「サブ4 TIPS」は、楽しみながらサブ4達成を目指すランナーを応援する連載企画。毎回、トレーニングやギアなどテーマをもって、サブ4達成に役立つ情報をお届けする。 今回のテーマは、「LSD」。「Long Slow Distance(ロング・スロー・ディスタンス)」の略称で、長距離をゆっくりと走るトレーニングだ。 5年前にランニングを始め、ランニングクラブのアシスタントも務める中嶋友里さん。今までにフルマラソン10回、ウルトラマラソン5回を完走するなど、数々のレース経験を持つ。フルマラソンの自己ベストは3時間42分の、サブ4ランナーだ。そんな中嶋さんに、LSDの活用方法や楽しみ方について、東京マラソンのコースをゆっくりと巡りながら聞いた。(※取材は2020年2月上旬に行われました) ■LSDは、長時間走ることに慣れるのにぴったり ──中嶋さんは、これまでにフルマラソンを10回も完走されているそうですね。初めてサブ4を達成したのはいつでしたか? 私にとっての初フルマラソンだった2015年の富山マラソンでサブ4を達成することができました。当時はランニングを始めてから半年くらいのタイミング。最初の1〜2ヶ月は一人でコツコツと走っていたのですが、徐々にランニング仲間ができて。その先輩ランナーたちから練習方法を教わったり、一緒にリレーマラソンに出たりするうちに、次第にどんどん走れるようになっていきました。当時はサブ4なんて言葉も知らず、あくまでも目標は「完走」だったのですが、レース本番が迫ったころに「サブ4いけるんじゃない?」と、周りから言われて。せっかくだからと目指してみたら、本当に達成できたんです。 ──今回のテーマが「LSD」ということで。中嶋さんは、フルマラソンに向けた練習の中で、どんなふうにLSDを取り入れていますか? LSDは、体力のベースをつくるうえでももちろん大切ですが、私の場合は特に長時間走ることに慣れるためのトレーニングにぴったりだと思っています。マラソンって、何時間も走るじゃないですか。でも、普段そこまで長い時間走ることはあまりないので、長時間走ることを不安に思う人も多いはず。そこで、ペースはゆっくりでも時間に慣れておけば、レースに対する不安はだいぶ和らぐと感じているんです。数時間走ることで初めて気づくウェアやシューズの違和感だったり、ウエストポーチのスレだったり……そういったことを確認できるのもメリットです。それと、途中でドリンクを飲んだり、栄養補給のために何かを食べたりするのを試す良い機会にもなります。 ──目的別に、いろいろな活用法があるということですね。時間にも慣れるし、ウェアの確認もできて、給水や補給のリハーサルもできる。 そうですね。それから、普段のトレーニングの息抜きにもLSDはおすすめです。記録を目指していると、練習を積み重ねる中で少しつらくなってしまうこともありますよね。「がんばらなきゃ」と、追い込みすぎてしまうというか。そこで「今日はのんびり走ってみよう」という感覚でLSDを取り入れてみると、練習にもメリハリが出ると感じています。あとは、レースの試走としてLSDをするのもいいですね。
──中嶋さんは、実際にレースに備えて試走をすることがあるのでしょうか? あります。試走すると高低差だったり、走りやすい道、反対に走りにくい道をチェックできます。だから、レース本番でつらくなっても「ここの坂はあと少しだから頑張ろう」と、気持ちにも余裕が生まれます。そのレースに出たことがある人と一緒に試走すると、「ここは応援がたくさんあって楽しい」「ここで道幅が変わって渋滞しやすいので注意」「向かい風が強くなる場所」など、経験者だからこそ知っているポイントを教われていいですよ。それに、同じレースに出る仲間と試走をすると、「一緒に頑張ろう」という気持ちになれます。レース本番でも試走中の仲間との会話を思い出したりして、背中を押されることがあります。 ──試走をするときは、どれくらいの距離を走ることが多いのですか? だいたい、15〜20kmを走ることが多いですね。ランニング仲間3〜5人くらいで。◯km地点のようなポイントをおさえつつ、雰囲気をイメージしながら試走しています。東京マラソンの場合は特に、東京を象徴するようなメジャーな場所を通るので、試走するだけでも面白いですよね。どこから走ればうまい具合にコースを走れるかな、と、公式サイトの地図や解説動画を見たりしながら、友達とコースを考えるのも楽しいです。 ──ゆったりしたペースで走るからこそ、仲間との会話も弾みそうですね。 そうなんです。試走以外でも、普段から週末に友達とLSDをすることが結構あって。ときどき、パン屋さんをコースの途中に入れてみたり、ソフトクリームを食べたり。走りながらおしゃべりができて、工夫次第で寄り道も楽しめます。