(上記画像:今シーズンから鹿島を率いる鬼木達監督)
アントラーズレッドのユニフォームが、輝きを取り戻しつつある。
25年のJ1リーグ序盤戦で、名門の鹿島アントラーズが首位に立っているのだ(7節終了時点)。開幕節で湘南ベルマーレに0対1の敗退を喫したものの、2節から東京ヴェルディ、アルビレックス新潟、FC東京を連破し、5節では監督交代で好調の柏レイソルを3対1で撃破した。そして6節の浦和レッズ戦では、後半終了間際のゴールで1対1のドローに持ち込んだ。
日本代表の活動明けの7節は、昨季王者のヴィッセル神戸とのホームゲームだった。鹿島は1対0で競り勝ち、首位をキープする。ここまで13得点はリーグ最多で、4失点はリーグ最少2位タイである。攻守がガッチリと噛み合っている。
鹿島は国内3大タイトルと言われるJ1リーグ、リーグカップ、天皇杯を、Jリーグ発足以降もっとも多く獲得しているクラブだ。しかし、18年のアジアチャンピオンズリーグ(ACL)を最後に、タイトルから遠ざかっている。国内3大タイトルは、16年を最後に8年連続でつかんでいない。
ここ数年は監督交代もひんぱんで、クラブ史上初めてヨーロッパ出身の監督を招いたり、Jリーグの他クラブで采配をふるった指揮官にチームを任せたりした。クラブのOBにもチームを託したが、長くは続かなかった。タイトル獲得を至上命題とする強豪ゆえのジャッジとはいえ、継続的なチーム強化が後回しになってしまったとの印象は否めない。
そうした状況を打破すべく、25年シーズンはとびきりの人材を招いた。
鬼木達である。
17年から24年まで川崎フロンターレを指揮し、J1リーグ優勝4回、リーグカップ優勝1回、天皇杯優勝2回の成績を残した。ベテランの中村憲剛、小林悠、家長昭博から、海外移籍前の谷口彰悟、三笘薫、田中碧、旗手怜央ら、監督在任中は好タレントが揃っていた。それは間違いない。
そのうえで言えば、一人ひとりのクオリティを最大限まで引き出すチーム戦術、選手の組合せといったものを、鬼木監督は絶えず探り続けた。それによって、万年2位とも言われたチームを常勝軍団へ引き上げたのである。
鬼木監督は鹿島でプロ入りしたクラブのOBである。スタッフにもOBの中後雅喜、柳沢敦、曽ヶ端準が並び、ジーコが植えつけた勝者のメンタリティを継承していく。同時に、ジュビロ磐田OBの田中誠もコーチとして迎えた。磐田の黄金時代を知る田中コーチの存在も、鬼木監督には心強いはずだ。
鈴木優磨は強いメンタリティでチームを引っ張る
鬼木監督は就任とともに、「鹿島らしさ」をチームに落とし込んでいった。クラブの遺伝子を作り上げたジーコは、練習前後のレクエーション的なゲームでも勝ちにこだわり、自分のいるチームが負けたままでは決してやめなかった。“神様”と呼ばれたブラジル人のメンタリティを知る鬼木監督は、勝利への執着心を全面に押し出すことを選手たちに求めたのだった。
川崎フロンターレを指揮していた当時の鬼木監督は、サッカーの原理原則に徹底的にこだわった。試合前のロッカールームのホワイトボードには、「球際、切り替え、ハードワーク」と書かれていたと聞く。
中村憲剛や三笘薫が質的優位を生み出す川崎フロンターレから勝利をつかむために、対戦相手は1対1での粘り強さや攻守の切り替えで優位に立とうとする。それならば、自分たちが原理原則で相手を上回れば、勝利を手繰り寄せることができるというロジックである。観衆を魅了した華麗なパスワークやコンビネーションも、ベーシックな作業の積み重ねが土台となっていた。
鹿島でも同じように、原理原則を徹底している。その姿勢が粘り強さとして表われたのが、3月16日に行なわれたJ1リーグ第6節の浦和戦だった。0対1で迎えた90分に、途中出場のMF知念慶が同点ヘッドを突き刺したのだ。ホームでの連続無敗記録を「26」とし、J1リーグ歴代最多を更新したのである。続く神戸戦でも勝利をつかみ、記録は「27」に伸びている。
新加入のレオ・セアラは早くも結果を出している
