6試合を終えて勝ち点わずかに「3」。最下位の湘南よりは勝ち点で「1」優っているものの、消化試合数が「2」も湘南の方が少ないことを考えると、実質的には最下位といってもいい。
わたしがヴィッセル神戸のファンだとしたら、もう寝込んでしまっている。
どんなチームにも好不調の波があり、また運不運の上下動もあるものだが、開幕してここまでのヴィッセルは、ただただ低空飛行が続いてしまっている。
難しいのは、3分け3敗、得失点差マイナス6という悪夢のような数字ほどには、内容が悪くないということである。
もちろん、サッカーの場合は「結果が内容を蝕む」スポーツなので、冴えない結果が続いたことで、試合内容にも陰りが出てきている。この原稿を書いている時点では直近となる鹿島戦では、0-2のまま終盤を迎えると、哲学もスタイルもかなぐり捨てたかのようなパワープレーに走った。優勝争いも押し迫った最終盤というのであれば話もわかるが、6試合目でこれをやってしまったということは、チームに、あるいは首脳陣に余裕がなくなりつつあるということなのだろう。
なぜこんなことになってしまったのか。
開幕戦の名古屋グランパス戦では退場者を出してしまうという不運があった。負けて嬉しいチームなどあるはずがないが、この負けに関しては、首脳陣にも選手にもさしたるショックはなかっただろうと推察する。どちらが勝ってもおかしくない試合で、今日は相手が勝った。サッカーにはそういう日もある──そう割り切れるタイプの試合だった。
2試合目は悪くない、どころか勢いになるきっかけになれそうな試合だった。敵地での浦和レッズ戦。幸運なPKで先制の好機を得るも、武藤のキックは西川に弾き出される。嫌な流れになってもおかしくないところで、武藤がスーパーな一撃をたたき込んで汚名を返上。一度やレッズの逆転を許したものの、終了直前、昨年まで浦和でプレーしていた新加入の槙野が、イニエスタからのクロスを頭で合わせて同点に。アディショナルタイムにはサンペールのミドルがバーを直撃するなど、劇的な逆転勝ちを収めていても不思議ではない内容だった。
恥ずかしながら、わたしはこの試合で「ヴィッセル、来るな」と予感した。敵地であったにも関わらず浦和を内容で上回り、お祭り男でもある槙野が値千金の同点弾を決めたのである。上昇気流に乗るきっかけとするには、ほぼ申し分のない試合だった。
予感は、モノの見事に外れた。
ヴィッセルからすれば、最高の形で迎えたはずのホーム開幕戦が誤算だった。
アビスパ福岡は、もちろん簡単な相手ではない。昨シーズンは連勝街道を驀進中だった川崎フロンターレに黒星をつけるなど、一発勝負であれば十分に大物を倒す力があることは見せつけてきた。
ただ、最高に近い形で敵地のレッズ戦を乗り切ってきたことを考えれば、ヴィッセルとしては是が非でも勝っておきたい、いや、勝たなければいけない試合だった──本気でリーグ戦での優勝を目指しているのであれば。
結果的にスコアレスに終わったこの試合、わたしの目にはアビスパの方が優勢に見えた。ボール保持率こそ高いものの、そこから先の鋭さがなかったヴィッセルに対し、アビスパは相手の弱いところ……というか、ストロングポイントではないところをうまくついてきた。セットプレーでの淡白さ、クロスを跳ね返したあとに生まれがちなカバーリングの遅れによるスペースを利用し、決定機の数ではむしろヴィッセルを上回っていた。何より強く感じたのは、この一戦にかける両者の意気込みの違い、だった。
アビスパにとっては自分たちの存在をアピールするジャンアントキリングのチャンスも、ヴィッセルからすればある意味勝って当然と見られがちな試合だった。まして、彼らにはアジア・チャンピオンズリーグも控えている。肉体的にも精神的にも、フルスロットル態勢に入るのは、簡単なことではなかっただろう。
かくして、発射台に乗りかけていたロケットから、ヴィッセルは自ら降りてしまった。勝ち慣れたチームであればまず逃さない上昇の好機を、あっさりと手放してしまった。
ファンの方はどう感じているかわからないが、わたしは、ヴィッセルが目指しているのは1-0で凌ぎきるサッカーではなく、3-2で競り勝つサッカーなのかな、という気がしている。そうでなければ、明らかな守備に難のあるサンペールを中盤の底に置いたりはしない。
だから、大切なのは決定力になってくる。いや、チャンスの数は他のチームより多くなることを考えれば、飛び抜けた決定力は必要ない。普通に、Jリーグの上位にランキングされる程度の決定力を発揮してくれれば。
ところが、期待された大迫と武藤がどうにもパッとしない。しかも、武藤に至ってはマリノス戦で決定機を外した直後、もう一度シュートを打ち直そうとしたところで深めのタックルを受け、戦線自体から離脱してしまった。
もう踏んだり蹴ったりである。
乗っている時なら簡単に決められる場面で、最近のヴィッセルの選手は重圧を感じているように見受けられる。何しろ、6試合を戦って奪ったゴールはたったの「3」で、そのうちの2点はイニエスタと槙野によるものなのだ。これでリラックスして試合に臨めるFWがいたらそれはそれでヒトとして問題があるような気もするが、しかし、彼らに求められているのはそういう精神状態にあるストライカーでもある。
ニワトリが先か、卵が先か。
きっかけはどこに転がっているかわからない。そして、きっかけをつかめさえすれば、ヴィセルの浮上はまだ十分に可能だとわたしは思う。
同時に、三浦淳寛監督は相当な幸運の持ち主だな、とも思う。
開幕から6試合を戦って勝ち点「3」。奪った得点も「3」。実質的な最下位。そんなチームにかけられた人件費は──今年もダントツのJリーグのトップ。
これでクビを斬られない監督というのは、世界広しといえどもちょっといるもではないからだ。
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