「これって、最高に健康的な女子会だよね」と、こないだも一緒に走った友達と話していました。座っておしゃべりするのももちろん楽しいけれど、走りながら話すと、不思議とテンションが上がるというか。一体感が生まれて、なんだか距離が縮まる感じがします。 ──日ごろからゆったりと長い距離を走っているとのことですが、シューズはどんなものを履くことが多いですか? 結構いろいろ履くタイプなのですが、普段のジョギングで使えるものを、そのままレースでも履くことが多いです。最近履いている『GLIDERIDE(TM)』は、前足部が反り上がっていて自然な体重移動でコロンと前に進ませてくれるような感覚。長距離を走っても足に優しい感じがします。まさに日ごろのLSDにも、レース本番にも使えるので、次のレースはこれで走ろうと思っています。 ■ランニングは、とっておきで贅沢な時間 ──中嶋さんは、いつ、どんなきっかけで走り始めたのですか? 走り始めたのは2015年で、きっかけは失恋でした(笑)。気持ちを切り替えるためにも、とにかく身体を動かしたいと思って。大学までテニスをやっていたのですが、自分だけではテニスはできないしどうしよう、と考えていたところで、一人でもできるランニングをやってみよう、と。まずはかわいいウェアを買い揃えて、気分を上げてから走り始めましたね。学生時代にも、部活で雨のなかジョギングするのが結構好きだったりして。持久走そのものに苦手意識がなかったので、今思えばわりとすんなりと始められました。 ──いざ走り始めて、いかがでしたか? 初めて3kmに到達したときはめちゃくちゃうれしくて。それに、アプリ上で自分の走った距離がどんどん積重なっていくのもなんだか楽しいんですよね。気づけばのめりこんでいて、1ヶ月に250km走った月もあるほど。その後、Instagramにランニングの投稿をしてみたら、ハッシュタグをたどって知らないランナーの人たちがちらほらフォローしてくれるようになって。そのまま広がって、SNSでつながったランニング仲間と一緒に走ったり、大会に出るようにもなりました。 ──走るようになって、何かご自身の中で変わったと感じることはありますか? 人付き合いが好きということに気づけました。それまでは、わりとインドアなほうで。あまり積極的に外へ出ていくタイプではないと思っていたのですが、いざランニングを通じていろいろな人とつながると、本当に楽しくて。走る前と比べて、めちゃくちゃのびのび過ごせているなって。一人でコツコツ走るのも好きだけれど、友達が増えたことで今まで想像もしていなかったような経験ができています。SNSで発信してみてよかったです。世界が広がりました。 ──中嶋さんが感じる、走ることの楽しさはどんなところですか? 「攻略していく感じ」が楽しいですね。先ほども少しお話したように、アプリ上で距離が積み重なっていったり、レースでも1km、1mずつゴールに近づいていく感覚というか。私はウルトラマラソンも好きで。100kmはものすごく長い距離なのですが、30kmで一度つらくなっても、50kmのエイドでウェアを着替えたり、ちょっと休んだりすると、復活するんですよね。「今はつらいけれど、ここを乗り越えたら復活するはず」と、一歩先の道のりをイメージしながらレースを攻略していく感覚が好きなんです。 ──普段のランニングではいかがでしょうか? 私は、ランニングの時間に「とっておき感」をすごく感じているんです。普段何気なく過ぎてしまう時間も走ることで健康的に過ごせるし、気持ちもすっきりして、とても有意義な時間になるから。たとえば、早起きしてカフェで読書する時間にちょっとした贅沢を感じるのと同じように、私にとっては走ることが贅沢で、とっておきの時間なんですよね。 ──今後、さらにどんなふうに走ることを楽しんでいきたいですか? とにかく走ることが純粋に楽しいので、いずれママになってもランニングを続けたいなと思っています。もう、「ランニングを続ける」こと自体が私のいちばんの目標です。それと私自身、先輩ランナーにいろいろと教わりながら力をつけてきたのも大きいので、今後も誰かと一緒に走る機会だったり、SNSなどを通じて、自分の経験をもとにアドバイスもしていけたらなと思っています。 ■プロフィール 中嶋友里 市民ランナーであり、Body and soul runningclubのアシスタントをつとめる。2015年からランニングを始め、これまでトレイルランニングやウルトラマラソンにも多数出走。フルマラソンのベストタイムは3時間42分13秒。 Instagram https://www.instagram.com/yuri1229
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