[vol.1 「自分を変えることができるのは自分自身」 はこちら]
2014年にJリーグ(フロンターレ川崎戦)で決めたゴールがFIFAプスカシュ賞候補に入るなど、数々のスーパーゴールを演出してきた佐藤寿人選手。世界レベルのゴールは、どのようにして生み出されたのか?また、36歳となった今でもトッププレーヤーとして活躍するために、何に取り組んでいるのだろうか?佐藤選手の一言一言から、揺るぎない自信を感じることができた。
――味方からの難しいパスを、何度もワンタッチでゴールにしていますが、どのような練習をしてきましたか?
佐藤:これまで、ダイレクトのシュートをよく決めてきました。全体練習では正確なプレーが求められているので、いきなりトライをするのは厳しいと思います。そうではないプラスアルファの部分を、個人で補わなければなりません。 残ってシュート練習する時に少しずつ形になっていくと、全体練習の中でも自分の技術を発揮できるようになります。そうすれば試合でも上手くいくと思いますね。自主練の様子をチームメイトはよく見てくれていたので、チーム内ではあまり驚きではなかったと思います。
――コンディション維持のために、何をしていますか?
佐藤:チームのトレーナーの方に自分の体を触ってもらって、その時の状態をチェックするのが大事ですね。例えば少しフクラハギが張っている感覚があると、色んな器具を使って怪我を未然に防ぐことが大事だと思います。 プロに限らず中高生でも怪我でチャンスを失うこともあります。筋肉系の痛みは、どこかで信号が出ているので、それを自分でキャッチしてほしいですね。僕はプロに入ってすぐにキャッチできなかったですし、経験を積み重ねながら少しずつ必要なものを整理できていると思います。
――食事や睡眠について、意識していることはありますか?
佐藤:名古屋グランパスでは、練習前後の体重チェックが義務付けられています。どれだけのエネルギーを消費しているのか分かるので、食事の量をコントロールできています。体重を測ることで、体内の水分や食事の量や体の状態を知ることができるのは大きいですね。
若い時は気にしていませんでしたが、だいたい7時間くらい寝ます。0時近くなりますと眠くなりますし、家族と一緒に生活していることもあり朝早いですね。
生活サイクルを一定にするのが大事だと思います。起きる・食べる・寝る時間にズレがあると、コンディションを維持することが難しくなります。オン・オフに限らず、なるべく日々の生活の中で決まった時間に食べて休息を取るのが良いですね。
――選手達とのコミュニケーションについて、どう考えていますか?
佐藤:試合に出る・出ない、経験の有無、コミュニケーションの得意・不得意など、選手1人1人に違いがあります。だからこそ選手同士で互いに理解して尊重し合い、信頼関係を築いていくことが大事であります。1つの集団として、試合に勝つ喜びや負ける悔しさを全員で共有することで、チーム力が高まっていくと思います。
若い頃はプロ選手として結果を残さなければならないというプレッシャーがあり、これからどうなるのかというワクワク感もありましたね。経験を重ねていけば、目の前の試合の結果に対するプレッシャーと向き合っていかなければならないです。それぞれの選手が感じているものに多少の違いがありますが、それも含めてプロのサッカーの醍醐味だと思います。だからこそ、ゴールを決めた時、勝った時、優勝した瞬間の喜びが大きくなるのでしょう。
――Jリーグで3度もフェアプレー賞を受賞しています。試合中にクリーンなプレーを心掛けていますか?
佐藤:サッカーに敵はいなく、「対戦相手」と表現しています。試合を作り上げる仲間として、互いに尊重し合うのが大事ですからね。試合中に気持ちが高ぶる時もありますが、Jリーグを1人でも多くの方に楽しんでいただくために、相手は必要な仲間であります。そのように考えれば、互いを傷つけるような振る舞いは減っていくと思います。僕自身、多く移籍を経験していますし、いつ仲間になるかも分からないですからね。僕はFWでDFやGKと争いますが、点を決めるためにゴールを見ています。
――思い出に残る試合とゴールはありますか?
佐藤:初めてリーグ優勝を果たした、2012年の11月24日のセレッソ戦となりますね。
ゴールはなかなか1つとはなりませんが、2014年に川崎フロンターレ戦で決めたゴールがFIFAのプスカシュ賞候補にノミネートされたので、改めてあのゴールは凄かったんだと感じています。今のところ、Jリーグからノミネートされたのは僕だけですからね。
©N.G.E.
――名古屋グランパスのユニフォームについて、感じることはありますか?
佐藤:ユニフォームからクラブの歴史を感じていますし、これは戦闘服ですね。今まで色んな選手たちが着用してきて、現在に至ります。またこれから変化もしていくでしょう。クラブカラーは大事なものですし、パッと見てグランパスだなって分かるから良いですよね。 今年、Jリーグが25周年ということで、記念ユニフォームを多くの方に着てもらっていると思います。夏は非常に多くの勝ち試合を経験することができましたね。
――日本と世界との間に、差を感じていますか?
佐藤:世界とは、積み上げてきた歴史が違いますからね。世界も日本も進歩しようとしている。サッカーがスポーツビジネスとして非常に大きな力を持ち始めています。これからは、世界とどう関わっていくかが大切だと思います。 日本のサッカーを考えたときに、4年に1度のW杯で結果を出さなければならないことも1つの目印となります。育成に関しても最終的には人になってくると思うので、子供達の数が減っていく中でサッカー人口をどうやって増やしてレベルを高めていくかがこれからの課題となります。 色んなトライと経験をして世界と戦っていかなければならないので、常に世界の中の立ち位置を意識しながらやれたらいいですね。
――最後に、今後の展望についてお願いします。
佐藤:選手としてもっと突き詰めていくことが大事だと思います。日本のプロサッカーはまだ25年の歴史しかありません。大きな発展を遂げるために、選手生活後にもしっかりと力を発揮できる人間になることが1つの目標であります。
サッカーをやっている子供達には、試合に勝つこだわり、努力や想いをプレーで表現してほしいです。サッカーをできることは幸せなことだと思うので、それを感じながらですね。
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