(上記写真:川崎フロンターレで3年連続得点王に輝いた大久保嘉人。J1通算最多得点記録を持つ)
背番号には、物語がある。歴史がある。記憶がある。Jリーグを彩ってきた名手を、現在活躍中の選手を、背番号とともに振り返っていく。
今回は「13」を取り上げる。
Jリーグの記録に足跡を刻印した「13」と言えば、まず名前をあげるべきは大久保嘉人だろう。
2013年にヴィッセル神戸から加入した川崎フロンターレで、大久保はこの番号を背負った。すると、移籍1年目にキャリアハイの26ゴールを叩き出し、自身初の得点王に輝いた。翌14年は18ゴール、15年は23ゴールを記録し、史上初の3年連続得点王となったのである。
当時の川崎Fには、中村憲剛、大島僚太、レナトといったラストパスの出し手が揃っていた。自身へのマークを分散させるストライカーとして、こちらも得点能力の高い小林悠がいた。ふたつの要因が重なり、大久保は得点能力を一気に解放したのだった。
もうひとつの要因として、彼自身の努力もあげられる。全体練習後のグラウンドでは、黙々とシュートを打ち込む大久保の姿があった。歴代最多のJ1通算191ゴールは、たゆまぬ努力のたまものでもある。
通算得点ランキングで大久保に次ぐのは、興梠慎三である。
鹿島アントラーズ入団4年目から「13」を背負い、07年から09年にかけてのJ1リーグ3冠達成に貢献した。鹿島で2ケタ得点を2度記録したが、13年に浦和レッズへ完全移籍した。浦和では「30」を着けたので、その印象が強いファンも多いだろう。
興梠は175センチである。平均的なサイズでありながら、自分より長身のDFとのマッチアップを苦にしなかった。16年のリオ五輪ではオーバーエイジに選出され、南野拓実や浅野拓磨らの長所を引き出した。このチームでは「13」を選んだ。
彼と対戦したことのあるDFは、「難しい相手だった」、「嫌らしい相手だった」と口を揃える。「ボールの置きどころが絶妙で、身体も強いから足を出せない」、「足を出したらファウルになってしまう」と明かした。鹿島、浦和、北海道コンサドーレ札幌で合計20年プレーした興梠は、Jリーグ通算168ゴールを記録したのだった。
興梠の前に鹿島で「13」を背負ったのは、クラブのレジェンドに名を連ねる柳沢敦だ。
超高校級のストライカーとして96年にアントラーズに加入し、プロ1年目はリーグ戦5点、2年目は8点、3年目は22点と着実に数字を伸ばしていった。並行して97年のU-20 W杯、2000年のシドニー五輪と年代別の世界大会に出場し、02年には日韓W杯でスタメンを張った。06年のドイツW杯でもピッチに立った。
得点能力に優れながら「オレが、オレが」というメンタリティにならないのが、柳沢の長所だった。「もっとエゴを出すベきだ」と批評されることもあったが、彼とプレーした選手は「やりやすい」と口を揃えた。その言葉こそが、柳沢という選手の本質を言い当てているだろう。
キャリアの後半は京都サンガとベガルタ仙台でプレーし、オフザピッチを含めてチームの模範となった。J1リーグ通算108ゴールは、日本人歴代8位の数字となる。キャリアの大半で背番号13を着けた柳沢は、アントラーズとJリーグの歴史に名を残したと言える。
26年の鹿島では、知念慶が「13」を着ける。川崎Fから移籍した当初はストライカーで、柳沢や興梠が背負った番号を継承したが、鹿島ではボランチへコンバートされて新たな才能を開花させた。力強いフィジカルでボールを奪い切り、タイミングを見定めて攻撃に関わっていく。
浦和では鈴木啓太が、長く「13」を背負った。06年から07年にかけて日本代表を指揮した名将イビチャ・オシムが、「水を運ぶ人」と称えた中盤のハードワーカーである。07年のアジアカップでは遠藤保仁、中村憲剛、中村俊輔と中盤を構成し、守備のリスクマネジメントをしながら3人の活躍を後押しした。
浦和レッズの渡邊凌磨は主将としてチームを引っ張っている
