(上記画像:鹿島の攻撃を引っ張る鈴木優磨。メンタル的にもチームを支える)
全20チームで争われるJ1リーグで、前半戦を首位で折り返したのは鹿島アントラーズだ。
クラブW杯などの関係で消化試合数にバラつきがあるものの、鹿島は全日程の半分にあたる19試合を消化して13勝1分5敗で勝点40をマークした。優勝の目安は試合数の2倍と言われるので、前半戦はノルマを達成したことになる。
2節から5節まで4連勝を飾り、8節から10節まで3連敗を喫したものの、11節から17節まで7連勝で勝点を伸ばした。CB関川郁万、SB安西幸輝、FW師岡柊生らが負傷で離脱するアクシデントに見舞われたものの、CB千田海人、日本代表歴を持つ左SB小川諒也を獲得し、戦力ダウンを防いでいる。
新外国人FWレオ・セアラはすでに2ケタ得点をマークし、攻撃の大黒柱となるFW鈴木優磨も得点、アシストでチームに貢献している。守備陣ではGK早川友基、CB植田直通が存在感を発揮している。
19節までにあげた13勝のうち、9試合は1点差ゲームだ。クラブのOBでもある鬼木達監督のもとで、鹿島は持ち前の勝負強さを取り戻している。
その鹿島を追いかけるのは、柏レイソル、サンフレッチェ広島、ヴィッセル神戸、京都サンガF.C.、川崎フロンターレ、浦和レッズ、セレッソ大阪、FC町田ゼルビアらだ。
柏はリカルド・ロドリゲス新監督のもとで、ボール保持率の高いパスサッカーを展開している。そのなかで、攻撃のタクトをふるうMF小泉佳穂、得点源となるFW細谷真大、FW垣田裕暉が、勝利につながるパフォーマンスを披露している。3-4-2-1のシステムでウイングバックを担うMF久保藤次郎とMF小屋松知哉が、アシスト役を果たしていることも攻撃が好調な要因だ。
6月上旬にボランチの熊谷光希がケガで長期離脱することとなったが、大卒1年目の中川敦瑛がチャンスを生かしている。J2の北海道コンサドーレ札幌からMF馬場晴也も獲得しており、人材不足を感じさせていない。
広島はミヒャエル・スキッベ監督のもとで、22年から3シーズン連続でトップ3に食い込んでいる。シーズン開幕前から優勝候補にあげられており、上位に名を連ねることに驚きはない。
日本代表GK大迫敬介とベテランを並べた3バックを中心とする守備は、21節まで複数失点を2度しか許していない。守備は計算できる。
攻撃陣もチャンスを作ることはできている。あとは、シュート決定率をあげていきたい。主力FWジャーメイン良に加えて、6月に柏から加入した長身FW木下康介に期待が集まる。
J1リーグ連覇中の神戸は、AFCチャンピオンズリーグを戦った2月、3月のリーグ戦で、思うように勝点を伸ばせなかった。また、昨季MVPのFW武藤嘉紀が、ケガの影響で前半戦はわずか6試合の出場に終わった。FW大迫勇也もスタメンから外れたりメンバー外になったりと、ベストメンバーで戦える試合が多くなかったことも結果に影響した。
6月の移籍ウインドーでは、左SB永戸勝也を横浜F・マリノスから迎えた。2月に移籍したDF初瀬亮の穴を埋める存在で、7月の移籍ウインドーではさらなる新戦力を獲得する可能性もある。
上位に食らいつく京都は、ブラジル人FWラファエル・エリアスがけん引役となっている。昨シーズン15試合出場で11得点をマークしたこの26歳は、今シーズンも11節までに8ゴールをマークした。鹿島相手にハットトリックを成し遂げるなど、勝点に直結する活躍を見せている。6月に入ってからはケガの影響で試合から遠ざかっているものの、曺貴裁監督のもとで戦術的な練度を高めているチームにとって、抜群の決定力を誇る彼の存在は心強い。
セレッソ大阪も、ブラジル人の助っ人が頼もしい。レオ・セアラの鹿島移籍で得点源として期待されたFWラファエル・ハットンは、コンスタントにゴールを決めている。アシストランキングを独走するMFルーカス・フェルナンデス、突破力のあるFWチアゴ・アンドラーデとともに、J1屈指と言ってもいい攻撃を形成しているのだ。
川崎フロンターレは守備が安定し、攻守が噛み合っている
