ゴルフ５プレステージの腕利きフィッターたちがフィッティングの現場で気づいたギアの「深～い話」をお届けする連載【グッと深堀りゴルフギア】。
今回第166回目に取り上げるのは、グラファイトデザインの最新シャフト「ツアーAD FI」だ。
秋は新作シャフトのシーズン。今年も大手シャフトメーカーから相次いで最新モデルが発売され話題を集めている。
最新シャフトは発売前からツアーに投入され、選手たちの使用状況やインプレッションなどが漏れ聞こえてきて情報通のギア好きの間ではいろいろな噂が飛び交うもの。しかしゴルフ５プレステージではそういった噂に踊らされることなく、フィッターたちがしっかり商品研究を行い、さまざまなテストを経て発売を迎える。
とくにシャフトは一般的なクラブとは違って、単純な「モノの良し悪し」だけでは語れず、どんなスイングの人に合うか、どういったニーズにマッチするかという「対人間」の分析が欠かせない。極論すれば、10人中9人に合わなくても、マッチする1人に届けられることが重要なのだ。
プレステージ広尾店勤務のフィッター小池儀さんも、グラファイトデザインの最新モデル「ツアーAD FI」を見てすでにイメージは膨らんでいるという。
『グラファイトデザイン「ツアーAD FI」』
「前モデルの『ツアーAD GC』は割と万人受けしやすいシャフトだった反面、ビタッとハマるという人もそれほど多くない印象でしたが、新しい『ツアーAD FI』は比較的特性が明確で、ハマれば劇的にいい結果が出やすいシャフトかなと感じています。私たちフィッターとしてはご提案しやすいですね」(小池さん)
『ゴルフ５プレステージ広尾店勤務の小池儀フィッター』
最大の特性は「左に行かない」こと。言い換えればつかまりがいいタイプのシャフトではないが、「左に行かせたくない」という意志を持ったゴルファーにとっては非常に扱いやすい。
またグラファイトデザインの「ツアーAD」シリーズは、シリーズを通してしっかりした振り心地で「叩けるシャフト」という印象を持たれがちだが、「ツアーAD FI」もその例に漏れず、グラファイトデザインのファンにとって安心できるシャフトといえそうだ。
「カタログでは中元調子となっていますが手元側も結構しっかりしていて、切り返しで負荷をかけても暴れません。この辺は『ツアーAD』らしさを感じて心地いいですね。『左に行かない』とは言いましたが全然球がつかまらないわけではなく、素直なしなりのなかで、インパクトゾーンでわずかに遅れてくる感じが、しっかり振って気持ちのいいフェードが出やすく、しかも逆球が出ない安心感がある。フェードヒッターにはぜひおすすめしたいシャフトです」(小池さん)
『キックポイントは中元調子だが、手元のしっかり感があり、しっかり叩ける』
『インパクトゾーンで先端側がわずかに遅れてくる感じが、左に行かない安心感を生む』
またフレックスによって振り心地の差も出やすく、フィッティングの場面でもチョイス次第で面白い結果が出せそうだと小池さん。
「フレックスを上げて硬くすると、インパクトゾーンでの『振り遅れ感』が弱まって、むしろ少しつかまる感じが出るんです。逆にフレックスがやわらかいほうが先端側の遅れが強く出る。『つかまらないなら少し硬くしましょう』などと提案すると試打するお客さまは驚かれるかもしれませんが、ここらへんの匙加減が私たちフィッターの腕の見せ所ですので、ぜひ騙されたと思って試してみていただきたいところです」(小池さん)
『先端側の剛性は高く、基本的には全体的にスムーズにしなって振りやすい』
女子ツアーなどでは、比較的パワーのある選手に好まれる傾向はありそうだが、一方で「軽硬」にしやすいシャフトでもあり、先入観にとらわれずにまずは打ってみてほしい。ハマれば劇的な飛距離アップもあり得るかもしれない。
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【文章・写真】アルペングループマガジン編集部