつぶせの状態で行うと良いでしょう。
また、運動前後のストレッチは足だけでなく、上半身も含めて全体的に行うことが大切です。全身の柔軟性を高めておけば、靭帯損傷以外のさまざまな怪我の予防につながります。
膝の靭帯損傷にはいくつかの種類があります。症状は傷ついた靭帯の種類や損傷具合にも左右されますが、靭帯断裂などの重症の場合、半年以上の長い時間を棒に振ってしまう恐れがある怪我です。また、スポーツシーンだけでなく、日常生活にも支障をきたすことも考えられます。
怪我を完全に防ぐのは難しいかもしれませんが、日頃の心がけによって怪我をしづらい体を作ることはできます。脚部の筋肉やバランス能力を鍛えたり、ストレッチで体の柔軟性を維持したりするなど、日々予防に努めることが大切です。
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