■ASICS SUPERBLAST 3がアップデート
BLASTシリーズの核をなす『究極のスーパートレーナー』、ASICS SUPERBLAST 3(アシックス スーパーブラスト 3)が待望のアップデートを果たしました。
踵のソールスタックハイト(厚み)が46.5mmと前作より1.5mm増しながら、重量は軽量化されており、思わず驚かされる仕上がり。特筆すべきは、レーシングモデルの最高峰METASPEEDシリーズに搭載されているフォーム材「FF LEAP(エフエフリープ)」を惜しみなく投入してきたという点です。これは嬉しいサプライズです。
つまり、今回のアップデートは、厚みが増して軽くなっただけでなくて、クッションの量と質の両方に大きな進化がありました。
さて、本記事では、実走レビューに加え、私の使い方、初代からの進化、そしてBLASTファミリー内での位置付けまで解説していきたいと思います。
■FF LEAPとFF BLAST PLUSのコンビネーション

ソールスタックハイトがヒール46.5mm、前足部38.5mm、前作より厚みが1.5mmアップ、ソールの高低差8mm Dropのミッドソール。そして、その中身は「FF LEAP」を採用するド派手なアップデートになっています。
それでいて私のサイズ25.5cmで約210g!これはスーパーシューズ・テンポアップシューズの中でも軽い部類ですね。
その高反発素材を支えるのが、下層の「FF BLAST PLUS(エフエフブラストプラス)」フォーム。デイリートレーナーで定評のあるこの素材が、「FF LEAP」の高い反発をうまく中和し、バランスを取っています。
さらに踵部まわりをミッドソールで包み込むサイドウォール、後方にミッドソール形状が伸びたヒールエクステンション構造が、今回は前作よりもかなりその面積も増え、これらも安定要素に間違いなく寄与しています。信じられないぐらい軽量で高反発と安定性を両立した万能ソール構造、それが 「SUPERBLAST 3」ですね。
■スーパートレーナーの概念を作り出したSUPERBLAST
初代SUPERBLASTは、まさに「スーパートレーナー」という革新的コンセプトを業界に先んじて投入したモデルでした。2022年当時このプレートレス(カーボンプレートがなし)、ハイバウンドソールのモデルという発想は画期的。各メーカーは先を争って、カーボンプレート搭載モデルを投入していた時代です。
ちなみに、「スーパートレーナー」とはスーパーシューズとデイリートレーナーの要素をあわせ持つ新しいコンセプト構造をそう呼ぶことが多く、このモデルからはじまって各メーカーに飛び火した、と個人的には思っています。
SUPERBLASTは、その時点でMETASPEEDシリーズに採用されている最新フォーム材が投入されるのが通例となっています。
初代には「FF TURBO」、前作には「FF TURBO PLUS」が採用され、そして今回のSUPERBLAST 3では、「FF LEAP」という最先端フォームが搭載されました。
「FF LEAP」はA-TPU製と言われていて、このフォームは業界を席巻したPEBAフォームに代わる次世代スーパーフォームの呼び声が高いもの。そのバウンドの高さもそうですが、いわば軟質プラスチック系素材なので、素材の耐久性もその魅力の一つなのです。
アウトソールは歴代のシューズに採用されている、前足部の中央にあるクッションパッドを持つトランポリン構造。反発弾性の高いフォームとともに、弾むようなバウンドを後押ししています。

■BLASTファミリーの位置付け
BLASTファミリーは、「NOVABLAST 5(ノヴァブラスト 5)」「SONICBLAST(ソニックブラスト)」「 MEGABLAST(メガブラスト)」、そして「SUPERBLAST 3」の4種類。一体どう違うのか?という方も少なくないとは思いますが、棲み分けははっきりあります。
まず、「SONICBLAST」と「MEGABLAST」の両者は「FF TURBO SQUARED(エフエフターボスクエア)ミッドソールを搭載しています。その中でプレートありのレース厚底シューズの「SONICBLAST」、プレートなしのレース厚底シューズの「MEGABLAST」で4つのシューズの中で、よりスピード志向のラインと言えます。
そして、シリーズの核となる「NOVABLAST 5」、こちらは、「FF BLAST MAX(エフエフブラストマックス)」を搭載、16,500円(税込み)の価格、使用用途の汎用性の高さで人気なバランス型ニュートラルデイリートレーナーとなっています。
そして、この「SUPERBLAST 3」は唯一無二の存在感、「FF LEAP」という反発素材を使っていることに象徴されていますし、またこの中でいちばん厚い46.5mmのミッドソールを持つトレーナーということも大きな違いです。
同じプレートレスの「MEGABLAST」はMETASPEEDシリーズ彷彿させるレーシーなアッパー(薄く軽量でフィット感重視のアッパー)になっているのに対して、「SUPERBLAST 3」は、フィット感の高いデイリートレーナー並みのしっかりとしたアッパーも特徴と言えるでしょう。
つまり、「SUPERBLAST 3」は、「SONICBLAST」と「MEGABLAST」のようなレーシーな側面もあり、「NOVABLAST 5」寄りのデイリートレーナーの側面もあって、まさにスーパートレーナーモデル、万能トレーナーというわけですね。