タイトル奪還を使命とする今シーズンは、ブラジル人FWレオ・セラを獲得した。横浜F・マリノスとセレッソ大阪で4シーズン連続2ケタ得点を記録し、昨シーズンは20得点の大台へ乗せた30歳は、7節終了時点でチームトップの6ゴールをマークしている。リーグ全体でも単独トップの数字で、期待どおりの働きを見せている。
そのレオ・セアラと2トップを組むFW鈴木優磨は、3得点をあげている。かつて小笠原満男が背負った背番号40を引継ぎ、23年は14得点、24年は15得点を記録している彼は、鹿島の攻撃に欠かせない存在だ。闘争心剥き出しのプレースタイルが、チームを鼓舞している。
ジーコが持ち込んだブラジルスタイルの4-4-2を伝統とする鹿島では、両サイドバックが重要な役割を担う。DFとしての守備に加えて攻撃への関わりを求められるのだ。現在のチームには「ザ・サイドバック」と言うべき人材がいる。右サイドの濃野公人と、左サイドの安西幸輝だ。
濃野は24年に大卒ルーキーとして加入し、リーグ戦38試合のうち31試合に出場して9ゴールをあげた。加入1年目でベストイレブンに選出され、今シーズンは日本代表入りも期待されている。スピード豊かな攻め上がりからクロスを配球し、自らも積極的にゴールを狙っていく攻撃的な選手だ。
安西は東京ヴェルディから鹿島入りし、ポルティモネンセ(ポルトガル1部)への移籍を挟んで7シーズン在籍している。その間に直線的な攻撃参加からビルドアップに関わる現代的なプレースタイルにアップデートし、昨シーズンは全38試合に出場した。プレーの幅を拡げながら、持ち前の攻撃力は維持している。対戦相手からすると、かなり厄介な存在だ。
クオリティを持った選手はまだいる。18年ロシアW杯日本代表のCB植田直通、18年と22年のW杯メンバーである主将のMF柴崎岳、24年パリ五輪代表のMF荒木遼太郎らだ。局面で優位に立てるタレントは揃っている。
また、新加入のDF兼MF小池龍太は、前所属の横浜F・マリノスでリーグ優勝を経験している。知念も川崎フロンターレでタイトルを獲得している。優勝争いを演じていくことになれば、彼らの経験も生かされていくはずだ。
指揮官の思いを選手たちがピッチ上で体現したとき、DNAに刻まれた勝負強さが輝きを増す。
ディーエス ライト アドバンス ワイド
[8200125394-0001-119-7301]
¥9,999
「ディーエス ライト アドバンス ワイド」の在庫がありません。
モナルシーダ NEO III PRO
[8200102235-0001-115-7332]
¥9,985
「モナルシーダ NEO III PRO」の在庫がありません。
コパ アイコン 2 PRO HG
[8200154915-0001-120-7344]
¥15,400
お気に入り一覧
GOLF
2025.07.11
ブレンドセットを考慮した新設計 タイトリスト「Tシリーズ」アイアン発売
OTHER
西田有志が足元から“再出発”を宣言──「ZAMST Footcraft Fes. in Tokyo」イベントレポート
FOOTBALL
履けばわかる、革新の真価──アシックス「DS LIGHT X-FLY 6」が切り拓くスパイクの新常識
RUNNING
安心安定のアップデート「ASICS GEL-KAYANO 32 (アシックス ゲルカヤノ 32)」
アシックス GEL-KAYANO 32(ゲルカヤノ32)はマックスクッション&マックススタビリティトレーナー
2025.07.09
PINGが新アイアン「i240」&アイアン型UT「iDi」を発表! シャープなヘッドにやさしさを凝縮
2025.07.08
フィッティングの自由度が圧倒的に高いから「ベストな1本」が作れる 【グッと深掘りゴルフギアVol.154】PXG「0311 Black Ops Tour-1」ドライバー編
2025.07.05
ゼロトルクパター6メーカー12モデルを徹底分析!それぞれゴルフ5でチェックしよう
2025.07.04
「真っすぐ」ストロークとの相性抜群!「ゼロトルク」ってどんなパター?
