(上記写真:相馬勇紀はJリーグから2大会連続出場を目ざす)
4年に一度のW杯が、いよいよ6月11日(現地時間)に開幕する。
過去のメンバーを振り返ると、長く日本代表から遠ざかっていた選手、それまで出場機会の少なかった選手、ケガで出場できていなかった選手の選出が、サプライズとして大きく取り上げられた。
森保一監督が指揮する現在の日本代表は、昨年10月にブラジルを撃破するなど戦力の充実を印象づけてきた。しかし、昨年末からセンターバックを中心にケガ人が相次いでいる。森保監督は「2チーム分、3チーム分の戦力を整え、そのなかから最終的にメンバーを絞り込みたい」と話してきたが、新戦力のテストが必要なポジションも出てきている。
果たして、ここから代表に滑り込む選手は表われるのか。
その可能性を探ってみる。
GKでは鈴木彩艶(パルマ/イタリア)が、昨年11月から負傷離脱中だ。復帰までのプログラムは順調に進んでいるが、2月下旬時点で実戦復帰は果たしていない。
鈴木が不在の間には、早川友基(鹿島アントラーズ)が存在感を強めた。大迫敬介(サンフレッチェ広島)、小久保玲央ブライアン(シントトロイデン/ベルギー)、野澤大志ブランドン(アントワープ/ベルギー)らとともに3つの代表ポストを争っているが、谷晃生(FC町田ゼルビア)も虎視眈々と代表入りを狙っているだろう。
前回W杯はアジア最終予選で継続的に招集されたものの、メンバー入りを逃した。今回もいまのところ序列は高くないが、谷は21年開催の東京五輪で正GKを任された人材だ。クラブでのパフォーマンスは安定しており、チームの勝利につながるプレーを見せていけば、W杯のメンバーに滑り込んでも驚きではない。
安藤智哉は昨年7月に代表デビュー。1月にドイツのクラブへ移籍
DFラインでは、安藤智哉が存在感を強めている。昨年7月のEAFF(東アジアサッカー連盟)E-1選手権で代表デビューを飾り、同年11月のガーナ戦でも起用された。この時点ではJ1のアビスパ福岡に所属する国内組だったが、今年1月にドイツ・ブンデスリーガ1部のザンクト・パウリへ移籍した。27歳にして初の海外挑戦となったが、新天地でプレータイムを伸ばしている。
190センチのサイズを生かした対人能力の高さは、ドイツでも十分に武器となっている。攻撃の局面ではスイッチを入れる縦パスを入れることができ、自ら持ち出してラストパスを通すことも、フィニッシュへ持ち込むこともできる。
センターバックで序列の高かった町田浩樹(ホッフェンハイム/ドイツ)が昨年8月から長期離脱中で、瀬古歩夢(ル・アーブル/フランス)は2月に肋骨を負傷した。昨夏にアーセナル(イングランド)との契約を解除した冨安健洋は、1月にアヤックス(オランダ)と契約したもののコンディションを取り戻している段階だ。安藤がザンクト・パウリで出場機会を確保していけば、代表入りはもちろんスタメン確保も視野に入ってくるだろう。
MFでは、田中聡が1月にヨーロッパへ旅立った。サンフレッチェ広島でプレーした25年はJ1リーグのベストイレブンに選出され、ドイツ2部のデュッセルドルフからオファーが届いたのだった。
田中が主戦場とするボランチでは、日本代表キャプテンの遠藤航が2月に負傷した。遠藤と長くコンビを組んできた守田英正も、25年3月を最後に代表から遠ざかっている。
もっとも、遠藤と守田が不在でも、田中碧(リーズ/イングランド)、佐野海舟(マインツ/ドイツ)、藤田譲瑠チマ(ザンクト・パウリ)、中盤の複数ポジションをこなす鎌田大地(クリスタル・パレス/イングランド)らが揃う。人材に不足はない。
そのうえで言えば、彼ら4人が右利きなのに対して、田中は左利きだ。リスタートのキッカーを務められることを踏まえても、この23歳の招集にはメリットがある。広島移籍前に所属した湘南ベルマーレは、デュエルの基準が高いチームとして知られる。世界基準で戦う素地はある。
4年前のカタールW杯では、現在の田中と同じデュッセルドルフ所属の田中碧がメンバー入りした。ブンデスリーガ2部で確かな足跡を残せば、田中聡が北中米の地へ向かう可能性はある。
昨年のJ1で数字を残した伊藤達哉。代表入りを期待されるひとり
JリーグからW杯を目ざす選手もいる。
その代表格が、伊藤達哉だ。高校卒業のタイミングでドイツ・ブンデスリーガのハンブルガーSVへ加入し、ドイツとベルギーのクラブでプレーし、25年に川崎フロンターレの一員となった。
27歳にして初めてJ1リーグのピッチに立った昨シーズンは、リーグ戦35試合に出場して得点ランキング4位の13ゴールを記録した。アジリティを生かしてゴール前の密集へもぐり込み、高い決定力を発揮したのだった。
中盤の攻撃的なポジションでは、南野拓実(モナコ/フランス)がケガでW杯出場を危ぶまれている。それでも、各ポジションに2人以上の候補者がいる。タレント不足の印象はない。国際Aマッチ出場経験のない伊藤がメンバー入りを果たせば、紛れもない「サプライズ」と言えるだろう。
JリーグからW杯を目ざす選手はまだいる。相馬勇紀だ。
22年のカタールW杯に名古屋グランパスの一員として招集された彼は、大会後にポルトガル1部のクラブへ移籍し、24年夏からJ1のFC町田ゼルビアでプレーしている。25年は国際Aマッチ5試合に出場し、国内組ながら存在感を示した。
この28歳のアタッカーは、局面を打開する力に長けている。ドリブルでマッチアップする相手を剥がすことができ、クロスの精度も高い。リスタートのキッカーとしても計算できる。すでにW杯を経験していることも、選考段階ではプラス材料にあげられるはずだ。
彼のW杯代表入りを「サプライズ」と言うのは、少しばかり無理があるかもしれない。それでも、国内外にタレントがひしめく2列目のポジションでメンバーに食い込めば、驚きの声が上がってもおかしくはない。
19歳の佐藤龍之介も、興味深いタレントだ。FC東京からファジアーノ岡山へ期限付き移籍した昨シーズン、チャンスクリエイトをしながら決定力を示して注目を集めた。昨年はU-20日本代表で中心選手を務めながら、森保監督のもとでも5試合に出場した。
今年1月にはAFC(アジアサッカー連盟)U-23アジアカップに出場し、得点王とMVPに輝いた。年齢別の代表チームでその存在感は別格であり、余裕すら感じさせた。
26年シーズンは、所属元のFC東京へ復帰した。ここでどんなパフォーマンスを見せるのかに、彼の未来がかかっている。
前線では後藤啓介がアピールを続けている。ベルギー1部のシントトロイデンに在籍するこの20歳は、リーグ戦ですでに2ケタ得点をあげている。191センチのサイズは、森保監督指揮下の日本代表では最長だ。ベルギーで自信を深めている彼がいることで、追いかける展開でパワープレーを選択できる。その動向をギリギリまで注視したい選手と言える。
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