■万能だが“速い方が気持ちいい”

実際、「SUPERBLAST 3」をいろんなペースで使ってみました。4分ペースのペース走でも走ってみましたし、3分台中盤のペースにも上げてみました。ジョグやリカバリーランでも使ってみました。
そこで感じたのは、確かに、なんでも使える万能トレーナーなのですが、私が最も気持ちがよく感じたのは4分ペースの12Kです。つまり、これは絶対ペースの話ではなくて、多くのランナーにとっての相対ペースとしてやや速めのペースという意味です。
「FF LEAP」によるバウンス感は前作よりもパワーアップしており、しかも軽いです。その反発に自分の走りをうまく乗せられると、自然とペースが上がってくる感覚があります。一方で46.5mmの分厚い、プレートレス構造は、真上からしっかり踏み込むような着地が必要で、普段からカーボンプレートシューズをレースデイシューズとして使っているランナーには、トレーニングの意味でも相性は抜群です。
そして、ある程度のペースで距離を走った後の足の残り方がいい。トレーニングで足を残すシューズの代表的なモデルと言えますね。3分台中盤のペースよりも、私にとってちょっと速い、でもそんなに速くない、マラソンペースよりちょっと遅いぐらいの距離走にちょうどハマる感じがありました。
一方でこのバウンドは前回よりもジョグではスピードが出過ぎてしまう印象です。どんどんペースは上がって5分を切ってしまいます・・・軽快なジョグは最高ですが、そうでない足を休めたいときにはやはり同社デイリートレーナーの「GEL-NIMBUS 28(ゲルニンバス28)」を履きたい、という印象がしました。
一方で、気分が乗らない日、調子が悪いときのジョグには最高ですね。このソールが出すバウンドに体を合わせているうちに自然とリズムが取り戻せる感覚。これはこのシューズ特有の価値だと思います。

■万能という意味で履き分けの中心になるシューズ
つまり、「SUPERBLAST 3」は万能シューズですが、1足で何でもできる、というより、ハマる用途は多いシューズだと言っておきたいです。とりわけ走る習慣がすでにあるランナーにとっては、履き分けパートナーとして万能の使い方がある、最高のトレーナーだと言えます。
一方で、単純に初心者向けのモデルというわけではありません。
欧米市場を強く意識した設計思想のモデルとも言え、筋力や剛性のあるランナーであれば、「この万能なシューズを1足で」という使い方もできると思いますが、用途や目的に応じてシューズを履き分けることで、故障リスクの軽減やパフォーマンス維持につながると一般的に言われています。
また、アシックスには、「GEL-KAYANO 32(ゲルカヤノ 32)」「GEL-NIMBUS 28」 「GT-2000 14(ジーティー2000 14)」「GEL-CUMULUS 28(ゲルキュムラス 28)」「GLIDERIDE MAX 2(グライドライド マックス 2)」そして、「NOVABLAST 5」とデイリートレーナーラインナップも豊富、その意味でも履き分けをして活きるシューズでもあります。
とは言え、レースを意識しないランナーの気分を盛り上げて習慣維持を手助けできるタイプのシューズですし、私と同じように、距離走で足を残したいときのロングラン、プレートが苦手なランナーのレースデイシューズとして、これらのニーズには26,400円(税込み)の価格に見合うか、それ以上の価値を感じることができるでしょう。
この機能性を背景にした履き心地は、費用対効果の高い1足だと断言できます。あなたの履き分けローテーションのスキマにすーっと入って、なんだか履きたい、なんだか頻繁に履いているという、そんなモデル、それが「SUPERBLAST 3」です。
機会があれば、ぜひ足入れすることをオススメします。
> SUPERBLAST 3 関連ページはこちら
<著者プロフィール>
ランニングシューズフィッティングアドバイザー
藤原岳久(FS☆RUNNING(旧 藤原商会)代表)
日本フットウエア技術協会理事
JAFTスポーツシューフィッターBasic/Advance/Master講座講師
足と靴の健康協議会シューフィッター保持
・ハーフ1時間9分52秒(1993)
・フルマラソン2時間34分28秒(2018年別府大分毎日マラソン)
・富士登山競走5合目の部 準優勝(2005)
【文章・写真】藤原岳久