2025.07.01
軽量モデルもカスタムシャフトで使う時代が来た! 【グッと深掘りゴルフギアVol.153】三菱ケミカル「GOLF5 VANQUISH Blue-1」編
ナイキ ストラクチャー 26(NIKE STRUCTURE 26)は選ぶべきランナーには満足度が高いモデル
2025.06.13
平林清澄選手も試走参加! アディダス『アディゼロ ボストン 13(ADIZERO BOSTON 13)』 河口湖イベントで進化を実感
2025.06.12
アシックス GEL-KAYANO 32で怪我明けの初のフルマラソンに挑戦!スポーツMC岡田拓海のガチ走りシューズレビュー!千歳JAL国際マラソン出走レポート。
OUTDOOR
2025.06.06
コールマンの新商品に大注目!夏のスポーツ観戦やレジャーを超快適に楽しめる、マストバイアイテム3選
2025.05.13
ピクニックに必須の持ち物は? 事前準備が快適に楽しむ鍵
2025.05.08
キャンプの調理を効率化! ツーバーナーの魅力と選び方
2025.04.24
キャンプは連泊するのがおすすめ! 快適に過ごすための6つのコツ
2025.04.22
キャンプ場での洗濯物はどうしてる? 帰宅後の手間を減らすおすすめの方法
BASEBALL
2025.05.02
【野球】守備のコツは構え方! 試合で活躍するための捕球のポイント
2025.04.30
少年野球用のスパイクの選び方。子どもの足に合う商品を選ぼう
2025.04.25
スライディングパンツとは? 選び方のポイントと効果的な履き方
2025.03.31
熱狂が格を超える──“いつかは甲子園”と語られる未来へ
阪神タイガース・才木浩人、世界王者ドジャースに快投 大谷翔平との再戦が語る成長の2年間
2025.06.30
モレリア40周年、進化を止めない理由──ブラジルのレジェンド・カレッカが語るその魅力
初のJ1で奮闘、国内復帰で躍動…チームを支える8つの「個」に注目!
J1リーグの監督は同じ人たちばかり!?トップカテゴリーだからこその「事情」とは
J1昇格チームのその後の成績は?18年以降のチームには気になる「共通点」がある
湘南の夏にバスケが咲いた日。――「湘南HOOP FES.2025」が描いた、新たなカルチャーの幕開け!
スポーツデポ・アルペンが“本気”でバスケットボールを強化中!シューズもウェアも充実の売場をスペシャリストがご紹介!Vol.1
2025.05.30
LUKAとともに、バスケがもっと好きになる日――陸川章コーチ&ともやんが贈る、“90分のご褒美”クリニック【後編】
LUKAとともに、バスケがもっと好きになる日――陸川章コーチ&ともやんが贈る、“90分のご褒美”クリニック【中編】
PRODUCTS
2025.05.23
効果バツグン!雨も泥もヘッチャラ!シューズケアの革命『IMBOX』、スポーツデポ・アルペン、ゴルフ5に登場!!
「“今日の私”を軽やかにしてくれる服」田中理恵さんがTIGORAと歩む、アクティブライフ
「INIがまとう、夏をはじめる一枚」――SUMMER COLLECTIONで楽しむ春夏ファッションの魅力【後編】
「INIがまとう、夏をはじめる一枚」――SUMMER COLLECTIONで楽しむ春夏ファッションの魅力【前編】
2025.02.28
みちょぱ&大倉士門夫妻が“アディダスの春スニーカー”を愛する3つの理由(smartにて掲載)