26年のチームでは、渡邊凌磨が背負う。アルビレックス新潟、モンテディオ山形、FC東京を経て、24年から浦和でプレーしている。ビルドアップから攻撃の仕上げにまで関わることができ、自らフィニッシュへ持ち込むこともできる。ゴールもアシストも期待できる選手であり、様々なポジションに対応できるユーティリティ性も備える。浦和ではチームに欠かせない存在として、監督、チームメイト、サポーターから厚い信頼を寄せられている。
セレッソ大阪のアイコンとなる番号と言えば、誰もが「8」を思い浮かべるだろう。02年の日韓W杯で活躍した森島寛晃からはじまり、香川真司、清武弘嗣、柿谷曜一朗、乾貴士が、このエースナンバーを継承してきた。現在は香川が背負う。
実は「13」の歴史も豪華だ。若き日の清武や柿谷、南野拓実らが着けてきたのだ。
26年のチームでは、中島元彦の番号だ。アカデミー育ちの彼は新潟やベガルタ仙台への期限付き移籍で実戦感覚を磨き、25年からC大阪でプレーしている。FW登録だがボランチや2列目にも適応し、リスタートのキッカーとしても機能する。
湘南ベルマーレの「13」の歴史は、多様な顔ぶれが彩る。
12年から14年まで着けた岩尾憲は、のちに徳島ヴォルティスのJ1昇格に貢献し、浦和レッズでもプレーした。経験豊富なゲームコントローラーは24年から徳島に復帰し、26年も中盤で存在感を発揮している。
16年から19年は山根視来が着けた。湘南で18年のルヴァンカップ優勝を経験し、20年から23年まで在籍した川崎Fでは不動の右サイドバックとして活躍した。22年のカタールW杯で世界最高峰の舞台を経験し、24年からアメリカMLSのクラブでプレーしている。
20年に山根から「13」を引き継いだ石原直樹は、J1、J2で通算112ゴールをマークしたストライカーだ。ベルマーレには03年から09年まで在籍し、当時は「19」と「11」を着けたが、21年限りでの現役引退は「13」とともにあった。
現在のチームでは、下口稚葉が「13」を着けている。26年からチームを束ねる長澤徹監督とは、ファジアーノ岡山とRB大宮アルディージャで共闘してきた。指揮官のサッカーを熟知する守備のマルチタレントは、J2からリスタートを切ったチームで主力を担っている。
26年のJ1リーグでは、名古屋グランパスの藤井陽也が「13」のユニフォームを身にまとう。このセンターバックは日本代表に選出された経験を持ち、ベルギー1部のクラブでもプレーした。187センチの長身を利した空中戦は迫力十分で、スピードを生かして危険なエリアをカバーしていく。
「13」を着けたセンターバックでは、ジェフユナイテッド千葉の鈴木大輔にも触れるべきだろう。Jリーグの複数クラブとスペイン2部でプレーしてきた36歳は、17年ぶりにJ1へ復帰したチームで主将を任されている。控えメンバーに回ることがあっても、チームファーストで行動する揺るぎない忠誠心を持つ。
横浜F・マリノスの井上太聖は、J2のサガン鳥栖から移籍してきた新加入選手だ。最終ラインならどこでもこなせる万能型のディフェンダーで、シーズン序盤は右サイドバックで出場機会を得ている。長身で足元の技術に優れたモダンな選手だ。
神戸のエースナンバーを継承する佐々木
J1リーグ屈指のタレント集団・ヴィッセル神戸で「13」を託されるのは、18年から在籍する佐々木大樹だ。いずれも日本代表歴を持つ永島昭浩、播戸竜二、大久保嘉人、アカデミー出身の小川慶治朗らが背負ったエースナンバーの継承者である。センターフォワードでもウイングでもプレーでき、ボールを収めて自らゴールへ向かっていく力強さがある。矢印が常に相手ゴールへ向けられたプレーが頼もしい。チームがタイトル獲得するためには、まだ達成していないリーグ戦2ケタ得点を記録したいところだ。
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