「サブ4 TIPS」は、楽しみながらサブ4達成を目指すランナーを応援する連載企画。毎回、トレーニングやギアなどテーマをもって、サブ4達成に役立つ情報をお届けする。 今回のテーマは、なわとびを取り入れたトレーニング。走りに出かけることがなかなか難しい今、限られたスペースで効果的なトレーニングを重ねることでレースに備えておきたい。 プロなわとびプレーヤーとして、世界大会優勝や数々のギネス記録更新の経験を持つ生山ヒジキさんに、なわとびの魅力やサブ4達成に向けたトレーニングへの取り入れ方について聞いた。 (※本取材は新型コロナウイルスの感染予防対策を十分行ったうえで実施しております) ■なわとびは心肺機能を高め、身体を目覚めさせてくれる ──トレーニングとしての「なわとび」にはどんな良さがありますか? なわとびは全身運動なので、身体全体を目覚めさせてくれるのが特徴です。代謝がよくなることで血の巡りが良くなり、心肺機能が活性化します。そうすると身体に取り込める酸素の量がアップするので、持久力も高まります。また、身体中の器官が活性化することで気持ちが晴れやかになり、ストレスの発散にもなります。ある程度高さのある室内や、家の前や駐車場、近くの公園などの屋外でも手軽にできるので、なかなか思い切り身体を動かせない今だからこそ、気分転換にも活用してもらえたらと思います。 ──サブ4を目指すうえで、なわとびをどんなふうに活用すればよいでしょうか? なわとびは、ランニングの速度よっては1.5倍のエネルギー消費といわれています。そのため、短い時間で負荷の高い運動をしたいときに効果的です。フルマラソンでサブ4を目指すには、やはり心肺機能を高めたいですよね。最大心拍数の8〜9割ほどの強度になるようなスピード感で前跳びを3分以上続けられるようになると、確実に心肺機能がアップします。すぐに結果は出ないかもしれませんが、1ヶ月続けると確実に変わるはず。心拍数を計測できるランニングウォッチなども活用しながら、ぜひチャレンジしてみてください。それから、普段走るときのウォーミングアップにも取り入れてほしいですね。 ※220 - 年齢 = 最大心拍数 ──ウォーミングアップではどう跳ぶのが効果的ですか? まずは前跳びを100回は跳んでから走り出してほしいですね。100回だったら、1分ほどで跳べますし。慣れてきたらぜひ回数を増やしていってみてください。なわとびは短い時間で全身を温めることができるので、ゆっくりウォーミングアップをするのが面倒だと思っている人にもおすすめです。 ──なわとびをしてから走り出すと、どんなメリットがありますか? これはなわとびに限らず言えることですが、ウォーミングアップをすることによって、走り始めからしっかりと身体を使えるようになります。身体が眠った状態からいきなり走り始めると、3km、4kmくらいでようやく酸素が効率的にとりこめるようになり、楽になってくる……という感じになります。この「楽になってきた」感覚をランナーズハイだと勘違いしがちですが、じつはやっと身体が目覚めただけなんですよね。きちんとウォーミングアップをすれば、玄関の扉を開けてすぐに走り出す場合と、一ヶ月後には大きな違いが出てくるはずですよ。 ──なるべくひっかからずに跳び続けるコツはありますか? まずは集中することが大切。そして最終的には、何も考えずに無の状態で跳べるようになると“ジャンパーズハイ”のような感じになって、長く跳べるようになっていきます。僕自身も、「24時間耐久なわとび」に挑戦したときは、いかに無意識の状態で跳べるかがチャレンジ成功のカギになると思って、音楽だけを聴きながらひたすら跳び続けました。 ──なわとびを楽しく続ける方法はありますか? 自分のテンポにあう音楽をかけると跳びやすく、気分もあがります。心肺機能を高めるトレーニングとしてなわとびするときも、音楽に合わせて跳ぶと気持ち的に少し楽になります。 慣れてくると、最大心拍数の8〜9割の強度で跳ぶときのリズムもわかってくると思うので、合う音楽を探してみてください。自分の跳びやすいルーティンを少しずつ見つけていくのも、楽しく続ける方法のひとつです。 ──なわとびをする際におすすめのシューズはありますか? まずはいつも履いているランニングシューズで跳んでみてもらえたらと思います。ある程度クッション性があるものを履いたほうが、アスファルトで跳んだときの負担も軽減してくれて、ケガの予防にもなるはずです。僕はいつもアシックスのシューズを履いていて、ランナーのみなさんにはほどよいクッション性で足を守ってくれるライトレーサーあたりがおすすめです。 ■なわとびは、子どもと大人を行き来できるスポーツ ──ちなみに、生山さんはどんなきっかけでなわとびを始めたのでしょうか? なわとびを始めたのは小学3年生のとき。初恋の相手だった担任の先生が、とても縄跳びの得意な先生だったんですよね。それで、先生に振り向いてほしくてなわとびを頑張るようになりました(笑)。できなかったことができるようになる達成感って、ありますよね。僕にとっては、たとえば二重跳びができるようになった瞬間の「おお……!」っていう喜びがものすごく大きくて。生まれて初めて夢中になれたのが、なわとびだったんです。そのままのめりこんで、胸を張れる特技になっていきました。 ──その後もなわとびを続けられたのですか? 中学・高校ではほかのスポーツもやってみたいと思って、陸上や水泳をやっていました。でも、僕が一番楽しいと思えたのは、やっぱりなわとびだったんですよね。アップとしてなわとびをしたり、趣味のような感じで続けていました。大学に入ってから役者を目指した時期もあったのですが、なかなか芽が出ず……。悩んでいたときに、オーディションで「特技はなんだ」と聞かれてもちゃんと答えられていなかったことに気づいて。「なわとびがあるじゃないか」って、思い出したんです。 ──大人になってから、改めてなわとびが好きという気持ちに気づいたのですね。 そうです。当時はインターネットが流行りだしたころで、なわとびについて検索してみると、海外の人がものすごい技をやっている動画が出てきて。それまでは、はやぶさ跳び(あや跳びの二重跳び)が最高の技だと思っていたから、「なわとびの世界って、まだ続きがあったんだ」って衝撃でした。さらに調べていくと、世界大会があることも知って。なわとびの世界にもう一度入ってみたいと思って、24歳で改めて本格的になわとびをするようになりました。 ──改めてやってみて、なわとびのどんなところに魅力を感じました? 無我夢中で跳んでいるときは子どもに戻れるし、技を成功させるために分析して修正を重ねるのは、大人だからこそできる楽しみ方でもあります。なわとびって、子どもと大人を行き来できるようなスポーツだなって。やったらやったぶんだけ成長できるのも、なわとびの魅力のひとつだと感じています。無我夢中で続けていけば上達できるんですよね。僕の場合、“練習”という意識を持たずに跳び続けられるくらい好きだという気持ちが、世界大会の結果にもつながったのだと思います。 ──最後に、サブ4を目指すランナーに向けてメッセージをお願いします! 「なわとびが健康にいい」という漠然としたイメージは、おそらく誰もが持てるものだと思います。でも、それ以上になわとびは自分の“内側”を成長させるためのすごく良い道具なんです。心肺機能を高めたり、さまざまな器官を活性化させてくれたり……さらには気持ちも晴れやかにしてくれます。サブ4を目指しているような人は、筋力はある程度できあがっている人が多いと思うので、ぜひ内側を鍛えるために、なわとびをトレーニングに取り入れてもらえたらと思います! ■プロフィール 生山ヒジキ 日本唯一のプロなわとびプレーヤーでフリースタイルロープパフォーマンスチーム「なわとび小助」を主宰。2014年なわとび世界大会チャンピオン。24時間耐久縄跳びなど、縄跳びに関する10個のギネス記録を更新。日本各地の幼稚園や小学校、児童館などで1,000ヶ所以上、延べ40万人以上の出張指導を行い、なわとびの苦手な子達にも楽しさを教え、なわとびの普及にも尽力している。
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