■アシックス GEL-KAYANO 32にアップデート
「フルマラソン完走を誰の手にも」アシックスの数あるラインナップの中でも、足のぐらつきを抑えるスタビリティートレーナーとして要のアシックス GEL-KAYANO 32(アシックス ゲルカヤノ32)が、1993年のシリーズスタートからいよいよ32代目になりました。
アシックスは企業責任として二酸化炭素排出量に関する透明性へコミットしており、GEL-KAYANO 32でも前作から引き続きカーボンフットプリントの数値を製品上に表示することで、さらなる環境負荷の軽減を目指しています。そして、ミッドソールの前後の高低差がGEL-KAYANOシリーズ史上初の8mm Dropになりました。それにより2mm緩やかになった分2mm厚みを増したミッドソールのマックスクッションモデルとしてパワーアップしています。
今回は、アッパーだけといった“マイナーチェンジ”と呼ばれる部分的な変更ではなくて、フルモデルチェンジ。まさにGEL-KAYANOシリーズ愛好のランナーに対して、買い替えたくなるような意味を持つモデルに生まれ変わったとも言えます。
では、このスタビリティートレーナーのGEL-KAYANO 32は、どんな変更があって、どんなランナーの、どんな用途に合うシューズなのか、整理して行きましょう。
■30代目から変わったスタビリティー機能

まずはこのシリーズ、30代目が大きな節目となり、スタビリティーシューズとしての既成概念を壊したのは、まだまだ記憶に新しいところです。
着地から蹴り出しまでに足が内側に過剰に倒れる、オーバープロネイション(過回内)の動作サポートとして、内側の硬度をあげた左右非対称なソール構造が、スタビリティートレーナーの定番的考え方でした。
それが、30代目の節目で、底面の接地面積を広げて、足の着地から蹴り出しまでの動きを立体的にサポートし、自然な足運びと安定した走行を促す3Dガイダンスとプラスして、ミッドソール本体部より低硬度(やわらかい)FF BLAST PLUSを最適な形状でアーチ部に配置することで、足の内側の動作を抑えるのではなくて、外に跳ね返すという発想の4Dガイダンスシステムで構成された、まさに安定感とコンフォート感の両立を目指した画期的な構造になったわけです。
今回も基本的にはその流れを受け継いだスタビリティートレーナーになっていますね。
■機能性で構成された、機能性の塊、それがGEL-KAYANO 32

スタビリティートレーナーラインナップの代表的モデルとしてドンと構えるGEL-KAYANO 32は、そのミッドソールが、FF BLAST PLUS(エフエフブラストプラス)+PureGEL(ピュアゲル)で構成されていて、マックスクッション、マックススタビリティーモデルとなっています。
今回、FF BLAST PLUS ECO(エフエフブラストプラスエコ)から、FF BLAST PLUS(エフエフブラストプラス)とヨーロッパの環境基準に合わせた表記になりましたが、前回同様のコンポーネントでアシックスマックスクッションの象徴である素材が採用されていることには変わりがありません。
アッパーはタンが薄く軽量化に貢献するものの、フィット感を損なわないようにガセット状のこう周りを内部で包み込むような構造になっています。
また、中足部にはさまざまな路面コンディションにおいて優れたグリップ性を発揮するASICSGRIPを、特に摩耗が起きやすいつま先部とかかと部にはAHARPLUSを、適材適所に配置したHYBRID ASICSGRIP(ハイブリッドアシックスグリップ)になっています。
まさに、今回もまさに「機能性で構成された物体」「機能性の塊」がGEL-KAYANO 32ですね。
■まさにアシックスラインナップの代表モデル、それがGEL-KAYANO 32

そして上述通り、GEL-KAYANO 32からドロップが2mm下がって8mmになりました。その分2mmをそのままソールの厚み増にしてクッション性を増す選択をとったわけです。
これで 弟分GT-2000 13(も含めて、アシックスのデイリートレーナーモデルで10mm Dropスタイルは消えましたが、実走した走り心地は、いつもと同じような緩やかな下り坂を走っているようなガイド感、トラディショナルガイドは健在という印象です。
ちなみにGT-2000 13は同じスタビリティートレーナーですが、4Dガイダンスソールではなく、ソール全体のデザインでスタビリティーを出す3Dガイダンスソール、マックススタイビリティーモデルというより、もっと幅広いニーズ、ランナーに対応するアシックスラインナップ入門モデル的立ち位置のモデルになっています。
ニュートラルトレーナーのGEL-NIMBUS 27とは、プレミアムクッションモデルとしてKAYANOシリーズと双輪のラインナップなっていて、マックスクッション&マックススタイビリティーとしては、アシックスの代表的モデルともいうべきプレミアムモデル、それがGEL-KAYANO 32なわけですね。
■ GEL-KAYANO 32どんなランナーにフィットするか

股関節、膝、足首、足の内側ストレスがある、足首周りの安定要素が必要ないわゆるオーバープロネイター(過回内)ランナーはもちろんですが、O脚ランナーのようなGEL-NIMBUS 27を選んだ方がいいランナーは別として、通常はそこまでニーズが多くないかもしれませんが、例えばフルマラソン完走とかLSD などロングラン用に、着地回数が増えて足を支える時間が増えるというようなシチュエーションにもハマるはずです。
また、これからランニングをはじめる、しかも、スポーツ経験がない、なんてビギナーランナーには前出のGT-2000 13がラインナップとしてピッタリなのですが、例えば、現状は体重があるとか、そもそもガッチリしているランナーでしたら、最初からしっかりとした体の支えを求めて、GEL-KAYANO 32を選ぶといいかもしれません。
そもそも1993年このシリーズがスタートしたときのGEL-KAYANO TRAINERは、体格の大きいアメリカ人向けのアメリカ戦略商品でしたからね。
22,000円(税込)というプライスからしても、ランナーならみんなKAYANOシリーズを選ぶわけではないけれど、反面、必要なランナーには、必要なニーズがたっぷり詰まっている、そんななくてはならないモデル、そんなマックスクッション&マックススタビリティーモデルがGEL-KAYANO 32であることは間違いないですね。
GEL-NIMBUS 27とは踵まわりの雰囲気が違うはずですし、GT-2000 13よりはもっとスタビリティーが効いてくる感じです。まだ履いたことがないランナーは、是非、一度店頭で足入れをしてみるといいですよ。
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<著者プロフィール>
ランニングシューズフィッティングアドバイザー
藤原岳久(FS☆RUNNING(旧 藤原商会)代表)
日本フットウエア技術協会理事
JAFTスポーツシューフィッターBasic/Advance/Master講座講師
足と靴の健康協議会シューフィッター保持
・ハーフ1時間9分52秒(1993)
・フルマラソン2時間34分28秒(2018年別府大分毎日マラソン)
・富士登山競走5合目の部 準優勝(2005)
【文章・写真】藤原岳久