21年以来のリーグ制覇を目ざす川崎Fは、長谷部茂利監督のもとで上位をキープしている。ここ数シーズンは失点が多かったが、守備の構築に優れる指揮官のもとで一定水準の安定感をつかんでいる。
ただ、日本代表に選ばれているCB高井幸大に海外移籍の噂がある。これが現実となると、守備の再構築が必要になる。
得点数はリーグ上位で、攻撃力は高い。どこからでも取れるのは、このチームの強みだ。そのうえで言えば、ブラジル人FWエリソンが負傷離脱した穴を埋められるかが、優勝戦線へ本格的に加わっていくポイントとなる。
クラブW杯に出場した浦和は、6月1日を最後にJ1リーグの試合がなく、7月19日の24節からリスタートする。今シーズンの大きな目標だった国際大会を終え、心身ともにスイッチを切り替えられるかがカギになりそうだ。再開直後に勢いをつかむことができれば、保有戦力の厚みを生かすことができるだろう。
昨シーズン3位の町田は、黒田剛監督就任後のベースだった守備が乱れている。昨シーズンはリーグトップの18試合だったクリーンシートが、今シーズンの前半戦は5試合に止まっているのだ。
攻撃陣には22年W杯日本代表のFW相馬勇紀、日本代表歴を持つFW西村拓真、オーストラリア代表FWミッチェル・デュークら、際立った個が揃っている。
「いい守備からいい攻撃」という好調時の流れを取り戻すことで、勝点獲得のペースをあげていきたいところだ。
J1優勝5回の名門・横浜Fマリノスが苦しんでいる
順位表のボトムハーフへ目を移すと、誰もが目を疑うに違いない。
横浜F・マリノスがJ2自動降格圏に沈んでいるのだ(6月25日現在)。
今シーズンはスティーブ・ホーランド監督のもとでスタートしたが、開幕から不振に喘いだ。クラブはパトリック・キスノーボHC(ヘッドコーチ)を監督に昇格させたが、負の流れを断ち切ることができない。新監督の指揮下でも黒星先行が続き、今度は大島秀夫HCを監督に据えたのだった。
F・マリノスは21年にも、1シーズンで2度の監督交代を行なっている。このシーズンはアンジェ・ポステコグルー監督がヨーロッパのクラブに引き抜かれたことによるもので、今回とは意味合いが異なる。クラブのOBでもある大島監督のもとで、J2降格経験のない名門はV字回復を果たせるのか。
同じく下位に沈むアルビレックス新潟は、6月下旬に大きな決断を下した。前半戦の19試合をわずか4勝で終えた結果を踏まえ、樹森大介監督の退任と入江徹コーチの監督昇格を発表したのだった。
新潟はスペイン人のアルベル元監督、松橋力蔵前監督のもとで、パスサッカーを成熟させてきた。しかし、リーグでもトップクラスのボール支配率やパス本数が、結果に結びついていない。新監督のもとで、内容と結果を結びつけることができるか。
前新潟監督の松橋監督が指揮するFC東京も、シーズン前半戦は苦しんだ。クラブは6月の移籍ウインドーで積極的に動いた。こちらは監督交代ではなく、選手の補強で難局を切り抜けようしとている。
リストアップしたのは即戦力だ。J1の複数クラブでプレーしてきた韓国人GKキム・スンギュ、浦和で絶大な存在感を示したCBアレクサンダー・ショルツを獲得し、ドイツ2部のハノーファーとの契約を終えたDF室屋成を5年ぶりに復帰させた。松橋監督と新潟で共闘したFW長倉幹樹も獲得した。
F・マリノスや新潟と同じく、横浜FCも黒星が大きく先行している。こちらは、監督交代や補強の動きはない。22年から采配をふるう四方田修平監督のもとで、立て直しを図っている。
同じく黒星先行の湘南ベルマーレは、FW福田翔生のデンマーク1部クラブへの移籍が発表された。7月下旬から得点源のひとりを失うが、フロントはどのような判断を下すのか。
J1の下位3チームは、J2へ降格する。シーズンはまだ折り返し点を過ぎたところだが、ここからは1試合が、勝点1が、重みを増していく。残留争いのゴングは、すでに鳴っているのだ。
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